黒き死神が笑う日

神通百力

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おかしな二人

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男「お、俺、帰ったら結婚するんだからね!」
女「…………」
男「え、無言? 何か言えよ。無言の圧力ってつらいんだぜ!」
女「お、おぉぅ、だ、誰やねん! 今、死亡フラグ立てたんわ。ツンデレで」
男「お・れ」
女「このままやとほんまに死亡フラグ成立してまうで!」
男「ホワイ?」
女「なぜって聞かれてもなぁ……雪山に迷ってなんとか小屋を見つけたものの、このまま雪がやまないと、凍死か餓死かってところやで」
男「そうだよな。そうだ! 雪を食べるってのはどう? 雪山だし大量にある。底はつかないはず」
女「あほか! 雪山で雪を食べたら凍え死ぬっちゅうねん!」
男「それもそうだよな。ちょうどいいことにマッチを持ってるから、これで溶かせば」
女「水確保ぉぉっっ! って、どっちにしろそんなもんでは、いつまでもお腹は満たされへんわ!」
男「あ、氷砂糖ならあるぜ。氷ってつくくらいだから、溶かせば水になるん……」
女「ならへんわっ! ってどんだけ水にこだわるねん。水はもうええっちゅうねん」
男「インスタントラーメンがある……あ、でもお湯がねえな」
女「それじゃ、意味ねえ!」
男「だよな。それより夜になってなんか寒くなってきたな」
女「マッチがあるんやから、燃やすものがあればええんやけど……この小屋にそんなものないしなぁ」
男「とりあえず二人でくっついてると少しはましだよな?」
女「そうやな」
男「…………」
女「…………」
男「照れるなよ」
女「べ、べつに照れてないわっ!」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「って、おいっ、寝たらアカン!! ちょ、起きて」
男「んあぁ、危ない、寝てる間にあの世逝きなんてシャレにならねぇな」
女「ほんまに、寝たらアカンで。とはいえ退屈やなぁ」
男「あ、娯楽に大量の本を持ってきてるんだけど」
女「ナイスや! それ読んで朝まで過ごそう」

 ☆☆

男「今日で遭難して三日目だな」
女「雪やまへんなぁ。一体いつまで降るんやろう? そうや。ちょっと天気予報に電話してみるわ。えっと携帯電話は確かポケットに……あったあった」
男「どうだった?」
女「まだしばらく吹雪くみたいやわ」
男「そっか……俺、万が一のために遺書書いとくわ」
女「そうやな。私もそうするわ」
男「偉書……あ、いきなり漢字ミスったぁぁあ」
女「アホやなぁ、消しゴムはないけど食パンやったらあるわ。確かパンは消しゴムの代わりになるはず」
男「おおぅ、サンキューな!」
女「ええってええって。それにしてもお腹すいたなぁ」
男「そうだなぁ」
女「私ら餓死するんやろか、それとも凍死やろか? 意表をついて熊の食料に?! ないかw」

 ☆☆

「隊長、男女二人組の死体見つけました!」
「どうやら見たところ餓死のようだな。あちこち凍傷の痕もある。かわいそうにな。しかし、おかしな死体だよな。食料もあるしマッチもある。そして携帯電話まである。こいつらどうして餓死なんかしたんだ?」
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