過去の空に叫べ。

水木 蕉山

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線香花火

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 ふぅと大きく息を吐き、ベッドに倒れこんだ。もう今日はこのまま寝てしまおうか…。手も洗ってないし、うがいもしていないし、風呂にも入っていないし、着替えてもない。ただ、布団というのは偉大で、疲れた身体がどんどん溶けていくようだ。もう寝よう。

俺は突然の休日出勤で疲れていたのだろう。帰宅してからすぐ眠りに落ちた。

 あれ?何も見えない———
俺は真っ暗闇の中にいた。どこを見回しても一面真っ暗。自分がどこに立っているのかすらわからない…。
「うっ!」
突如として一面が明るくなった。眩しい眩しい!そこはまたも一面真っ白の白一色の世界だった。だが、床と空間との境目はうっすらわかる。手も足も自由に動くし、意識だってはっきりしている。もしかしてこれは前何かで読んだ、夢の中で意識があると空を飛べたり、好きなだけ食べ物を食べたり、時間を止めたり、何でも自由にできる世界なのか?それにしては雰囲気が暗いようにも思えるが…。

「◎△$♪×¥●あるか?」

なんだ今の声!?言葉の最初はわからないが、男の低い声が聞こえた。空耳などでは決してない!この耳ではっきり聞いた!!
何でも自由に自由にできる世界なのではないかと浮かれていたが、一気に気味が悪くなった。

「戻りたい×¥●あるか?」

もう一回聞こえた。今度はさっきよりは何と言ってるかわかった気がするが完全には聞き取れない。戻りたい…?現実の世界に?

次の瞬間、その声はさっきとは比較にならないほど大きくなり、俺の脳の隅々まで響いた。





「戻りたい過去があるか?」
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