君の臭

神通百力

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君の臭

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 君ってさ、いつも香水をつけているよね。
 季節関係なしにつけているよね。

 臭いが異臭の域に達しているのが気になるんだよね。
 香水以外の臭いも混じっている気がするんだよね。

 僕は獣臭すぎるだって? まあ、獣だからね。でも、君の臭いよりはきつくないと思うけどね。

 銀色に輝いた尻尾は素敵だって? まあ、輝いているのは尻尾じゃなく鎌だけどね。君は腐敗した肌が魅力的だよね。腐敗が進行しすぎて失くなっている部分もあるけどね。

 刺さったら痛そうだって? 何を言っているんだい? 君は痛みを感じないだろ。そういう体だからね。

 次のデートの時は香水をつけないでほしいな。どうしてかというと君の臭いを覚えていないからだよ。なにせ香水をつけているんだからね。

 香水をつけていなければすぐに君の臭いが感じ取れるからね。
 どうして怒っているんだい? 心から愛してくれているのかだって? もちろん僕は心の底から君を愛しているよ。

 臭いを覚えていないのにだって? 
 だからさ、君の臭いを思い出すためにも、次のデートの時は香水をつけないでほしいんだよ。

 今からもう一度デートしようだって? 別にいいけど。
 香水はどうするんだい? 

 近くの銭湯で落とすから問題ないって? それじゃ、落としてきてくれるかい?
 ちゃんと落ちたようだね。

 ああ、そんな臭いをしていたね。
 すっかり忘れていたよ。

 やっぱり君はこっちの方がいいね。

 
 ねぇ、僕の愛しいゾンビさん。

 ――えぇ、私の愛する鎌鼬さん。
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