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四章 W5・砂漠エリアです!
十七話 砂漠イベントです!
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エリア限定のイベントの告知に、プレイヤーたちは色めきたった。俺たちも無論例外ではない。
「エリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』開催決定!! 」
「絶対参加しましょうよ! これ! 」
「そうだね! 内容は書いてある? 」
「ええとですね。」
貼り紙の下の方には、イベントの内容について書いてあった。
イベントの内容は、簡単に言うとモンスターの討伐だ。ここにきてオーソドックスなイベントである。
「砂漠内にいるモンスター全てが対象なようです。」
「へえ、しかもポイント制みたいだね。」
「特別指定モンスターはそれぞれ個別のポイントが設けられてるみたいですけど、それ以外は一律で10ポイントですよ。」
「じゃあさっきの鉄サソリみたいなのはコスパが悪いってことですね。」
「そうだね。そこら辺も考えないといけないのか。」
イベントの開催は明日の21時だった。
今日はもうすることがないということで、翌日の18時を集合時間に決めてから解散した。
翌日、俺は仕事を手早く済ませてからログインした。原稿になにか問題があったとしても、俺はもうゲームの中だ。
決められた18時に広場でミヤビと集合した。にしても、彼女は一体どんな生活をしているのだろうか?
俺はこの通りだから、ゲームにもしょっちゅうログインできるのだけれど、彼女はどうしてこんなにたくさんゲームができるのだろうか?
「どうしました? ロータスさん。」
「ああ、いや。なんでもないよ。」
3時間も前乗りしたのは、下見のためだ。俺たちはまだ砂漠全体を見てはいない。このままでイベントに臨んでは、不利になってしまう。
情報が大切なのは、前回のイベントでも思い知っているので、その教訓を活かすのだ。
砂漠に出ると、ほかのプレイヤーがチラホラと見えた。彼らもおそらくはイベントに参加する予定なのだろう。
「ライバルですかね。今のうちに消してしまえたらいいのに。」
「おいおい、怖いよ! 」
「冗談ですよ、冗談。」
冗談とは言いながらミヤビは背中の杖に手をかけていた。
砂漠の端の方を目指して歩いてみた。どこまでも広陵で、代わり映えのない景色。地図が無ければすぐに迷ってしまいそうだ。
その間遭遇するモンスターたちはざっと六種類程度。「オイルタンク」、「鉄サソリ」、「化けコブラ」は戦ったことがあったが、他にもいたのだ。
一つは「サンドフィッシュ」。人の体の大きさほどの魚のモンスターだ。砂の中を素早く泳ぎ回るので割と厄介。
二匹目は「サボテンドール」。歩くサボテンのモンスターだ。見た目通りの物理系なので、俺たちとの相性は結構良さそうである。
三匹目は「デザートワーム」だ。こいつはレアな部類らしく、俺たちが歩く間に一回しか遭遇しなかった。その割には何かの特徴があるわけでもなかった。
ひとしきり砂漠をまわり終えた。
「こんなもんでしょうかね。」
「まあこんだけ周れば遭遇してないモンスターはいないんじゃないかな。」
「でも、特別指定が一匹も現れなかったのは疑問ですね。」
イベントの告知には、特別指定モンスターの出現が示唆されていた。
しかし、俺たちが砂漠を歩いている間、影さえも見ることはなかった。
「もしかしたら、イベント本番にならないと遭遇しない仕様なんじゃないかな? 」
周りのプレイヤーたちも、特別指定とは遭遇していないようだった。
オアシスの町に戻る頃には、20時半になっていた。
「割と時間かかりましたね。」
「下見してたら遅刻しましたなんて笑えないからね。」
広場を見れば、すでに準備を整えているパーティーが何組かあった。
広場のヤシの木のもとで座って待っているプレイヤーもいた。
「今回は競争になるんだね。」
「上位十パーティーに賞品だそうです。」
「賞品って? 」
掲示板の告知の下の方を見ると、賞品の内容について書かれてあった。
「10,000ゴールド、『砂漠の涙』」
と、書かれてある。
「この、『砂漠の涙』ってのは何なんでしょうね。」
「多分装備品だろうね。どんな見た目でどんな効果なのかは全く分からないけど。」
『砂漠の涙』の説明は一切無かった。
もうすぐ21時になるところ。日はもう遠くに落ちてしまい、空は紺色。アラビアンナイトの世界だ。
広場には参加パーティーが一同に会した。人数は百余人。パーティー数にして30程度か。
賞品を貰うためには上位三分の一に入らなければならない。
21時になって、広場の中央に案内ドラゴンが現れた。
「お待たせ、プレイヤーのみんな! 今からエリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』を開催するよ! 」
「「「オオオオオ!!! 」」」
広場は盛り上がっていた。
俺たちはなまじ早く広場に着いていたがために、この広場のど真ん中にいた。
「凄まじい熱気だね。」
「みんな楽しみだったんでしょうね。」
案内ドラゴンは説明を始めた。
「今回のイベントについて簡単なルール説明だよ。今回は、みんなにはモンスターの討伐ポイントで競ってもらう。討伐ポイントについてはイベントルールを開いてもらえばいつでも見ることができるよ! 」
書かれてあったことと同じだ。
「スタート地点はこの広場。時間は21時10分から22時10分までの1時間! ポイント上位十組のパーティーにはステキな賞品があるよ! 僕からの説明はそのくらいかな? みんなの健闘を祈っているよ! 」
そう言い残して、案内ドラゴンは消えた。
「エリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』開催決定!! 」
「絶対参加しましょうよ! これ! 」
「そうだね! 内容は書いてある? 」
「ええとですね。」
貼り紙の下の方には、イベントの内容について書いてあった。
イベントの内容は、簡単に言うとモンスターの討伐だ。ここにきてオーソドックスなイベントである。
「砂漠内にいるモンスター全てが対象なようです。」
「へえ、しかもポイント制みたいだね。」
「特別指定モンスターはそれぞれ個別のポイントが設けられてるみたいですけど、それ以外は一律で10ポイントですよ。」
「じゃあさっきの鉄サソリみたいなのはコスパが悪いってことですね。」
「そうだね。そこら辺も考えないといけないのか。」
イベントの開催は明日の21時だった。
今日はもうすることがないということで、翌日の18時を集合時間に決めてから解散した。
翌日、俺は仕事を手早く済ませてからログインした。原稿になにか問題があったとしても、俺はもうゲームの中だ。
決められた18時に広場でミヤビと集合した。にしても、彼女は一体どんな生活をしているのだろうか?
俺はこの通りだから、ゲームにもしょっちゅうログインできるのだけれど、彼女はどうしてこんなにたくさんゲームができるのだろうか?
「どうしました? ロータスさん。」
「ああ、いや。なんでもないよ。」
3時間も前乗りしたのは、下見のためだ。俺たちはまだ砂漠全体を見てはいない。このままでイベントに臨んでは、不利になってしまう。
情報が大切なのは、前回のイベントでも思い知っているので、その教訓を活かすのだ。
砂漠に出ると、ほかのプレイヤーがチラホラと見えた。彼らもおそらくはイベントに参加する予定なのだろう。
「ライバルですかね。今のうちに消してしまえたらいいのに。」
「おいおい、怖いよ! 」
「冗談ですよ、冗談。」
冗談とは言いながらミヤビは背中の杖に手をかけていた。
砂漠の端の方を目指して歩いてみた。どこまでも広陵で、代わり映えのない景色。地図が無ければすぐに迷ってしまいそうだ。
その間遭遇するモンスターたちはざっと六種類程度。「オイルタンク」、「鉄サソリ」、「化けコブラ」は戦ったことがあったが、他にもいたのだ。
一つは「サンドフィッシュ」。人の体の大きさほどの魚のモンスターだ。砂の中を素早く泳ぎ回るので割と厄介。
二匹目は「サボテンドール」。歩くサボテンのモンスターだ。見た目通りの物理系なので、俺たちとの相性は結構良さそうである。
三匹目は「デザートワーム」だ。こいつはレアな部類らしく、俺たちが歩く間に一回しか遭遇しなかった。その割には何かの特徴があるわけでもなかった。
ひとしきり砂漠をまわり終えた。
「こんなもんでしょうかね。」
「まあこんだけ周れば遭遇してないモンスターはいないんじゃないかな。」
「でも、特別指定が一匹も現れなかったのは疑問ですね。」
イベントの告知には、特別指定モンスターの出現が示唆されていた。
しかし、俺たちが砂漠を歩いている間、影さえも見ることはなかった。
「もしかしたら、イベント本番にならないと遭遇しない仕様なんじゃないかな? 」
周りのプレイヤーたちも、特別指定とは遭遇していないようだった。
オアシスの町に戻る頃には、20時半になっていた。
「割と時間かかりましたね。」
「下見してたら遅刻しましたなんて笑えないからね。」
広場を見れば、すでに準備を整えているパーティーが何組かあった。
広場のヤシの木のもとで座って待っているプレイヤーもいた。
「今回は競争になるんだね。」
「上位十パーティーに賞品だそうです。」
「賞品って? 」
掲示板の告知の下の方を見ると、賞品の内容について書かれてあった。
「10,000ゴールド、『砂漠の涙』」
と、書かれてある。
「この、『砂漠の涙』ってのは何なんでしょうね。」
「多分装備品だろうね。どんな見た目でどんな効果なのかは全く分からないけど。」
『砂漠の涙』の説明は一切無かった。
もうすぐ21時になるところ。日はもう遠くに落ちてしまい、空は紺色。アラビアンナイトの世界だ。
広場には参加パーティーが一同に会した。人数は百余人。パーティー数にして30程度か。
賞品を貰うためには上位三分の一に入らなければならない。
21時になって、広場の中央に案内ドラゴンが現れた。
「お待たせ、プレイヤーのみんな! 今からエリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』を開催するよ! 」
「「「オオオオオ!!! 」」」
広場は盛り上がっていた。
俺たちはなまじ早く広場に着いていたがために、この広場のど真ん中にいた。
「凄まじい熱気だね。」
「みんな楽しみだったんでしょうね。」
案内ドラゴンは説明を始めた。
「今回のイベントについて簡単なルール説明だよ。今回は、みんなにはモンスターの討伐ポイントで競ってもらう。討伐ポイントについてはイベントルールを開いてもらえばいつでも見ることができるよ! 」
書かれてあったことと同じだ。
「スタート地点はこの広場。時間は21時10分から22時10分までの1時間! ポイント上位十組のパーティーにはステキな賞品があるよ! 僕からの説明はそのくらいかな? みんなの健闘を祈っているよ! 」
そう言い残して、案内ドラゴンは消えた。
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