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塾テスト不正疑惑事件
⑨ 誤解の原因
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「誤解の原因……?」
「そう。『自分より勉強できる人じゃなきゃ興味ない』って言ってたんだから、逆に言えば『自分より成績の良い人を好きになる』って考える人も出てくるの。実際、それで美月は賢の事が好きって周りの人に思われてる。それを踏まえて考えると、犯人から見て美月が誰を一般塾送りにしたいのかって推理が出来るよ」
「え、それって誰……?」
「私」
葵はビシッと自分の顔を指さした。
これなら、好きな男の子の近くにいつもいる女の子、葵を邪魔だと思って一般塾送りにしたがるだろうっていう犯人の狙いもうなずける。
「なるほど、だから谷口塾長はすぐに解答付き問題用紙が入っているのを指摘できたのか」
「え、谷口塾長?」
賢の口から飛び出してきた谷口塾長の名前に、陸は首を傾げた。
「ああ、恐らくだけど、犯人は谷口塾長だ。谷口塾長は教室に入ると注目されるから、美月みたいな生徒の一人に解答付き問題用紙を隠させたんだ。それに、手紙には鞄に問題用紙を入れるよう指示してたけど、葵の分は鞄ではなく机に入っていた。なのに、鞄の方にある解答付き問題用紙をすぐに指摘できたのは、谷口塾長が美月の動きに注目してたからだ」
「犯人は谷口塾長だって?」
「そう。三井先生は問題用紙は紛失したと言っていたけど、それは谷口塾長の採点の後。谷口塾長が処分したと考えるのが自然。まるで、ちゃんとした点数を知られると困るみたいに」
「ちゃんとした点数を知られると困るって、どういうこと?」
「高得点なのに上級塾入りできなかったり、最近勉強サボってたのに上級塾入りした生徒がいるんだ。この事件、陸と葵を一般塾送りにするだけではなく、特定の人を上級塾に入れるといった目的もあったんだ」
「え、なんでそんな事……? あ、犯行動機ってやつ?」
「僕が予想するに、五年生地点で一般塾だった生徒と上級塾だった生徒のバランスを取ろうとしているんだと思う。実際、陸と葵が一般塾送りになる前は七対三で元野原塾生が多く、今は五対五になっている」
「谷口塾長にとって『別の塾で勉強して長く生徒が難関中学に合格した』っていうのより『谷口塾で勉強していた生徒が難関中学に合格した』って方が評価が上がるからか」
「そうだね。……と考えると、今後も少しずつ五年生地点で野原塾だった生徒が一般塾送りになるだろうね。最終目的としては『難関中学の合格者は、全員元谷口塾生でした。谷口塾長は素晴らしい』って評価を貰うってところかな」
「……なんだそれ、元々野原塾と谷口塾は関係ない別々の塾だったんだから、経営統合なんてしなきゃよかったのに」
「三井先生が欲しかったんじゃないか? 谷口塾、僕達が五年生の時点で講師不足で、六年生に上がる時には最後の一人が退職する予定だったんだ。そこで、厳しくて優秀な谷口先生を欲しいと思ったんじゃないかな」
なるほど、と賢以外の全員が言った。
「ねえ、賢。なんでそんなに塾側の事情とか、誰が元々どの塾の生徒なのかとか、詳しいの? 多少は周囲に聞き込みできたとしても、詳しすぎるような……?」
私の指摘に一瞬だけ表情が固まった賢。
「塾のお偉いさん、野原塾長や谷口塾長よりも上に立つ人から聞いたんだ」
「え、凄い。塾の偉い人と知り合いだったの?」
「一応ね。さて、状況の整理や推理はある程度できたし、次は、今後どう動くかについて話し合おうか。人数も増えてきたし、足並みを揃えるためには最終的なゴールと次の一歩を決めなくてはいけない。バラバラに動くと混乱を生むだけだ」
確かに、私と正義、賢、陸、葵、美月、あと、三井先生も協力してくれている。
この人数が動くわけだからどうやって、何をするのかを決めなくてはいけない。
もちろん、最終的には陸と葵を谷塾長に戻すのがゴールだが、その道のり決めも必要だ。
「何か次の一歩について案があるの?」
と私がそう聞くと、賢は首を縦に振った。
「もちろんある。決行は次の定期テスト、水曜日だ」
「そう。『自分より勉強できる人じゃなきゃ興味ない』って言ってたんだから、逆に言えば『自分より成績の良い人を好きになる』って考える人も出てくるの。実際、それで美月は賢の事が好きって周りの人に思われてる。それを踏まえて考えると、犯人から見て美月が誰を一般塾送りにしたいのかって推理が出来るよ」
「え、それって誰……?」
「私」
葵はビシッと自分の顔を指さした。
これなら、好きな男の子の近くにいつもいる女の子、葵を邪魔だと思って一般塾送りにしたがるだろうっていう犯人の狙いもうなずける。
「なるほど、だから谷口塾長はすぐに解答付き問題用紙が入っているのを指摘できたのか」
「え、谷口塾長?」
賢の口から飛び出してきた谷口塾長の名前に、陸は首を傾げた。
「ああ、恐らくだけど、犯人は谷口塾長だ。谷口塾長は教室に入ると注目されるから、美月みたいな生徒の一人に解答付き問題用紙を隠させたんだ。それに、手紙には鞄に問題用紙を入れるよう指示してたけど、葵の分は鞄ではなく机に入っていた。なのに、鞄の方にある解答付き問題用紙をすぐに指摘できたのは、谷口塾長が美月の動きに注目してたからだ」
「犯人は谷口塾長だって?」
「そう。三井先生は問題用紙は紛失したと言っていたけど、それは谷口塾長の採点の後。谷口塾長が処分したと考えるのが自然。まるで、ちゃんとした点数を知られると困るみたいに」
「ちゃんとした点数を知られると困るって、どういうこと?」
「高得点なのに上級塾入りできなかったり、最近勉強サボってたのに上級塾入りした生徒がいるんだ。この事件、陸と葵を一般塾送りにするだけではなく、特定の人を上級塾に入れるといった目的もあったんだ」
「え、なんでそんな事……? あ、犯行動機ってやつ?」
「僕が予想するに、五年生地点で一般塾だった生徒と上級塾だった生徒のバランスを取ろうとしているんだと思う。実際、陸と葵が一般塾送りになる前は七対三で元野原塾生が多く、今は五対五になっている」
「谷口塾長にとって『別の塾で勉強して長く生徒が難関中学に合格した』っていうのより『谷口塾で勉強していた生徒が難関中学に合格した』って方が評価が上がるからか」
「そうだね。……と考えると、今後も少しずつ五年生地点で野原塾だった生徒が一般塾送りになるだろうね。最終目的としては『難関中学の合格者は、全員元谷口塾生でした。谷口塾長は素晴らしい』って評価を貰うってところかな」
「……なんだそれ、元々野原塾と谷口塾は関係ない別々の塾だったんだから、経営統合なんてしなきゃよかったのに」
「三井先生が欲しかったんじゃないか? 谷口塾、僕達が五年生の時点で講師不足で、六年生に上がる時には最後の一人が退職する予定だったんだ。そこで、厳しくて優秀な谷口先生を欲しいと思ったんじゃないかな」
なるほど、と賢以外の全員が言った。
「ねえ、賢。なんでそんなに塾側の事情とか、誰が元々どの塾の生徒なのかとか、詳しいの? 多少は周囲に聞き込みできたとしても、詳しすぎるような……?」
私の指摘に一瞬だけ表情が固まった賢。
「塾のお偉いさん、野原塾長や谷口塾長よりも上に立つ人から聞いたんだ」
「え、凄い。塾の偉い人と知り合いだったの?」
「一応ね。さて、状況の整理や推理はある程度できたし、次は、今後どう動くかについて話し合おうか。人数も増えてきたし、足並みを揃えるためには最終的なゴールと次の一歩を決めなくてはいけない。バラバラに動くと混乱を生むだけだ」
確かに、私と正義、賢、陸、葵、美月、あと、三井先生も協力してくれている。
この人数が動くわけだからどうやって、何をするのかを決めなくてはいけない。
もちろん、最終的には陸と葵を谷塾長に戻すのがゴールだが、その道のり決めも必要だ。
「何か次の一歩について案があるの?」
と私がそう聞くと、賢は首を縦に振った。
「もちろんある。決行は次の定期テスト、水曜日だ」
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