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六公演目――メモリーズオブブラザー
フェルマータ:???
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「お酒かい? 夜からは出してるよ。勿論、ワインもね」
僕はあんまり強くないんだけど、と店主は苦笑を浮かべる。グラス一杯飲みきる前にすぐ赤くなっちゃうんだよね、と付け足し、彼は最後のキャンドルを吹き消した。
「今回の曲は長かったからなあ。キャンドルがもってよかったよ。雨も止んできたしね。みんな無事に帰って来られるといいけど」
また酷くなる前に君も帰りな、と店主はレジスターに向かう。傘は持ってたっけ? 新しいタオル持ってくかい? と心配するすがたが、今回の曲と重なった。
「……え? きょうだい? 僕の? ……ふふ。それは、最後まで聴き進めてからのお楽しみ」
扉が開くと、夏に似合わぬ冷たい風が吹きこんでくる。
「本日もご来場頂き、ありがとうございました」
礼の直前に見えた表情は、誰かを思い出しているかのようだった。
僕はあんまり強くないんだけど、と店主は苦笑を浮かべる。グラス一杯飲みきる前にすぐ赤くなっちゃうんだよね、と付け足し、彼は最後のキャンドルを吹き消した。
「今回の曲は長かったからなあ。キャンドルがもってよかったよ。雨も止んできたしね。みんな無事に帰って来られるといいけど」
また酷くなる前に君も帰りな、と店主はレジスターに向かう。傘は持ってたっけ? 新しいタオル持ってくかい? と心配するすがたが、今回の曲と重なった。
「……え? きょうだい? 僕の? ……ふふ。それは、最後まで聴き進めてからのお楽しみ」
扉が開くと、夏に似合わぬ冷たい風が吹きこんでくる。
「本日もご来場頂き、ありがとうございました」
礼の直前に見えた表情は、誰かを思い出しているかのようだった。
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