14 / 43
二章 貧村の救世主
十四話
しおりを挟む
死を予感した流れ矢は、瞬きの次の瞬間にはもう僕の前から消えていた。代わりに目の前にあったのは、光り鋭い白銀の刃だった。
いつの間にか腰の剣を抜き去ったアイラは僕たちに迫る矢をことごとく叩き落としてしまったのだ。
「大丈夫だよ、そんなに縮こまらなくても。」
微かに僕の方を向いたアイラの瞳は心強かった。
行く手には待ち構えている蛮族たちもいくらかいた。彼らはオノや槍などを構えていた。だがアイラは彼らにかまうことなく突っ切っていく。蛮族たちも馬上のアイラ目掛けて武器を振るうが彼女は全てを打ち払ってしまう。
蛮族たちは今度は馬を狙い始めた。「将を射んとする者は先ず馬を射よ。」とはいうが、無駄なことだった。ギャロップマリンは親のシャコ譲りの硬い外殻に覆われているので、蛮族の攻撃くらいでは傷一つつかないのである。蛮族たちは結局剣先ひとつたりとも僕たちに当てることはかなわなかった。
逃避行はその後も続いた。かなりの数の蛮族どもを抜き去ってしまったらしく、矢は後ろからしか飛んで来なくなった。それでもアイラは器用に避けたり払ったりするからすごい。
「あと少しだから頑張って頂戴よ。」
励まされてばかりで情けなかったが、実際僕は神経をすり減らしていた。それに対してアイラは余裕綽々という様子。一体彼女は今までどんな人生を送ってきたのだろうか。
前が完全に開けたと思ったら、今度は蛮族とは明らかに違う、秩序だった集団が見えた。全員が銀色の鎧に身を包んでおり、馬に騎乗していた。集団のところどころには、月白色の下地に紺の八角星を浮かべた旗が揺らめいていた。
あれはホルンメランの紋章だ! 彼らはすでに迎撃態勢を整えたようだった。矢が僕たちに飛んでこなくなって、初めてアイラは完全に振り返った。
「よく頑張ったわね。普通の人間なのに凄いじゃない。どう? 自分が作った騎馬団に守られる気分は。」
「もう何も考えられないよ。……でも、悪くはないかな。」
僕たちが近づいていくと、軍団の真ん中がモーセのごとく割れた。
アイラは軍の一番奥までたどり着くと、手綱を引いてスピードを緩めた。中央の一番奥に控えていたレイナス大佐を見つけたので、アイラはそこで馬を止めて下馬した。僕も彼女の手に引かれて馬から降りた。最も立派なウイングレーに騎乗していた大佐はアイラを見ると慌てて下馬した。
「ジョシュア伯! よくご無事で。」
「いや、大したことはないよ。でも私がはっきり狙われていた。」
「それはまた気味の悪い話ですね。」
しかし実際アイラを逃した蛮族たちは、それ以上深追いしてくる様子を見せなかった。
アイラと大佐は再び馬に乗った。僕はというと、あらかじめ用意されていた馬車に案内された。僕のことまで気遣ってくれるのだからありがたい。
迎撃のために隊列を組んでいた騎馬軍団だったが、徐々に撤退していく蛮族たちを追い討ちにすることはなかった。
その後一旦帰された僕だったが、戦闘に巻き込まれたということで、その日の晩に軍施設に呼び出された。集まっていたのはホルンメラン分団の将官全員とアイラだった。ランプ一つが真ん中にあるだけの暗い部屋だったので、全部で何人いるのか、どれが誰なのかはアイラ以外はよく分からなかった。
「皆の集合感謝する。招集の理由はもうすでに分かっているだろう。今日の昼のことだ。」
アイラは力強く堅めの口調で話しだした。
「蛮族どもの侵攻は今回が初めてではないし、大して珍しいことでもない。ただ今回は奇妙だった。」
「奇妙というと? 」
そう尋ねたのは、スキンヘッドがランプの灯を丸く照り返すチャロッサ・メイデン少将だった。僕はすでに彼とは何度か顔を合わせており、軽い顔馴染み程度にはなっていた。
「まず一つは私を狙っていたことだ。いや、狙うこと自体は特段不思議じゃないな。私とてこのホルンメランの首長なのだから。しかし『狙うことができた』ことがおかしいのだ。どうして私が今日ホルンメランから離れると予想できたのか。」
それはそうだ。蛮族たちはアイラだけを狙い撃ちにしていた。現にホルンメラン自体の被害はゼロである。
将官たちはざわついた。首長の暗殺未遂だったのだから、当然といえば当然か。
「しかし私の行き先までは分からなかったらしい。分かっていたらソナリ村を攻撃するだろうからね。だからホルンメランに裏切り者がいるわけじゃない。諸君にはそこは安心して欲しい。」
「ホルンメランには? 」
エデルハン中将が反応した。
「他の場所にはいると? 」
「うん、確かにいるはずだ。」
「どうしてそう思うのです。」
「遠目で見ていた君らには分からなかっただろうが、奴らの中には明らかに蛮族じゃない人間がちらほら混ざっていた。」
思わぬ展開にまた将官たちはざわついた。僕も当惑していた。あまりよくは理解していなかったが。
「それに引き際の鮮やかさも蛮族のそれではなかった。おそらく指揮していたのは蛮族ではないのだろう。」
メイデン少将はまた口を開いた。
「それは本当かね、タイセイくん。君もジョシュア伯と一緒にいたのだろう? 」
彼は僕に振ってきた。
「いや、僕には何が何やら。」
少将は苦笑いを浮かべた。
「許してやってくれ。彼は一般人なんだ。」
中将がフォローしてくれた。
アイラはまた話し始めた。
「あの蛮族は西の地方の部族だったはずだ。なら混じっていた者たちも西の人間だと考えるのが妥当だろう。他国の可能性はあまり考えられない。私の予定を知り得た国内の人間たちだろう。」
「西だと……パゴスキーくん、地図を持ってきてくれたまえ。」
中将から名指しで呼ばれたのは、ピオーネ・パゴスキー准将だ。僕は彼女とは面識がないが、聞くところによると相当頭が切れるらしい。まあそうじゃなきゃ僕より明らかに若いのに将官になるわけがない。
パゴスキー准将はすでに地図を用意していた。前に出てきて地図を広げると、ランプの灯が彼女の深緑の髪をほのかに照らしだした。
「こちらがホルンメラン以西の地図になります。」
そう言って准将は地図の端にあるボタンをおした。すると地図からホログラムが上に展開して、立体図に変化した。
「おいおいパゴスキー准将。まあ問題はないのだが、どうして立体図なんだ? 」
メイデン少将が尋ねた。
「はい、首長閣下は国内の反乱者を疑っておられるが、そうなると候補が三都市ございます。一つ目はシャラパナ最西端のタバナです。しかしタバナは小都市であり、蛮族どもを動かせるほどの力はありません。ですから疑わしいのは残り二つです。」
「ニフラインとゴースだな。」
アイラが指さした。
ニフラインとゴースは共にホルンメランの北西の都市だった。ニフラインは山脈の手前に位置し、ゴースは奥だった。
「この二都市を吟味するにあたって、立体図が有用です。ゴースはたしかにホルンメランの近くにはありますが、間に山脈が通っています。もし仮に反乱を起こすというなら、ホルンメランを狙うよりも北東の首都シャラトーゼを直接攻めてしまった方が手っ取り早いのです。少なくとも小官ならそうします。」
確かに准将の言うとおりだ。ではアイラを狙った犯人は……
「よって蛮族どもをけしかけて閣下を狙ったのはニフラインのワイド伯爵でしょう。そしてホルンメランの首長を攻撃したのですから、反乱の兆候有りです。」
将官一同は唸った。見事な考察である。アイラも准将の考えを肯定した。
しかし犯人の目星がついても大問題が一つあった。
「証拠がなければ討伐できないからな。下手すればこちらが反逆者認定されてしまう。」
そうだ、どこまでいってもこれまでの話は憶測に過ぎないのである。
「セルギアン公にご報告したとして、征討の許可は降りないだろうな。」
アイラは頬に手を当てて考えていた。
「情報を集めてはいかがですか。」
准将はアイラにそう進言した。
「しかし、どこから? 」
「ゴースからです。」
「なるほど、近所だしな。」
「しかもゴースの首長・ノース子爵はワイド伯と仲が悪いことで有名ですから、何か話してくれるでしょう。」
次から次に、本当に頭の回転が速いんだなこの娘は。後ろのおじさん一同はすっかり舌を巻いていた。
ノース子がワイド伯と犬猿の仲であることは分かったが、だからといって、突然押しかけてなにかを教えてもらえるのだろうか?
そこも准将には考えがあるようだった。
「もちろんただゴースに行って何かを教えてもらえるとは思いません。ですからぜひともあなたの力を貸していただきたいのです、ハセガワ・タイセイさん。」
いつの間にか腰の剣を抜き去ったアイラは僕たちに迫る矢をことごとく叩き落としてしまったのだ。
「大丈夫だよ、そんなに縮こまらなくても。」
微かに僕の方を向いたアイラの瞳は心強かった。
行く手には待ち構えている蛮族たちもいくらかいた。彼らはオノや槍などを構えていた。だがアイラは彼らにかまうことなく突っ切っていく。蛮族たちも馬上のアイラ目掛けて武器を振るうが彼女は全てを打ち払ってしまう。
蛮族たちは今度は馬を狙い始めた。「将を射んとする者は先ず馬を射よ。」とはいうが、無駄なことだった。ギャロップマリンは親のシャコ譲りの硬い外殻に覆われているので、蛮族の攻撃くらいでは傷一つつかないのである。蛮族たちは結局剣先ひとつたりとも僕たちに当てることはかなわなかった。
逃避行はその後も続いた。かなりの数の蛮族どもを抜き去ってしまったらしく、矢は後ろからしか飛んで来なくなった。それでもアイラは器用に避けたり払ったりするからすごい。
「あと少しだから頑張って頂戴よ。」
励まされてばかりで情けなかったが、実際僕は神経をすり減らしていた。それに対してアイラは余裕綽々という様子。一体彼女は今までどんな人生を送ってきたのだろうか。
前が完全に開けたと思ったら、今度は蛮族とは明らかに違う、秩序だった集団が見えた。全員が銀色の鎧に身を包んでおり、馬に騎乗していた。集団のところどころには、月白色の下地に紺の八角星を浮かべた旗が揺らめいていた。
あれはホルンメランの紋章だ! 彼らはすでに迎撃態勢を整えたようだった。矢が僕たちに飛んでこなくなって、初めてアイラは完全に振り返った。
「よく頑張ったわね。普通の人間なのに凄いじゃない。どう? 自分が作った騎馬団に守られる気分は。」
「もう何も考えられないよ。……でも、悪くはないかな。」
僕たちが近づいていくと、軍団の真ん中がモーセのごとく割れた。
アイラは軍の一番奥までたどり着くと、手綱を引いてスピードを緩めた。中央の一番奥に控えていたレイナス大佐を見つけたので、アイラはそこで馬を止めて下馬した。僕も彼女の手に引かれて馬から降りた。最も立派なウイングレーに騎乗していた大佐はアイラを見ると慌てて下馬した。
「ジョシュア伯! よくご無事で。」
「いや、大したことはないよ。でも私がはっきり狙われていた。」
「それはまた気味の悪い話ですね。」
しかし実際アイラを逃した蛮族たちは、それ以上深追いしてくる様子を見せなかった。
アイラと大佐は再び馬に乗った。僕はというと、あらかじめ用意されていた馬車に案内された。僕のことまで気遣ってくれるのだからありがたい。
迎撃のために隊列を組んでいた騎馬軍団だったが、徐々に撤退していく蛮族たちを追い討ちにすることはなかった。
その後一旦帰された僕だったが、戦闘に巻き込まれたということで、その日の晩に軍施設に呼び出された。集まっていたのはホルンメラン分団の将官全員とアイラだった。ランプ一つが真ん中にあるだけの暗い部屋だったので、全部で何人いるのか、どれが誰なのかはアイラ以外はよく分からなかった。
「皆の集合感謝する。招集の理由はもうすでに分かっているだろう。今日の昼のことだ。」
アイラは力強く堅めの口調で話しだした。
「蛮族どもの侵攻は今回が初めてではないし、大して珍しいことでもない。ただ今回は奇妙だった。」
「奇妙というと? 」
そう尋ねたのは、スキンヘッドがランプの灯を丸く照り返すチャロッサ・メイデン少将だった。僕はすでに彼とは何度か顔を合わせており、軽い顔馴染み程度にはなっていた。
「まず一つは私を狙っていたことだ。いや、狙うこと自体は特段不思議じゃないな。私とてこのホルンメランの首長なのだから。しかし『狙うことができた』ことがおかしいのだ。どうして私が今日ホルンメランから離れると予想できたのか。」
それはそうだ。蛮族たちはアイラだけを狙い撃ちにしていた。現にホルンメラン自体の被害はゼロである。
将官たちはざわついた。首長の暗殺未遂だったのだから、当然といえば当然か。
「しかし私の行き先までは分からなかったらしい。分かっていたらソナリ村を攻撃するだろうからね。だからホルンメランに裏切り者がいるわけじゃない。諸君にはそこは安心して欲しい。」
「ホルンメランには? 」
エデルハン中将が反応した。
「他の場所にはいると? 」
「うん、確かにいるはずだ。」
「どうしてそう思うのです。」
「遠目で見ていた君らには分からなかっただろうが、奴らの中には明らかに蛮族じゃない人間がちらほら混ざっていた。」
思わぬ展開にまた将官たちはざわついた。僕も当惑していた。あまりよくは理解していなかったが。
「それに引き際の鮮やかさも蛮族のそれではなかった。おそらく指揮していたのは蛮族ではないのだろう。」
メイデン少将はまた口を開いた。
「それは本当かね、タイセイくん。君もジョシュア伯と一緒にいたのだろう? 」
彼は僕に振ってきた。
「いや、僕には何が何やら。」
少将は苦笑いを浮かべた。
「許してやってくれ。彼は一般人なんだ。」
中将がフォローしてくれた。
アイラはまた話し始めた。
「あの蛮族は西の地方の部族だったはずだ。なら混じっていた者たちも西の人間だと考えるのが妥当だろう。他国の可能性はあまり考えられない。私の予定を知り得た国内の人間たちだろう。」
「西だと……パゴスキーくん、地図を持ってきてくれたまえ。」
中将から名指しで呼ばれたのは、ピオーネ・パゴスキー准将だ。僕は彼女とは面識がないが、聞くところによると相当頭が切れるらしい。まあそうじゃなきゃ僕より明らかに若いのに将官になるわけがない。
パゴスキー准将はすでに地図を用意していた。前に出てきて地図を広げると、ランプの灯が彼女の深緑の髪をほのかに照らしだした。
「こちらがホルンメラン以西の地図になります。」
そう言って准将は地図の端にあるボタンをおした。すると地図からホログラムが上に展開して、立体図に変化した。
「おいおいパゴスキー准将。まあ問題はないのだが、どうして立体図なんだ? 」
メイデン少将が尋ねた。
「はい、首長閣下は国内の反乱者を疑っておられるが、そうなると候補が三都市ございます。一つ目はシャラパナ最西端のタバナです。しかしタバナは小都市であり、蛮族どもを動かせるほどの力はありません。ですから疑わしいのは残り二つです。」
「ニフラインとゴースだな。」
アイラが指さした。
ニフラインとゴースは共にホルンメランの北西の都市だった。ニフラインは山脈の手前に位置し、ゴースは奥だった。
「この二都市を吟味するにあたって、立体図が有用です。ゴースはたしかにホルンメランの近くにはありますが、間に山脈が通っています。もし仮に反乱を起こすというなら、ホルンメランを狙うよりも北東の首都シャラトーゼを直接攻めてしまった方が手っ取り早いのです。少なくとも小官ならそうします。」
確かに准将の言うとおりだ。ではアイラを狙った犯人は……
「よって蛮族どもをけしかけて閣下を狙ったのはニフラインのワイド伯爵でしょう。そしてホルンメランの首長を攻撃したのですから、反乱の兆候有りです。」
将官一同は唸った。見事な考察である。アイラも准将の考えを肯定した。
しかし犯人の目星がついても大問題が一つあった。
「証拠がなければ討伐できないからな。下手すればこちらが反逆者認定されてしまう。」
そうだ、どこまでいってもこれまでの話は憶測に過ぎないのである。
「セルギアン公にご報告したとして、征討の許可は降りないだろうな。」
アイラは頬に手を当てて考えていた。
「情報を集めてはいかがですか。」
准将はアイラにそう進言した。
「しかし、どこから? 」
「ゴースからです。」
「なるほど、近所だしな。」
「しかもゴースの首長・ノース子爵はワイド伯と仲が悪いことで有名ですから、何か話してくれるでしょう。」
次から次に、本当に頭の回転が速いんだなこの娘は。後ろのおじさん一同はすっかり舌を巻いていた。
ノース子がワイド伯と犬猿の仲であることは分かったが、だからといって、突然押しかけてなにかを教えてもらえるのだろうか?
そこも准将には考えがあるようだった。
「もちろんただゴースに行って何かを教えてもらえるとは思いません。ですからぜひともあなたの力を貸していただきたいのです、ハセガワ・タイセイさん。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる