黒き死神が笑う日

神通百力

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家畜

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 私たち――イヴェルガ星人は数年前に地球を支配し、人間を家畜にした。イヴェルガ星人は角と尻尾が生えている点を除けば、見た目は人間と変わらない。今や地球はイヴェルガ星人で溢れかえっている。
 各牧場で飼われていた牛や豚、その他の動物は自然に解き放った。今の牧場は人間を育てるのに利用している。
 私は牧場内を見回した。柵には全裸の男女が鎖で繋がれている。鎖で繋いでいるのは逃げられないようにするためだ。全員が怯えた目をしている。
 私は一番奥の柵の前で止まると、中に入った。中にいた少女の体が震えはじめた。少女の体を抑えつけ、乳製品を無理矢理に食べさせた。この少女は高級品だからあまり乱暴な真似はしたくないが、こうでもしないと食べてくれないのだ。一年前からずっと乳製品を食べさせているが、それだけでは栄養が不足してしまう。そのため月に一回は栄養剤を注入し、栄養を補っている。
 この少女は『乳製品人間』と呼ばれるブランドだ。その名の通り基本的に乳製品を食べさせて育てた人間のことを指す。その他にコーヒーを与えて育てた『コーヒー人間』、トマトを与えて育てた『トマト人間』などのブランドがある。
 育てた人間はイヴェルガ星人が経営するスーパーや市場に出荷する。イヴェルガ星人の尻尾は先が刃状になっており、それを用いて人間を解体し、出荷している。イヴェルガ星人においしい人肉を食べてほしいという思いで、私は人間を育てている。
 ここにいるブランドたちはもう少しで出荷できる。出荷したら、次はどんなブランドを育てようか。
 私は他のブランドに餌を与えながら、ニヤリと笑った。
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