【完結】翠くんは、可愛いがられたい

日月ゆの

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18.ちょっとさみしいです

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『あのさ。朝も電話した、い。というかしてくんね? 俺、朝弱いんだよ……だから起こして?』
『……あ。はい。僕でよければ……』
『まじ?! ありがとっ!』


 テレビ電話をして、そろそろ『おやすみ』の時間になった頃お兄さんからお願いされました。
 新しい発見です。
 僕はお兄さんに不安げにお願いされると断れないです。

 ちらっと僕を伺うお兄さんのお顔を見た瞬間に脳直でお返事していましたよ。

 了承のお返事を受けたお兄さんは破顔しました。本当に屈託のないあの笑顔です。

 やっぱり僕は喉がぎゅっと苦しくなって心臓がドクリと音を立てます。

 やっっぱりおかしいです。

 発作は点滴したばかりだから起きないはずなのに、お兄さんの笑顔でまた発作の前触れみたいな体の状態になりました。

 明日のお兄さんを起こすためにも早く寝て体調を万全にしなければ。

『何時、何時にしましょう?』
『ん? 翠はいつも何時におきる?』

 そこからまた朝のルーティンをお互いに話して盛り上がってしまいました。
 お兄さんは朝食はパンとコーヒー派らしいです。コーヒー飲めるなんて大人ですね。
 ちなみに僕もパン派。おそろいです。食パンに塗るジャムはいちご1択な僕に対してお兄さんは、なにもつけずに食べちゃうそうです。
 素材の味重視かと思いましたが「片付けダルい」の1言で理由が判明です。
 お兄さん意外とめんどくさがりさんでした。

『えっと。ではまた明日の朝お電話しますね。』
『よろしく。翠。……おやすみ』

 またおかしい。ぎゅっと喉が詰まって目の奥がジンと熱くなります。

『……おやすみなさい』

 でも無理やり喉と舌を動かして、初めてのおやすみなさいを言えました。
 言い終えた途端、寂しさが掠めます。
 通話終了ボタンを僕から押したほうがいいんですよね。
 ちょっと切り方わかりませんとか理由をつけ、まだ引き延ばしこのまま寝たいな、と思ってしまったんです。

『……まだ……切らないよな?』
『えっお?』
『あー。一緒のタイミングで切ろう!』
『っりょうかいです』

 お兄さんも一緒の気持ちだったみたいです。楽しかったと思ってくれたのでしょうか。
 お兄さんのカウントダウンで一緒に通話を切れました。

 手に残ったのは真っ暗で静かなスマホ。さっきまでお兄さんが映っていたなんて嘘みたい。
 長い電話でスマホは熱を持ち全体がかなり熱く、この熱が移ったように僕も体がぼんやり熱いです。指先まで熱が回っています。

 緊張していたんでしょうか。


 なのに、すっごく、楽しかったです。

 まだ電話の余韻で目がぱっちり冴えていますが、胸の中がぽかぽかふわふわ気持ちいいです。
 
 枕元にスマホを置いて目を閉じようとしましたが、忘れずにアラームを7時にセット

 スマホ表示でコンパスマークがついているのを確認。
 ふっと小さく息を吐き出し、お布団の中へ入り目を閉じました。

 明日からお兄さんを電話で起こすという重大任務。頑張ります!

 少しでももらった楽しさをお兄さんに返せるように。


 
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