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21《トラside》
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俺の初恋は天使だ。
あの日を思い出すだけで、嫌だった関西への転校も慣れない土地での暮らしも乗り切ることができた。
だって、俺には『天使』が待っていてくれるから……。
いきなり小学4年生の秋、こんな中途半端な時期に関西への転校を親から告げられた。
ありえないだろう。俺の人権はどこにあるんだよ?!
ココは首都圏エリアで関西なんて全く文化圏が違う。
箱根の山超えたら異国と思えって云うだろ?!
カレーに入れるのは豚肉が至高!
うどんの出汁はカツオ出汁だろ?!
それに……、腐れ縁かも知れないけれど友達の『カズ』こと「冷水 和海」とも離れたくない。
あいつ以上に俺とウマが会うやつっていないと思う。
一緒に馬鹿やってくれるし、時には呆れながら注意してくれるお人好しなあいつ。
意外にあいつは寂しがりやだから……、心配。
納得がいかない俺は、今は全寮制の学校に通っている年の離れた兄である『黒瀬 旺志郎』の住む街まで、横暴な親への反抗の意思表示として学校帰りに家出することにした!
数日前からコツコツと準備をして、リュックには着替えとお腹が空くと困るからお菓子を少しいれ、リュックを庭の生け垣の中に隠しておいた。
親には塾に行くふりをして家を出て、隠れてそのリュックを背負い俺は意気揚々と『兄』の元へ向かった。
予め調べて置いた通りに電車を何回か乗り継いで、やっと『兄』がよく学校を抜け出して行くと言っていた繁華街に着いた頃には、立ち並ぶビルの群れが緋色に染まり、ヒュウヒュウと秋風が肌を刺すように冷たく吹いた。
一気にその頬や身体を冷たい風になぶられるように吹かれさっきまで初めての家出に高揚していた心も萎み、一気に不安になった俺。
徐々に空は薄蒼闇を濃く滲ませ、一つ一つ星が瞬き始めた。
闇が街に這い上がるように拡がるとさっきとはまるで雰囲気がガラリと変わる。
先程緋色に染め上げられたビルの看板は明かりを灯し、原色の目に優しくない極彩色の看板には「スナック」「休憩、宿泊」等小学生の俺には刺激が強すぎる文字が浮かびあがった。
TVの画面上でしか見たことが無い夜の街の真の姿に驚きよりも恐怖を感じ、俺はジブリの『神隠し』ヒロインの如く、震える足を必死に動かし飛び出すように駆け出しながらその街の中にいるはずの『兄』の姿を探した。
俺は絡みつくような、不躾な大人達の視線を避けるようにどんどんと人気の少ない方へネオン街の奥へ足を進めていた。
そこは所謂治安がよろしくない場所だったらしく、他人の往来も少なく人影も疎らな裏路地。
頼りになる灯りは街灯だけれど、その街灯も暗闇を照らし切れてはいない。
蛾がその街灯目掛けて突進していくため時折ジジッと蛾の命が失われる音も聞こえ、俺の恐怖を煽る為のような小道具としての役割としてしか機能していない。
そんな状況の中最悪な事に、近くで若い男達が言い争う声と怒号が聞こえてきた。
あぁこれ俺、死んだな。
ちょっと同級生の中ではリーダー格で勉強も運動もそつなくこなして何でも出来る気がしていたけど――
「にゃー」
「ふぎゃぁっ!!猫……。ゔぅ……、怖いよ。兄ちゃん助けて……」
野良猫が道を横切ろうと飛び出してきたが、俺の前でピタリと止まるとひたりと鈍く光った瞳で見つめ、俺が怯えた姿を小馬鹿にした様に鳴いた。
猫にまで馬鹿にされたことの羞恥や恐怖、空腹感、色々な感情が込み上げ俺はポロポロと涙を溢れさせしゃくりあげながら、とうに限界が来ていた足に力が入らなくなり道端に座り込んだ。
「おい。ちびっ子?大丈夫か?」
あの日を思い出すだけで、嫌だった関西への転校も慣れない土地での暮らしも乗り切ることができた。
だって、俺には『天使』が待っていてくれるから……。
いきなり小学4年生の秋、こんな中途半端な時期に関西への転校を親から告げられた。
ありえないだろう。俺の人権はどこにあるんだよ?!
ココは首都圏エリアで関西なんて全く文化圏が違う。
箱根の山超えたら異国と思えって云うだろ?!
カレーに入れるのは豚肉が至高!
うどんの出汁はカツオ出汁だろ?!
それに……、腐れ縁かも知れないけれど友達の『カズ』こと「冷水 和海」とも離れたくない。
あいつ以上に俺とウマが会うやつっていないと思う。
一緒に馬鹿やってくれるし、時には呆れながら注意してくれるお人好しなあいつ。
意外にあいつは寂しがりやだから……、心配。
納得がいかない俺は、今は全寮制の学校に通っている年の離れた兄である『黒瀬 旺志郎』の住む街まで、横暴な親への反抗の意思表示として学校帰りに家出することにした!
数日前からコツコツと準備をして、リュックには着替えとお腹が空くと困るからお菓子を少しいれ、リュックを庭の生け垣の中に隠しておいた。
親には塾に行くふりをして家を出て、隠れてそのリュックを背負い俺は意気揚々と『兄』の元へ向かった。
予め調べて置いた通りに電車を何回か乗り継いで、やっと『兄』がよく学校を抜け出して行くと言っていた繁華街に着いた頃には、立ち並ぶビルの群れが緋色に染まり、ヒュウヒュウと秋風が肌を刺すように冷たく吹いた。
一気にその頬や身体を冷たい風になぶられるように吹かれさっきまで初めての家出に高揚していた心も萎み、一気に不安になった俺。
徐々に空は薄蒼闇を濃く滲ませ、一つ一つ星が瞬き始めた。
闇が街に這い上がるように拡がるとさっきとはまるで雰囲気がガラリと変わる。
先程緋色に染め上げられたビルの看板は明かりを灯し、原色の目に優しくない極彩色の看板には「スナック」「休憩、宿泊」等小学生の俺には刺激が強すぎる文字が浮かびあがった。
TVの画面上でしか見たことが無い夜の街の真の姿に驚きよりも恐怖を感じ、俺はジブリの『神隠し』ヒロインの如く、震える足を必死に動かし飛び出すように駆け出しながらその街の中にいるはずの『兄』の姿を探した。
俺は絡みつくような、不躾な大人達の視線を避けるようにどんどんと人気の少ない方へネオン街の奥へ足を進めていた。
そこは所謂治安がよろしくない場所だったらしく、他人の往来も少なく人影も疎らな裏路地。
頼りになる灯りは街灯だけれど、その街灯も暗闇を照らし切れてはいない。
蛾がその街灯目掛けて突進していくため時折ジジッと蛾の命が失われる音も聞こえ、俺の恐怖を煽る為のような小道具としての役割としてしか機能していない。
そんな状況の中最悪な事に、近くで若い男達が言い争う声と怒号が聞こえてきた。
あぁこれ俺、死んだな。
ちょっと同級生の中ではリーダー格で勉強も運動もそつなくこなして何でも出来る気がしていたけど――
「にゃー」
「ふぎゃぁっ!!猫……。ゔぅ……、怖いよ。兄ちゃん助けて……」
野良猫が道を横切ろうと飛び出してきたが、俺の前でピタリと止まるとひたりと鈍く光った瞳で見つめ、俺が怯えた姿を小馬鹿にした様に鳴いた。
猫にまで馬鹿にされたことの羞恥や恐怖、空腹感、色々な感情が込み上げ俺はポロポロと涙を溢れさせしゃくりあげながら、とうに限界が来ていた足に力が入らなくなり道端に座り込んだ。
「おい。ちびっ子?大丈夫か?」
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