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同窓会
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会場には大勢の男女が集まっていた。
今日は高校の同窓会だ。皆に会うのは十年ぶりくらいだった。
高校の頃とは見た目が変わり過ぎていて、誰が誰だかさっぱり分からない。たったの十年でこんなにも変わるものなのか?
私は懐かしさに浸りながら、辺りを見回していると、青葉翔を見つけた。青葉は高校の頃とあまり変わっていなかった。私が同窓会に参加することを決意したのは青葉に会うためだった。
私は青葉に声をかけ、バルコニーに連れ出した。
「……お前から声をかけてくるとは思わなかった。俺のことを憎んでいるとばかり思っていたが、違ったか?」
青葉はタバコを吸いながら、私を一瞥した。
私は青葉の態度に心底腹が立ち、ギロリと睨み付けた。
「やっぱり俺のことを憎んでいるみたいだな。どのくらい俺を憎んでいるんだ? 殺したいほど憎んでいるのか? なんなら殺してくれてもいい」
青葉はタバコを灰皿に押し付け、私を挑発するかのように両手を広げてみせた。
私は何も言わずに青葉を見つめる。動悸が早まるのを感じた。
「どうした? 俺を殺さないのか? 憎んでいるんだろ?」
青葉は怪訝な表情で私を見つめ、ゆっくりと近づいてきた。青葉は私の目の前で足を止めた。
「……確かに私は青葉を憎んでいる。けれど、同時に好きでもあるんだ」
「……はぁっ?」
青葉はポカンとした表情で私の顔をマジマジと見つめる。そんなに顔を見つめられると、少し恥ずかしい。
「……私は苛められていたのに、どうして青葉のことを好きになっちゃったんだろう。殺したいほど憎んでいるはずなのに、なんで好意を抱いたんだろうね。時折私に優しくしてくれたからかな?」
私はあまりの恥ずかしさに耐えかねて、思わず頭を青葉の胸に預けてしまった。その瞬間、青葉は後ろに下がった。私は逃がすまいと青葉の腰を両手でがっしりと抑えつけた。
「……お前に優しくした覚えはないんだけどな」
青葉の戸惑った声が頭の上から聞こえてくる。きっと困り果てた表情をしていることだろう。
「いや、青葉は優しい時もあった。田中さんが給食費が盗まれたと大騒ぎしたことがあったの覚えてる?」
「……ああ、覚え……てる……けど」
どことなく歯切れが悪いように感じた。私が“青葉は優しい時もあった”と言った意味が分かったのかもしれない。
「クラスの皆は私が犯人だと疑った。体育の着替えの際に一番最後に教室を出たという理由で、私を犯人だと決めつけた。でも、青葉は違った。青葉だけは『春希が給食費を盗んだりするわけないだろ。春希を疑うなんて馬鹿げてる』と言ってくれた。その時からだ。私が青葉を好きになり始めたのは」
結局田中さんの給食費は盗まれていなかった。家に忘れてきただけだった。すぐにクラスの皆は私に謝ってきた。それ以降も青葉は私を苛めてきたが、この件で青葉の優しさを垣間見ることができた。
「それでお前はどうしたいんだ?」
「……どうしたいかなんて分からないよ」
「なんなら付き合うか? お前の俺に対する憎しみを溶かしてやるよ」
私はそこでようやく顔を上げて青葉の顔を見た。とても真剣な表情をしていた。
「そうしてくれるとありがたい。憎しみを抱いたまま付き合うなんて嫌だからね」
「それじゃ、これからもよろしくな。今度は苛めの加害者と被害者としてじゃなく、恋人としてな」
「うん、これからもよろしく頼むよ」
私は恋人の証として青葉にキスをした。
――幸せになろうね、私の大好きな青葉。
今日は高校の同窓会だ。皆に会うのは十年ぶりくらいだった。
高校の頃とは見た目が変わり過ぎていて、誰が誰だかさっぱり分からない。たったの十年でこんなにも変わるものなのか?
私は懐かしさに浸りながら、辺りを見回していると、青葉翔を見つけた。青葉は高校の頃とあまり変わっていなかった。私が同窓会に参加することを決意したのは青葉に会うためだった。
私は青葉に声をかけ、バルコニーに連れ出した。
「……お前から声をかけてくるとは思わなかった。俺のことを憎んでいるとばかり思っていたが、違ったか?」
青葉はタバコを吸いながら、私を一瞥した。
私は青葉の態度に心底腹が立ち、ギロリと睨み付けた。
「やっぱり俺のことを憎んでいるみたいだな。どのくらい俺を憎んでいるんだ? 殺したいほど憎んでいるのか? なんなら殺してくれてもいい」
青葉はタバコを灰皿に押し付け、私を挑発するかのように両手を広げてみせた。
私は何も言わずに青葉を見つめる。動悸が早まるのを感じた。
「どうした? 俺を殺さないのか? 憎んでいるんだろ?」
青葉は怪訝な表情で私を見つめ、ゆっくりと近づいてきた。青葉は私の目の前で足を止めた。
「……確かに私は青葉を憎んでいる。けれど、同時に好きでもあるんだ」
「……はぁっ?」
青葉はポカンとした表情で私の顔をマジマジと見つめる。そんなに顔を見つめられると、少し恥ずかしい。
「……私は苛められていたのに、どうして青葉のことを好きになっちゃったんだろう。殺したいほど憎んでいるはずなのに、なんで好意を抱いたんだろうね。時折私に優しくしてくれたからかな?」
私はあまりの恥ずかしさに耐えかねて、思わず頭を青葉の胸に預けてしまった。その瞬間、青葉は後ろに下がった。私は逃がすまいと青葉の腰を両手でがっしりと抑えつけた。
「……お前に優しくした覚えはないんだけどな」
青葉の戸惑った声が頭の上から聞こえてくる。きっと困り果てた表情をしていることだろう。
「いや、青葉は優しい時もあった。田中さんが給食費が盗まれたと大騒ぎしたことがあったの覚えてる?」
「……ああ、覚え……てる……けど」
どことなく歯切れが悪いように感じた。私が“青葉は優しい時もあった”と言った意味が分かったのかもしれない。
「クラスの皆は私が犯人だと疑った。体育の着替えの際に一番最後に教室を出たという理由で、私を犯人だと決めつけた。でも、青葉は違った。青葉だけは『春希が給食費を盗んだりするわけないだろ。春希を疑うなんて馬鹿げてる』と言ってくれた。その時からだ。私が青葉を好きになり始めたのは」
結局田中さんの給食費は盗まれていなかった。家に忘れてきただけだった。すぐにクラスの皆は私に謝ってきた。それ以降も青葉は私を苛めてきたが、この件で青葉の優しさを垣間見ることができた。
「それでお前はどうしたいんだ?」
「……どうしたいかなんて分からないよ」
「なんなら付き合うか? お前の俺に対する憎しみを溶かしてやるよ」
私はそこでようやく顔を上げて青葉の顔を見た。とても真剣な表情をしていた。
「そうしてくれるとありがたい。憎しみを抱いたまま付き合うなんて嫌だからね」
「それじゃ、これからもよろしくな。今度は苛めの加害者と被害者としてじゃなく、恋人としてな」
「うん、これからもよろしく頼むよ」
私は恋人の証として青葉にキスをした。
――幸せになろうね、私の大好きな青葉。
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