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五章 ドリーム・リゾートです!
二十九話 リゾートに向かいます!
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マップの東にのっていたもう一つの町のマークは、リゾートだったのか。リーチはもうすでに見えなくなっていた。
掲示板を物色していたミヤビが帰ってきた。
「あまりいいものがありませんでした。」
「そうかい? 」
「はい、全部外を歩き回らなくちゃいけなくて……。」
「そりゃそうだろ! 」
本当にテンション低くなってるな、この娘。
俺はミヤビに、さっき聞いたリゾートのことを話した。
「あら、もう一方の街はリゾートになってたんですね。」
「そっちに行ってみないかい? 」
「まあ、それならいいですけど。」
リゾートとなると、ちょっと惹かれてしまうようで、顔は不機嫌ながらも、そそくさとギルドの出口に向かっていってしまった。
この町にも色々と他の建物があったのだけど、大体は俺たちにとっては用無しだった。
武器屋なんて特に行く必要がなかった。二人して特殊な装備をしている。特別指定二匹の武器だから、当然性能も並ではない。少なくとも、このエリアにある武器では比べものにはならない。
だから、武器屋には用がない。杖も大剣も、今以上のものなんてあるわけがない。
防具は普通だから、新調出来るんじゃないかとも思ったが、それも無理だった。ここのエリアでは、全くと言っていいほど普通の装備がうっていないのである。
面倒くさがるミヤビを引っ張って、防具屋には顔を出したのだが、今装備している「盗賊のローブ」以外に盗賊の装備が一つもなかった。
というより、強い装備そのものが置かれていない。代わりに、全職種共通の水着が大量に売られている。
防御力はあまりない。デザイン性を重視している。
「一着買っとかないかい? リゾートで使うかもしれないじゃない? 」
「そんなこと言って、私の水着姿見たいんですか? 下心が透けて見えてますよ? 」
「な、なにを言うんだ。そういうわけじゃないさ。」
そんなことを言いつつも、結局二人して水着を買った。ゴールドを出し渋る理由はもちろんないし、周りにいるプレイヤーたちの中でも、水着を着ている人は多かったので、買っておいたのだ。
水着なんて、いつぶりだろうか。ミヤビはどうやら俺よりも数段若いようだから、現実でも水着を持っているかもしれないけど。そういえば、実家がここみたいな南国だしな。
「ミヤビって、今は実家に住んでるの? 」
「あ、いや。もう実家は出てます。福岡の方まで出てきて一人暮らしをしてますよ。」
おっと、意外だな。
「俺も福岡住みだよ。奇遇だね。」
「そうなんですか! パーティー組んでちょっと経つのに、初めて聞きました。」
現実でも近い場所にいたとは。俺はまだミヤビの本名も、姿も知らないけど。
一人暮らしとなると、もう一つ気になる。
「実家へは帰ったりするの? 」
「いや、ありませんね。沖縄を出てからは一度も。」
それより、一度も帰らないってのは、どういうことだろう。普通は帰省くらいするだろう。俺だって年に一回は実家に帰るぞ。
ただ、それ以上は話さなかった。ミヤビの機嫌が少しずつ直りかけているのを、無駄にはしたくなかった。
防具屋を出ると、いよいよ用はなしということで、俺たちは町を出た。東の方角を向けば、確かに大きな建造物の影がみえる。
歩いているうちに、このエリアに来て初めて敵と遭遇した。
敵のモンスターの名前は「人喰いハイビスカス」。歩くハイビスカスの魔物だった。
なんとも南国らしいモンスターだったが、苦戦するはずもなく、瞬殺した。
それにしても、このエリアは敵と遭遇する頻度が恐ろしく低い。そういうエリアなのだろうか。
リゾートにも、すぐに着いた。
「わあああ! すごいですよ! 」
ゲートを抜けると、そこは目も眩むような桃源郷だった。
リゾートはどこもかしこも陽気な雰囲気。楽しむプレイヤーたちに埋め尽くされていた。
真ん中にタワーが立ち、その周りを囲うようにプールが広がっている。というか、一階のフロアは屋内も屋外も全てプールになっていた。
プールサイドには、ドリンクだのフードだの、さらには雑貨だの、いろいろなものが屋台で売られている。
「ほら、やっぱり水着が必要だったじゃん。」
「思ったよりガチガチのリゾートでしたね。」
俺たちは屋内でトロピカルジュースを買って、外に出た。ゲームの中の飲み物なんて、不可思議極まりないものだけど、試しに一口ストローを吸うと、ちゃんとジュースの味がした。
まったくどんな技術を使っているのか。味までする。しかし腹は満たされない。やはり他と同じで感覚だけがあるという具合だ。
屋外の広いプールに出た。子どものプレイヤーがプールの中で遊んでおり、パラソルの下ではサングラスをかけて寝ている人もたくさんいた。
俺たちは空いているテーブルタイプのパラソルを見つけて、そこに腰掛けた。
落ち着いてジュースを飲もうという段だったが、俺の後ろを通った二人組の会話が耳に止まった。
「なあ、聞いたか? 」
「何が? 」
「このゲーム、パーティー組まずに一人でも進めるようになったらしいぞ。」
掲示板を物色していたミヤビが帰ってきた。
「あまりいいものがありませんでした。」
「そうかい? 」
「はい、全部外を歩き回らなくちゃいけなくて……。」
「そりゃそうだろ! 」
本当にテンション低くなってるな、この娘。
俺はミヤビに、さっき聞いたリゾートのことを話した。
「あら、もう一方の街はリゾートになってたんですね。」
「そっちに行ってみないかい? 」
「まあ、それならいいですけど。」
リゾートとなると、ちょっと惹かれてしまうようで、顔は不機嫌ながらも、そそくさとギルドの出口に向かっていってしまった。
この町にも色々と他の建物があったのだけど、大体は俺たちにとっては用無しだった。
武器屋なんて特に行く必要がなかった。二人して特殊な装備をしている。特別指定二匹の武器だから、当然性能も並ではない。少なくとも、このエリアにある武器では比べものにはならない。
だから、武器屋には用がない。杖も大剣も、今以上のものなんてあるわけがない。
防具は普通だから、新調出来るんじゃないかとも思ったが、それも無理だった。ここのエリアでは、全くと言っていいほど普通の装備がうっていないのである。
面倒くさがるミヤビを引っ張って、防具屋には顔を出したのだが、今装備している「盗賊のローブ」以外に盗賊の装備が一つもなかった。
というより、強い装備そのものが置かれていない。代わりに、全職種共通の水着が大量に売られている。
防御力はあまりない。デザイン性を重視している。
「一着買っとかないかい? リゾートで使うかもしれないじゃない? 」
「そんなこと言って、私の水着姿見たいんですか? 下心が透けて見えてますよ? 」
「な、なにを言うんだ。そういうわけじゃないさ。」
そんなことを言いつつも、結局二人して水着を買った。ゴールドを出し渋る理由はもちろんないし、周りにいるプレイヤーたちの中でも、水着を着ている人は多かったので、買っておいたのだ。
水着なんて、いつぶりだろうか。ミヤビはどうやら俺よりも数段若いようだから、現実でも水着を持っているかもしれないけど。そういえば、実家がここみたいな南国だしな。
「ミヤビって、今は実家に住んでるの? 」
「あ、いや。もう実家は出てます。福岡の方まで出てきて一人暮らしをしてますよ。」
おっと、意外だな。
「俺も福岡住みだよ。奇遇だね。」
「そうなんですか! パーティー組んでちょっと経つのに、初めて聞きました。」
現実でも近い場所にいたとは。俺はまだミヤビの本名も、姿も知らないけど。
一人暮らしとなると、もう一つ気になる。
「実家へは帰ったりするの? 」
「いや、ありませんね。沖縄を出てからは一度も。」
それより、一度も帰らないってのは、どういうことだろう。普通は帰省くらいするだろう。俺だって年に一回は実家に帰るぞ。
ただ、それ以上は話さなかった。ミヤビの機嫌が少しずつ直りかけているのを、無駄にはしたくなかった。
防具屋を出ると、いよいよ用はなしということで、俺たちは町を出た。東の方角を向けば、確かに大きな建造物の影がみえる。
歩いているうちに、このエリアに来て初めて敵と遭遇した。
敵のモンスターの名前は「人喰いハイビスカス」。歩くハイビスカスの魔物だった。
なんとも南国らしいモンスターだったが、苦戦するはずもなく、瞬殺した。
それにしても、このエリアは敵と遭遇する頻度が恐ろしく低い。そういうエリアなのだろうか。
リゾートにも、すぐに着いた。
「わあああ! すごいですよ! 」
ゲートを抜けると、そこは目も眩むような桃源郷だった。
リゾートはどこもかしこも陽気な雰囲気。楽しむプレイヤーたちに埋め尽くされていた。
真ん中にタワーが立ち、その周りを囲うようにプールが広がっている。というか、一階のフロアは屋内も屋外も全てプールになっていた。
プールサイドには、ドリンクだのフードだの、さらには雑貨だの、いろいろなものが屋台で売られている。
「ほら、やっぱり水着が必要だったじゃん。」
「思ったよりガチガチのリゾートでしたね。」
俺たちは屋内でトロピカルジュースを買って、外に出た。ゲームの中の飲み物なんて、不可思議極まりないものだけど、試しに一口ストローを吸うと、ちゃんとジュースの味がした。
まったくどんな技術を使っているのか。味までする。しかし腹は満たされない。やはり他と同じで感覚だけがあるという具合だ。
屋外の広いプールに出た。子どものプレイヤーがプールの中で遊んでおり、パラソルの下ではサングラスをかけて寝ている人もたくさんいた。
俺たちは空いているテーブルタイプのパラソルを見つけて、そこに腰掛けた。
落ち着いてジュースを飲もうという段だったが、俺の後ろを通った二人組の会話が耳に止まった。
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「何が? 」
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