22 / 43
四章 魔法教師
二十二話
しおりを挟む
魔王先生、ふざけてつけたあだ名とかじゃなくて見た目まんまだったとは。魔族とは言いつつももっと人間に近い見た目を想像していたから完全に想定外。というか怖すぎる。もうすぐに逃げ帰ってしまいたい。僕が口を開けずにいると、魔王先生の方から話しかけてきた。
「こんにちは。」
普通にしゃべるんかい。あ、いや、さっきも普通に会話してたか。
「あの、ここじゃなんだし上がってください。」
え、入るの? ここでいいよ。でも断れないしな……僕は彼に促されるままに戸の中に入った。
「じゃあ僕はここで。」
案内をしてくれた男性はそれだけ言うと踵をかえしてもと来た道を帰っていってしまった。え、嘘でしょ。僕一人かよ。今現在の僕の唯一の頼みの綱が失われてしまった。
中はごくごく普通の座敷になっていた。少しも魔王要素がないのがかえって気味が悪い。魔王先生は机の周りを片付けると、向こうからマグカップを二つ運んできた。
「粗茶ですが。」
この見た目でお茶出すのかよ。しかもマグカップが結構可愛いじゃないか。
魔王先生も僕も座って落ち着いた。いや、僕は全く落ち着いてはいないのだけれど。ともかく彼は話を再開した。
「さっきも伺いましたが、今日はどのような用件で? 」
「あ、ああ、そうでしたね。」
用件を忘れるところだった。
「先生はこちらで魔法を教えていると伺いましたが。」
「ええ、そうですが。」
彼は何でもないように言った。魔法を教えるのが珍しくないとでも思っているのか。
「魔族の方が人間に魔法を教えるってかなりの異例ですよね。」
「そうなんですか? 」
あ、やっぱり。そりゃこの見た目だったら魔法だって大したことはないだろうが。
「いやはや、余としては全然普通のことなんですがね。」
余!? 初めて見たぞ、その一人称実際に使ってる人。
「余はここで子供たちのための学校を開いているんですがね。元いた別の世界の学校を参考にして授業をしているのですよ。それで魔法も教えているという具合なのです。」
ん? 元の世界? この人もしかして……
「あなた、異世界からお越しで? 」
魔王先生は驚いていた。表情はあまり変わったようには見えなかったけど、声が上ずっていた。
「はて、あなたは信じてくれるのか? 余が別の世界から来たという話を。」
「ええ、僕も同じですから。」
ほほう、異世界からきたのかこの人。だったら仰々しい見た目も説明がつくな。
「そう言えば自己紹介がまだでしたな。余の名前はバーザム・クライ・カタストロフィ。別世界で魔王をしておりました。」
いや、マジで魔王なのかよ。まあ見た目通りだけれども。
「余は志半ばで勇者に退治されてしまい、気づいたときにはこの世界にいました。」
魔王ならこっちの世界を侵略でもし始めそうなものだけれど、一体どうして学校なんか開いているのだろうか。恐る恐る聞いてみた。
「しかし、それじゃどうして学校を? 」
「元々それが余の夢だったのですよ。」
「夢? 」
「本当は元の世界でも教師になりたかった。しかし余は不幸にも魔王の血筋に生まれてしまった。大人になればゆくゆくは魔王にならなければならないというのがルールなのです。だから諦めざるを得なかった……ですがこの世界に来ることができ、余は魔王ではなくなりました。だからかねてからの夢だった、教師になったのですよ。」
なるほど……魔王にも魔王なりの事情があるのだな。にしても世襲でなりたくもない魔王になって、あげく勇者に退治されてしまうというのは、なかなか気の毒な話だ。
「それはそうと、貴方も異世界から? 」
おっと、聞くばかりでこちらも自己紹介を忘れていた。
「そうなんですよ。僕、長谷川大成っていいます。また別の世界から刺し殺されてやってきたんです。先生よりも全然パッとしない殺され方でしたけど。」
「いえいえ、そんなことは。同じ一つの命が消えたことに変わりありません。いや、消えてはいないのでしょうかね。今こうして余たちはこの世界で生きているのですから。」
めちゃくちゃまともなことを言うな、この人。一番魔王が向いてなかったんじゃないのか?
本筋に戻った。
「それで、先生は子どもに魔法を教えたというわけですか? 」
「ええ、ほんとに初級ですがね。冬でもほんのり暖かくなるってくらいの火属性魔法です。」
「人間に魔法が使えるってのがそもそも僕には驚きなのですけれどね。」
「それは余も驚きました。この世界の人々には魔力があったのですよ。」
魔力? またお誂えむきな。
「どうしてそんなことが分かったんです? 」
「異常に身体能力が高い人がいたからですよ。」
身体能力が高い……確かにアイラなりピオーネなり、かなり身体能力は高いな。そういえば兵士くんでさえ巨大な魔物と向かい合っていられるくらいの身体能力があったしな。
でも身体能力と魔力に何の関係があるというのか。
「魔力を身体に持っている人は、その魔力の分だけ体が影響を受けて強化されるのです。だから、人間にしては異常に運動神経が良かったり体が丈夫だったりする人を見かけて、もしやとは思ったのですが。ビンゴでしたね。」
魔法がある世界ではそれが常識なのだろうか。
この人が子どもに魔法を教えて使えるようにしたのであるなら、僕がするべきことは一つだ。この人をホルンメランに連れて行き、アイラと引き合わせる。
「先生、せっかくだからもっとたくさんの人に教えてみませんか? 」
「はて、それはどういう……」
「ホルンメランに来て頂きたい。ホルンメランならばもっと沢山の人があなたのもとに集まるでしょうから。」
魔王先生はちょっとの間黙っていた。考えてはお茶を啜りを何回か繰り返しているので、結構悩んでいるよう。
しばらくしてから彼はマグカップを置いた。
「にしても、余のような者が突然都市内に行っても問題ないのでしょうか? 」
「大丈夫ですよ。僕も似たようなものですから。」
実際魔王先生は、この集落にも馴染めている。幸いにもこの世界の人間は異種族に対してかなり理解があるようだから、ホルンメランのど真ん中に先生を連れて行っても全く問題はあるまい。
「では、行くだけ行ってみようかな。」
「おお、よかったよかった。ではさっそく……っと、今日はもう遅いから明日ホルンメランに向かいましょう! 」
さっきまで怖がっていたくせに、我ながら調子がいいとは思うが、これが仕事なんだから仕方がない。僕は魔王先生と一旦別れ、この夜は集落の空き家のうちの一軒を貸してもらって宿泊した。
翌朝、日が出てすぐに僕は先生を迎えに行った。思い返せばかなり非常識とも思うが、魔王先生はとうに起きていたので問題はなかった。
「では行きましょうか。」
集落の入り口には馬車が変わらず停めてある。車夫も馬たちも、親切な住民のお世話になっていたようである。
すでにいつでも出発できる状態と車夫が言うので、早速乗り込んだ。体格がかなり大きい魔王先生はかなり窮屈そうだったが。
馬車は勢いよく走り出した。馬たちもしっかり休養がとれたらしい。
魔王先生はふと口を開いた。
「あの、時間はどのくらいかかります? 」
「ええと、五時間くらいですかね。あれ、五時間で通じます? 」
「ええ分かりますよ。この世界、不思議なことに一年の長さは元いた世界と違うくせに一日の長さは全くおなじなんですよね。お察しするところ、タイセイさんのいた世界も同じようになっていると思うのですが。」
「全くその通りですよ。ははは。」
本当に不思議な話だ。科学的に言えば、星の公転周期が違うのに自転周期は同じということ。まあ前と同じ二十四時間が使えるから便利ではあるのだけれど。
「それにしても、五時間というのは流石に遠いですね。」
魔王先生がぼそりと呟いた。まあこんなに窮屈なまま五時間はキツイだろうな。しかしだからといってどうすればよいのやら。
「あの、ホルンメラン都市内に行くのですよね。」
「ええ、そうですけど、それがどうかしたのですか? 」
「馬車一つくらいなら軽く飛べそうですね。」
そういうと、魔王先生は乗っている馬車に何やら呪文を唱え出した。何を言っているのかは全く聞き取ることが出来なかったが、先生の手を中心にして紫の魔法陣が現れた。
するとどうだろう。馬車が浮かびだしたのだ。
「おっと! これは? 」
「飛翔魔法ですよ。これならホルンメランまでひとっ飛びですから。」
馬車は凄まじい速度で飛び始めてしまった。
「こんにちは。」
普通にしゃべるんかい。あ、いや、さっきも普通に会話してたか。
「あの、ここじゃなんだし上がってください。」
え、入るの? ここでいいよ。でも断れないしな……僕は彼に促されるままに戸の中に入った。
「じゃあ僕はここで。」
案内をしてくれた男性はそれだけ言うと踵をかえしてもと来た道を帰っていってしまった。え、嘘でしょ。僕一人かよ。今現在の僕の唯一の頼みの綱が失われてしまった。
中はごくごく普通の座敷になっていた。少しも魔王要素がないのがかえって気味が悪い。魔王先生は机の周りを片付けると、向こうからマグカップを二つ運んできた。
「粗茶ですが。」
この見た目でお茶出すのかよ。しかもマグカップが結構可愛いじゃないか。
魔王先生も僕も座って落ち着いた。いや、僕は全く落ち着いてはいないのだけれど。ともかく彼は話を再開した。
「さっきも伺いましたが、今日はどのような用件で? 」
「あ、ああ、そうでしたね。」
用件を忘れるところだった。
「先生はこちらで魔法を教えていると伺いましたが。」
「ええ、そうですが。」
彼は何でもないように言った。魔法を教えるのが珍しくないとでも思っているのか。
「魔族の方が人間に魔法を教えるってかなりの異例ですよね。」
「そうなんですか? 」
あ、やっぱり。そりゃこの見た目だったら魔法だって大したことはないだろうが。
「いやはや、余としては全然普通のことなんですがね。」
余!? 初めて見たぞ、その一人称実際に使ってる人。
「余はここで子供たちのための学校を開いているんですがね。元いた別の世界の学校を参考にして授業をしているのですよ。それで魔法も教えているという具合なのです。」
ん? 元の世界? この人もしかして……
「あなた、異世界からお越しで? 」
魔王先生は驚いていた。表情はあまり変わったようには見えなかったけど、声が上ずっていた。
「はて、あなたは信じてくれるのか? 余が別の世界から来たという話を。」
「ええ、僕も同じですから。」
ほほう、異世界からきたのかこの人。だったら仰々しい見た目も説明がつくな。
「そう言えば自己紹介がまだでしたな。余の名前はバーザム・クライ・カタストロフィ。別世界で魔王をしておりました。」
いや、マジで魔王なのかよ。まあ見た目通りだけれども。
「余は志半ばで勇者に退治されてしまい、気づいたときにはこの世界にいました。」
魔王ならこっちの世界を侵略でもし始めそうなものだけれど、一体どうして学校なんか開いているのだろうか。恐る恐る聞いてみた。
「しかし、それじゃどうして学校を? 」
「元々それが余の夢だったのですよ。」
「夢? 」
「本当は元の世界でも教師になりたかった。しかし余は不幸にも魔王の血筋に生まれてしまった。大人になればゆくゆくは魔王にならなければならないというのがルールなのです。だから諦めざるを得なかった……ですがこの世界に来ることができ、余は魔王ではなくなりました。だからかねてからの夢だった、教師になったのですよ。」
なるほど……魔王にも魔王なりの事情があるのだな。にしても世襲でなりたくもない魔王になって、あげく勇者に退治されてしまうというのは、なかなか気の毒な話だ。
「それはそうと、貴方も異世界から? 」
おっと、聞くばかりでこちらも自己紹介を忘れていた。
「そうなんですよ。僕、長谷川大成っていいます。また別の世界から刺し殺されてやってきたんです。先生よりも全然パッとしない殺され方でしたけど。」
「いえいえ、そんなことは。同じ一つの命が消えたことに変わりありません。いや、消えてはいないのでしょうかね。今こうして余たちはこの世界で生きているのですから。」
めちゃくちゃまともなことを言うな、この人。一番魔王が向いてなかったんじゃないのか?
本筋に戻った。
「それで、先生は子どもに魔法を教えたというわけですか? 」
「ええ、ほんとに初級ですがね。冬でもほんのり暖かくなるってくらいの火属性魔法です。」
「人間に魔法が使えるってのがそもそも僕には驚きなのですけれどね。」
「それは余も驚きました。この世界の人々には魔力があったのですよ。」
魔力? またお誂えむきな。
「どうしてそんなことが分かったんです? 」
「異常に身体能力が高い人がいたからですよ。」
身体能力が高い……確かにアイラなりピオーネなり、かなり身体能力は高いな。そういえば兵士くんでさえ巨大な魔物と向かい合っていられるくらいの身体能力があったしな。
でも身体能力と魔力に何の関係があるというのか。
「魔力を身体に持っている人は、その魔力の分だけ体が影響を受けて強化されるのです。だから、人間にしては異常に運動神経が良かったり体が丈夫だったりする人を見かけて、もしやとは思ったのですが。ビンゴでしたね。」
魔法がある世界ではそれが常識なのだろうか。
この人が子どもに魔法を教えて使えるようにしたのであるなら、僕がするべきことは一つだ。この人をホルンメランに連れて行き、アイラと引き合わせる。
「先生、せっかくだからもっとたくさんの人に教えてみませんか? 」
「はて、それはどういう……」
「ホルンメランに来て頂きたい。ホルンメランならばもっと沢山の人があなたのもとに集まるでしょうから。」
魔王先生はちょっとの間黙っていた。考えてはお茶を啜りを何回か繰り返しているので、結構悩んでいるよう。
しばらくしてから彼はマグカップを置いた。
「にしても、余のような者が突然都市内に行っても問題ないのでしょうか? 」
「大丈夫ですよ。僕も似たようなものですから。」
実際魔王先生は、この集落にも馴染めている。幸いにもこの世界の人間は異種族に対してかなり理解があるようだから、ホルンメランのど真ん中に先生を連れて行っても全く問題はあるまい。
「では、行くだけ行ってみようかな。」
「おお、よかったよかった。ではさっそく……っと、今日はもう遅いから明日ホルンメランに向かいましょう! 」
さっきまで怖がっていたくせに、我ながら調子がいいとは思うが、これが仕事なんだから仕方がない。僕は魔王先生と一旦別れ、この夜は集落の空き家のうちの一軒を貸してもらって宿泊した。
翌朝、日が出てすぐに僕は先生を迎えに行った。思い返せばかなり非常識とも思うが、魔王先生はとうに起きていたので問題はなかった。
「では行きましょうか。」
集落の入り口には馬車が変わらず停めてある。車夫も馬たちも、親切な住民のお世話になっていたようである。
すでにいつでも出発できる状態と車夫が言うので、早速乗り込んだ。体格がかなり大きい魔王先生はかなり窮屈そうだったが。
馬車は勢いよく走り出した。馬たちもしっかり休養がとれたらしい。
魔王先生はふと口を開いた。
「あの、時間はどのくらいかかります? 」
「ええと、五時間くらいですかね。あれ、五時間で通じます? 」
「ええ分かりますよ。この世界、不思議なことに一年の長さは元いた世界と違うくせに一日の長さは全くおなじなんですよね。お察しするところ、タイセイさんのいた世界も同じようになっていると思うのですが。」
「全くその通りですよ。ははは。」
本当に不思議な話だ。科学的に言えば、星の公転周期が違うのに自転周期は同じということ。まあ前と同じ二十四時間が使えるから便利ではあるのだけれど。
「それにしても、五時間というのは流石に遠いですね。」
魔王先生がぼそりと呟いた。まあこんなに窮屈なまま五時間はキツイだろうな。しかしだからといってどうすればよいのやら。
「あの、ホルンメラン都市内に行くのですよね。」
「ええ、そうですけど、それがどうかしたのですか? 」
「馬車一つくらいなら軽く飛べそうですね。」
そういうと、魔王先生は乗っている馬車に何やら呪文を唱え出した。何を言っているのかは全く聞き取ることが出来なかったが、先生の手を中心にして紫の魔法陣が現れた。
するとどうだろう。馬車が浮かびだしたのだ。
「おっと! これは? 」
「飛翔魔法ですよ。これならホルンメランまでひとっ飛びですから。」
馬車は凄まじい速度で飛び始めてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる