15 / 43
三章 切れ者少女、ゴースに立つ
十五話
しおりを挟む
パゴスキー准将は突然僕を指名した。彼女は何かを考えて言っているのだろうが、当の僕には訳がわからなかった。
「どういうことです? 僕の力が借りたいだなんて。」
「タイセイさんは騎馬の件といいソナリ村の件といい、生物に関して造詣が深いとお見受けします。」
いや、それは買い被りだ。やめてくれ、将官全員がこっちを見ているじゃないか。
「ノース子爵は大変な動物好きとして知られていますから、彼との交渉に際してはあなたの知識と能力が頼りになるのです。」
理由は分かったが、それにしても荷が重い。僕はどこまでいっても一般の官吏にすぎないのだ。……しかしもうすでに断れる雰囲気ではなかった。
「いいじゃないかパゴスキーくん。全く、秀逸なことを考える。」
中将がこう言ってしまったのだから、もう決定に等しいだろう。「分かりました」とだけ返答すると、准将はわずかに表情を緩めて
「ありがとうございます。」
とだけ言った。
出立は翌朝だった。旅路を行くのは僕とパゴスキー准将の二人だけだった。大勢で押しかけて子爵に警戒されたりしてはまずいからという理由らしい。
パゴスキー准将は軍服を着てはおらず、普通の旅の装いだった。山岳地帯を通っていくと聞いていたので僕は厚着をしていったのだが、彼女は半袖にマントを一枚羽織っているだけだった。
「そんな薄着で大丈夫なの? 」
「大丈夫です、雪国生まれなので。」
そっけなく返事した准将は用意された馬車に乗り込んだ。
随分と慣れた馬車の旅ではあったが、今回は一際タフだった。あまり整備されていない山道を登っては降りを繰り返すのでとにかく車内が揺れるのだ。馬たちもさすがに疲れてしまうので、途中何度も休憩を取った。准将は疲れる様子を全く見せなかったが。この世界の軍人たちは超人ばかりなのだろうか。
三度目の休憩を取ったときだった。場所は雪解けのあとの開けた草原。膝下ほどの丈の草々が一様に風に靡いていた。
だがそこは縄張りだったようで、いつの間にかえんじ色の大蛇が僕たちの馬車の前にいた。
「ねえ、パゴスキーさん。」
准将の方を向くと彼女はすでに荷台から槍を取り出していた。彼女の身長の二倍はある大槍だった。刃には何の金属が使われているのだろうか。燃えるような緋色をしていた。
准将の敵意を感じ取ったのだろうか。大蛇は彼女に狙いを定めた。大蛇は体を唸らせて准将のいるところを尻尾で薙ぎ払った。
准将は後ろへ飛び退くと、今度は攻撃後の無防備な大蛇に詰め寄った。そのまま槍で大蛇の背中を一突き。
狙いは外さなかった。だが、刃は浅くしか刺さらず、准将は暴れた大蛇に振り払われてしまった。
大蛇の体を覆う鱗は分厚かった。今の一突きでいくらか剥がれて、そのうちの一枚が僕の足元に飛んできた。拾い上げてみると辞書くらいの厚さだった。これじゃ槍が十分に刺さらないわけだ。
准将はまた距離をとった。しかし大蛇の方が体が大きいので簡単に距離を詰められてしまう。大蛇の体当たりや噛みつきなどの攻撃を、今は上手くいなせている。だがこれがいつまで持つかは分からない。
これがいつまで続くかと思われたが、突然大蛇が止まった。大蛇は正面の准将に向けて大きく口を開けた。
「危ない!! 」
と僕が叫んだ次の瞬間、大蛇は口から液体を発射した。
准将は前に屈んで液体を避けた。そのまま彼女の頭上を通り越した液体の球は後ろにあった岩に命中した。
岩は炎天下のアイスクリームのように溶け落ちてしまった。
「飛び道具とは、クセのあるやつだな。」
「気をつけて。酸だよ、これ。」
大蛇は再び口を開けて、二発目を発射しようとしていた。
准将は大蛇を中心にして時計回りに旋回して、二発目以降もかわし続けた。
このままではジリ貧だ。僕は自分にも何かしらできないかと思い、馬車の荷台を物色した。
一つの箱の中に大量の黒い球が仕舞われていた。
「これはなんです? 」
「爆弾ですよ。山道が塞がっていたとき用の。」
車夫は答えた。あるじゃないか! 役に立つものが。僕はその爆弾を二、三個抱えた。
爆弾は着火式だった。マッチもセットで準備されていたので問題はない。狙いは一つだった。
「パゴスキーさん、止まって! 」
「止まれるわけないでしょう! 」
「いいから! 次で決めるよ。」
准将はこちらをチラ見した。
「なるほど、そういうことですか。任せましたよ。」
准将は大蛇の真正面で走るのをやめた。
勝負はたった一回きり。僕が外せば准将が酸まみれになってしまう。外せない。そう思うと手が震えてきてしまう。……腹をくくれ、長谷川大成!
大蛇はここぞとばかりに准将に狙いを定めた。そして、狙い通りに大口を開いた。恐ろしいほど大きな口を。
「今ですよ、タイセイさん! 」
「任せてくれ! 」
僕は火をつけた爆弾を渾身の力をこめて放った。
爆弾は一直線に大蛇の喉の奥へと吸い込まれていった。我ながら見事なコントロールだったと思う。大蛇はそのままの勢いで爆弾を丸呑みにしてしまった。
それから数秒の間、沈黙が流れた。大蛇は混乱しているようだった。准将はまだ警戒を解かず、槍を構えていた。
突然ズドンと重い音が大蛇の腹から聞こえて大蛇が「ギャオ」と断末魔をあげた。そのまま大蛇は横向きに倒れてしまい、それから起き上がることはなかった。
大蛇が動かなくなったのを見てようやく准将は槍を下ろした。なかなか苦戦したように見えたが、結果的に准将はかすり傷一つ負っていなかった。
准将は僕の元へと戻ってきた。
「お見事でした、タイセイさん。」
「いや、君が勇敢だったおかげだよ。」
彼女は息一つ切らしていなかった。
僕たちは一応大蛇の死体を調べた。
「こいつ、マウントバジリスクという種類ですね。図鑑で見たことがあります。山岳地帯でよく旅人を襲うのだとか。」
割と有名な魔物なのか。まあ現に僕たちが襲われたわけだしな。
大蛇の死体から気になるものを見つけた。卵である。この蛇はメスだったらしく、どうやら死の淵で産卵していたようだ。何個か産んだうちの大半は大蛇自身の体に押しつぶされてしまっていたが、一つだけ無事だった。
僕はそのひとつだけ残っていた大蛇の卵がなんとなく放っておけず、拾い上げた。
僕たちはちょっと休憩してからまた出発した。眠気も少ししたが、いつまたあの大蛇のようなのが襲ってくるともしれないので、寝ることはできなかった。
しかしその後の道程は穏やかそのものだった。昇りきった日の光が馬車の隙間から差し込んでくるのは、余計に眠気を誘った。
ふと隣に目をやると、准将は肘枕で眠っていた。さっきまで大蛇に襲われていたというのに、太い神経をしているものだ。さっきまでの勇猛さが嘘のような幼なげな寝顔だった。
ゴースまでの道のりは遠く、結局この日は到着しなかった。僕たちは近くに焚き火を焚いたうえで、馬車に泊まった。
山岳の夜はひたすら冷えていて、体の芯から震わされるようだった。それでも准将は薄着のままで外に座っていた。
准将は空を見上げていた。僕も彼女の視線の先に目を向けると、満点の星空が優しく輝いていた。
「タイセイさん、頑張りましょうね。」
僕に気づいた彼女はそう言った。
「こんな静かな夜をホルンメランでもずっと過ごせるように。」
それきり言葉はもうなかった。
朝日が山際に溢れたのを合図に僕は目を覚ました。雪が陽を反射するから一際眩しかった。僕ら二人と車夫は荷台に乗せてあった携帯食で朝食を済ませると、早々と出発した。
道が徐々に平坦になった。それと同時に草木も増えて山道ではなくなっていった。
ひたすらだだっ広い平原の中を走る。聞こえてくるのは車輪が転がる音と馬の蹄の音だけだった。いや、時々風が木を揺らすのが聞こえた。
後ろの山が雲に霞むほどの遠さになった頃合いで、ゴースは見えてきた。
「あれですよ、タイセイさん。」
「ありゃ、意外と小さいんだな。」
「ホルンメランは大きいですからね。」
軽く見ただけだが、ゴースはホルンメランの半分ほどの大きさだった。
「どういうことです? 僕の力が借りたいだなんて。」
「タイセイさんは騎馬の件といいソナリ村の件といい、生物に関して造詣が深いとお見受けします。」
いや、それは買い被りだ。やめてくれ、将官全員がこっちを見ているじゃないか。
「ノース子爵は大変な動物好きとして知られていますから、彼との交渉に際してはあなたの知識と能力が頼りになるのです。」
理由は分かったが、それにしても荷が重い。僕はどこまでいっても一般の官吏にすぎないのだ。……しかしもうすでに断れる雰囲気ではなかった。
「いいじゃないかパゴスキーくん。全く、秀逸なことを考える。」
中将がこう言ってしまったのだから、もう決定に等しいだろう。「分かりました」とだけ返答すると、准将はわずかに表情を緩めて
「ありがとうございます。」
とだけ言った。
出立は翌朝だった。旅路を行くのは僕とパゴスキー准将の二人だけだった。大勢で押しかけて子爵に警戒されたりしてはまずいからという理由らしい。
パゴスキー准将は軍服を着てはおらず、普通の旅の装いだった。山岳地帯を通っていくと聞いていたので僕は厚着をしていったのだが、彼女は半袖にマントを一枚羽織っているだけだった。
「そんな薄着で大丈夫なの? 」
「大丈夫です、雪国生まれなので。」
そっけなく返事した准将は用意された馬車に乗り込んだ。
随分と慣れた馬車の旅ではあったが、今回は一際タフだった。あまり整備されていない山道を登っては降りを繰り返すのでとにかく車内が揺れるのだ。馬たちもさすがに疲れてしまうので、途中何度も休憩を取った。准将は疲れる様子を全く見せなかったが。この世界の軍人たちは超人ばかりなのだろうか。
三度目の休憩を取ったときだった。場所は雪解けのあとの開けた草原。膝下ほどの丈の草々が一様に風に靡いていた。
だがそこは縄張りだったようで、いつの間にかえんじ色の大蛇が僕たちの馬車の前にいた。
「ねえ、パゴスキーさん。」
准将の方を向くと彼女はすでに荷台から槍を取り出していた。彼女の身長の二倍はある大槍だった。刃には何の金属が使われているのだろうか。燃えるような緋色をしていた。
准将の敵意を感じ取ったのだろうか。大蛇は彼女に狙いを定めた。大蛇は体を唸らせて准将のいるところを尻尾で薙ぎ払った。
准将は後ろへ飛び退くと、今度は攻撃後の無防備な大蛇に詰め寄った。そのまま槍で大蛇の背中を一突き。
狙いは外さなかった。だが、刃は浅くしか刺さらず、准将は暴れた大蛇に振り払われてしまった。
大蛇の体を覆う鱗は分厚かった。今の一突きでいくらか剥がれて、そのうちの一枚が僕の足元に飛んできた。拾い上げてみると辞書くらいの厚さだった。これじゃ槍が十分に刺さらないわけだ。
准将はまた距離をとった。しかし大蛇の方が体が大きいので簡単に距離を詰められてしまう。大蛇の体当たりや噛みつきなどの攻撃を、今は上手くいなせている。だがこれがいつまで持つかは分からない。
これがいつまで続くかと思われたが、突然大蛇が止まった。大蛇は正面の准将に向けて大きく口を開けた。
「危ない!! 」
と僕が叫んだ次の瞬間、大蛇は口から液体を発射した。
准将は前に屈んで液体を避けた。そのまま彼女の頭上を通り越した液体の球は後ろにあった岩に命中した。
岩は炎天下のアイスクリームのように溶け落ちてしまった。
「飛び道具とは、クセのあるやつだな。」
「気をつけて。酸だよ、これ。」
大蛇は再び口を開けて、二発目を発射しようとしていた。
准将は大蛇を中心にして時計回りに旋回して、二発目以降もかわし続けた。
このままではジリ貧だ。僕は自分にも何かしらできないかと思い、馬車の荷台を物色した。
一つの箱の中に大量の黒い球が仕舞われていた。
「これはなんです? 」
「爆弾ですよ。山道が塞がっていたとき用の。」
車夫は答えた。あるじゃないか! 役に立つものが。僕はその爆弾を二、三個抱えた。
爆弾は着火式だった。マッチもセットで準備されていたので問題はない。狙いは一つだった。
「パゴスキーさん、止まって! 」
「止まれるわけないでしょう! 」
「いいから! 次で決めるよ。」
准将はこちらをチラ見した。
「なるほど、そういうことですか。任せましたよ。」
准将は大蛇の真正面で走るのをやめた。
勝負はたった一回きり。僕が外せば准将が酸まみれになってしまう。外せない。そう思うと手が震えてきてしまう。……腹をくくれ、長谷川大成!
大蛇はここぞとばかりに准将に狙いを定めた。そして、狙い通りに大口を開いた。恐ろしいほど大きな口を。
「今ですよ、タイセイさん! 」
「任せてくれ! 」
僕は火をつけた爆弾を渾身の力をこめて放った。
爆弾は一直線に大蛇の喉の奥へと吸い込まれていった。我ながら見事なコントロールだったと思う。大蛇はそのままの勢いで爆弾を丸呑みにしてしまった。
それから数秒の間、沈黙が流れた。大蛇は混乱しているようだった。准将はまだ警戒を解かず、槍を構えていた。
突然ズドンと重い音が大蛇の腹から聞こえて大蛇が「ギャオ」と断末魔をあげた。そのまま大蛇は横向きに倒れてしまい、それから起き上がることはなかった。
大蛇が動かなくなったのを見てようやく准将は槍を下ろした。なかなか苦戦したように見えたが、結果的に准将はかすり傷一つ負っていなかった。
准将は僕の元へと戻ってきた。
「お見事でした、タイセイさん。」
「いや、君が勇敢だったおかげだよ。」
彼女は息一つ切らしていなかった。
僕たちは一応大蛇の死体を調べた。
「こいつ、マウントバジリスクという種類ですね。図鑑で見たことがあります。山岳地帯でよく旅人を襲うのだとか。」
割と有名な魔物なのか。まあ現に僕たちが襲われたわけだしな。
大蛇の死体から気になるものを見つけた。卵である。この蛇はメスだったらしく、どうやら死の淵で産卵していたようだ。何個か産んだうちの大半は大蛇自身の体に押しつぶされてしまっていたが、一つだけ無事だった。
僕はそのひとつだけ残っていた大蛇の卵がなんとなく放っておけず、拾い上げた。
僕たちはちょっと休憩してからまた出発した。眠気も少ししたが、いつまたあの大蛇のようなのが襲ってくるともしれないので、寝ることはできなかった。
しかしその後の道程は穏やかそのものだった。昇りきった日の光が馬車の隙間から差し込んでくるのは、余計に眠気を誘った。
ふと隣に目をやると、准将は肘枕で眠っていた。さっきまで大蛇に襲われていたというのに、太い神経をしているものだ。さっきまでの勇猛さが嘘のような幼なげな寝顔だった。
ゴースまでの道のりは遠く、結局この日は到着しなかった。僕たちは近くに焚き火を焚いたうえで、馬車に泊まった。
山岳の夜はひたすら冷えていて、体の芯から震わされるようだった。それでも准将は薄着のままで外に座っていた。
准将は空を見上げていた。僕も彼女の視線の先に目を向けると、満点の星空が優しく輝いていた。
「タイセイさん、頑張りましょうね。」
僕に気づいた彼女はそう言った。
「こんな静かな夜をホルンメランでもずっと過ごせるように。」
それきり言葉はもうなかった。
朝日が山際に溢れたのを合図に僕は目を覚ました。雪が陽を反射するから一際眩しかった。僕ら二人と車夫は荷台に乗せてあった携帯食で朝食を済ませると、早々と出発した。
道が徐々に平坦になった。それと同時に草木も増えて山道ではなくなっていった。
ひたすらだだっ広い平原の中を走る。聞こえてくるのは車輪が転がる音と馬の蹄の音だけだった。いや、時々風が木を揺らすのが聞こえた。
後ろの山が雲に霞むほどの遠さになった頃合いで、ゴースは見えてきた。
「あれですよ、タイセイさん。」
「ありゃ、意外と小さいんだな。」
「ホルンメランは大きいですからね。」
軽く見ただけだが、ゴースはホルンメランの半分ほどの大きさだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる