23 / 60
王子達と巻き込まれる
22話 僕は弱い
しおりを挟む
国境へと向かう道中にはやはりモンスターと出会う。だが、どいつも低ランクのモンスターで群れを作るタイプだ。
馬車は問題なく進んでいく。
「そろそろ着くか?」
「はい。もう少しでございます」
「はぁ、馬車での移動はやっぱり退屈だ。おい、何かできないのか?」
「ライル王子、申し訳ございません。僕は踊り子やメイドと違い戦うことしか出来ない兵士でございます。生憎、王子達を喜ばせる芸などありません」
馬車の中で共に揺られながら話をする。本来はメイドにやらせる事だが、今回は危険だということで同行はさせていない。
「腹がすいたな。おい、何か摘めるものがあるなら寄こせ」
「王子の口に合うかは分かりませんが一口サイズのクッキーがございます。それでもよろしいでしょうか?」
「構わん」
異空間から小腹がすいた用のクッキーを取り出した。
本来は自分用として作っておいた物だが色々と文句を今後も言い五月蝿そうなので渡すことにした。
「ライル、俺にもくれ」
ラキル王子もシュオナの手作りクッキーに手を伸ばす。
2人はクッキーを食べると少し驚いた顔をした後、次々とクッキーを食べていく。ライル王子が一気に食べたせいか苦しそうにする。異空間から水筒を出してコップを取り出して水筒の中に入れた紅茶を移し替えて渡す。
それをゴクゴクと飲みほす。
「プパっ。…なかなか美味かった。これをどこで手に入れた?」
クッキーと紅茶が入っていたコップを指した。
「申し訳ございません。それは取り寄せたのではなく、僕が作った物なのです。紅茶の方は宮廷に使えるコックに茶葉を分けて頂きました。ですので紅茶は王子達は毎日飲んでいらっしゃる物と変わりません」
「そんな馬鹿な!!」
「本当ですよ」
そんなたわいもない話をしていくうちにラキル王子とライル王子の生活。そして何故2人の性格が我儘になり、女は抱けば快楽に溺れるしか能のない者と言ったわけがわかった。
まず、王子達はメイドや執事に強請れば何でも与えてくれたそうだ。そして不機嫌になればご機嫌取りにさらに欲しいものを手に入れられたそうだ。
そして、女を抱けば快楽に溺れるしか能のない者とは、2人の初めてがメイドによる御奉仕らしい。メイドにはそんなモノはなく、主に忠実に従い影で支える仕事だ。そんなことはしなくていいはずだが、それを間違いだとは知らずにメイド達を抱き続けたらしい。しかも入ったばかりの新人メイドまで食べたらしい。
勿論、御奉仕という名で王子達を襲ったメイド複数はとっくに解雇されたらしい。
「メイド…なんて馬鹿なことをしているんだよ」
頭を抱えながら小声で呟くシュオナ。
まさかの王子は被害者側でもあった…
全くの予想外。でも、有り得るのかもしれない。権力のある者の血を引いているとなればもしかしたら王族になれるかもしれないと淡い夢を見ていたのだろう。
なんて哀れな馬鹿なメイドだ。
まとめると、甘やかされたのが原因で我儘に。メイドのせいで女の価値を低下させ、王子達に襲って誤ったことを覚えさせて訂正もせずに解雇された。
「…とにかくです。王子、話してくださったのはとても嬉しく思いますが間違いを正すのも大切なので言わせてもらいます。
はっきり言いまして、王子達は我儘を言い過ぎです。自分で出来ることなのです。自分で頑張って働き、手にしてください。何でも手に入ると思ったら大間違いです。国にあるお金は民たちの税金から取っているのですから、むやみに使ってはなりません。
それとメイドの話なのですが、御奉仕というのはメイドの仕事の中にはございません。そのメイドの目的は子供を作り王家の仲間入りをしたかっただけでしょう。そういう欲を持った人もいるので、気おつけてください。
女性は共感力がとてもありますので、王子達に嫌だと言ったのにやめなかった。と、広められたら国中の女性達の敵になりますよ?実際、王子達は仰いましたね。『少し敵意がある方が面白い』と、つまり敵意があった。そのメイドはすごく嫌がったのではありませんか?女性の初めてはとても大事なものでもありますので無理やり奪ってはなりませんよ?合意の上でしたら、僕は何も言いませんがね。とにかく、ご注意ください」
ペラペラと喋るシュオナの言葉を聞き王子達は反省の色を少し見せる。
これで少しは女遊びは減るだろう。
話をしている途中で馬車が止まる。
「着いたようですね。外の様子を少々見てきますのでここでお待ちください」
王子達を馬車に残し外に出る。
出てみるともう着いていておかしくない7カ国の馬車が見当たらない。
見えるのは国境にある草原だけ。
「シュオナさん。まだ他の馬車が来ておりません。もう着いていておかしくないというのに…」
「……Sランク2名とモンスター討伐の中ランク8名は、今すぐにこの事を城に伝えに行きなさい。念の為確認を取る。他の者は僕とここで待機。王子達の護衛を続ける」
10名が連絡を取りに走っていく。
残った40名で待機することになった。
馬車にいる王子達に一応このことを伝えることにした。
王子達もそれには不安そうにする。
「…シュオナ、もし俺たちが攫われたら命をかけて救い出してくれるか?」
急に名前を呼ばれ驚く。
自分はいつ王子に名前を呼ばれるほど親しくなった?!
「ラキル王子、それは当たり前でございます。王子はこの国を継がれるお方。死んでしまっては国王も悲しくなってしまいます。僕個人としても貴方は少なからずこの国を思っていらっしゃる。それが分かれば助ける理由には十分でございます」
「お前は変わっているな」
「…お言葉ですが失礼ですよ?」
「くくくく。この俺にそんな事を言える奴は初めてだ。お前が女なら妻にしてやっても良かったがな…」
「兄さん…、それ本気で言ってるのか?」
ラキル王子は楽しそうに話す。
ラキル王子の言葉でライル王子も呆れながらも不安な顔が無くなっていた。
そんな2人を眺めていたら外から殺気を感じ取った。
すぐさま馬車のドアを開けて指示を出そうと飛び出た。
………だが、もう遅かった。
戦闘は始まっていたらしく既にシュオナ以外はやられていた。数はたったの6人。
シュオナは馬車の前で腰にある新たに作った自分の剣を構える。
「王子!決して馬車の外においそれと顔を出してはなりませんよ!!」
声を張って後ろの馬車に乗る王子達へ警告する。
「おいおい…ガキが剣を構えてるぞ?」
「本当に構えてやがる…。しかも殺した兵士と同じ格好してるぜ?」
「目的…王子達。他、いらない。始末、あるのみ」
「他の奴より手応えありそうだな」
「ガキなのに手応えあるのか?どう見ても弱そうだろ」
「……」
5人は30代前半と後半の男。だが、1人だけ黙ったままのフードを被った同い年ぐらいの青年がいた。
「手応えあるかどうか、戦えば分かること」
そういいシュオナは踏み込み、大柄の男へ剣を振る。
「うおっ!?危ねぇなぁ、坊主!」
大きな斧で攻撃してくるので避ける。
だが…
「うぐっ…?!」
避けた後に別の男が短剣を構えて攻撃をしてきた。すぐに気がついて避けたが傷を付けられた。
「へぇ~、今の避けるんだ。ガキにしてはやるねぇ。大体のやつは今ので死んでるのに」
「…盗賊にしては腕が良すぎると思うぞ?」
「あはははは!それはそうだ!!俺たちは盗賊じゃなく、依頼された人攫い兼元殺し屋なんだからよ!そこらのクズ共と一緒にされちゃ困るぜ」
こいつは今、元殺し屋と言わなかったか?ということは師匠と同じ…。
師匠と同じ殺し屋…何故か怒りがこみ上げてくる。
「お前達が殺し屋??笑わせるなよ?お前らが師匠と同じ?どう見ても盗賊と変わらない。せめて殺し屋と名乗るなら遊ばずに全力で殺しに来いよ。馬鹿にしすぎだろ?」
シュオナは斧を振り回していた男に、周りの木々や草花と一体と化すまで気配を完全に消し背後へ周り首を飛ばす。
襲ってきたあとの5人は何が起きたのか分からず硬直する。
それをシュオナは見逃さなかった。そのまま近くにいた短剣を持つ男へと近づき剣を振る。
男は攻撃される一瞬で正気に戻り攻撃を受け止めた。
その行動は、さすがだと敵ながら賞賛出来るものだった。
「ガキ…いや、お前は一体何者だ?!
ルガルを一撃で殺す奴が今まで名を聞いたことも外見でも要注意されるような人物の情報はなかったはずだ!」
ルガルとはさっき殺した男の名前だろうか?
「それはそうだろうよ!
僕は5ヶ月前に兵士になったばかりの今回が初任務だからな!!」
そのまま勢いでは勝てないと分かっているので身体強化とスピード強化、そして雷の能力を使うことにした。
男は咄嗟に短剣で受け止めようとした。
だが、それが大きな間違いだとは知らずに…。
身体強化とスピード強化でさらに動きが早くなり力も強くなる。そして剣に纏わせた雷の能力で体から脳を焼くほどの力。そのままシュオナの剣を受け止めた敵の体は、剣に触れた瞬間脳を焼かれ死んだ。
「さて…次はどいつだ?」
殺気をヒシヒシと敵にぶつけながら近く。青ざめた顔をしながらガクガクと震える。それも長くは続かない。
残りの目の前にいる3人の男達は急に口角を上げて笑顔になる。
「…あいつらがどうなってもいいのか?」
後へと指を指す。シュオナはまさか?という気持ちになった。
振り返ると青年が王子達の首元に短剣をピッタリと付けていた。
体には電気が溜まっているのかバチバチという音も聞こえるがシュオナにはどうでもよかった。男達ばかりに気を取られて青年の存在を忘れていた。あまりにも影の薄い青年。これは青年の能力なのかもしれない。
「これで分かっただろ?大人しく死ね」
一人の男がシュオナの背後から気配も消さずに近寄り腕を上げて切ろうとする。
「誰がお前らなんかに従うか」
シュオナは自身が放てる殺気を全力で出して男達を威嚇し、怯ませる。
腕を振り上げた男は動きを完全に止めた。その隙に上げた腕を切り落とし背中から心臓を刺して右へと切り、左の肺を使えなくした。
そのまま2人の男へ能力をフルに使って近づき首を切り落とした。
切られた男達から見たらシュオナの動きは一瞬で自分が切られたことすら分からなかった。
「さて…後はフードのお前だけだ」
ギラギラとし目で殺気を送りながらゆっくりと歩く。
王子達は顔を青くしてガタガタと震えている。人が殺される所など見た事がなかった2人にとっては刺激が強すぎたのと、シュオナの放つ殺気と平然と人を殺す姿にも震えていた。
「………」
青年の近くで足を止める。
「最後だ。王子達を離せ」
「…済まない。俺にはその命令がない。出来ればこんなことしたくなかったんだ。本当にごめんよ」
悲しそうに、心からそう思っているであろう表情と声。
フードを被っていて顔ばかり気にしていたが首元には大きな首輪がしてあった。
「…奴隷??」
「その通りだ」
背後から声が急にして振り返ろうとするがそんな暇は与えられずに横腹から激痛が走り、吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
「王、子…」
自分はなんて弱いんだろう。背後の警戒を怠った。師匠からはどんな時でも背後に気をつけろ。と言われていたのに…
それに加えて王子達を守ると言ったのに守れなかった。
自分は弱い。最弱だ。師匠の弟子で子供だと笑わせる。自分が一番その名に驕っていた。強くなりたいと願っても、それを現実にする為の努力をしてきたが実戦で活躍しなければなんの意味もない。弱い自分に反吐が出る。
意識が朦朧とする中で男がこちらを見下ろしている姿と王子達が何かを叫ぶ姿を見たのがシュオナの最後の光景だった。
馬車は問題なく進んでいく。
「そろそろ着くか?」
「はい。もう少しでございます」
「はぁ、馬車での移動はやっぱり退屈だ。おい、何かできないのか?」
「ライル王子、申し訳ございません。僕は踊り子やメイドと違い戦うことしか出来ない兵士でございます。生憎、王子達を喜ばせる芸などありません」
馬車の中で共に揺られながら話をする。本来はメイドにやらせる事だが、今回は危険だということで同行はさせていない。
「腹がすいたな。おい、何か摘めるものがあるなら寄こせ」
「王子の口に合うかは分かりませんが一口サイズのクッキーがございます。それでもよろしいでしょうか?」
「構わん」
異空間から小腹がすいた用のクッキーを取り出した。
本来は自分用として作っておいた物だが色々と文句を今後も言い五月蝿そうなので渡すことにした。
「ライル、俺にもくれ」
ラキル王子もシュオナの手作りクッキーに手を伸ばす。
2人はクッキーを食べると少し驚いた顔をした後、次々とクッキーを食べていく。ライル王子が一気に食べたせいか苦しそうにする。異空間から水筒を出してコップを取り出して水筒の中に入れた紅茶を移し替えて渡す。
それをゴクゴクと飲みほす。
「プパっ。…なかなか美味かった。これをどこで手に入れた?」
クッキーと紅茶が入っていたコップを指した。
「申し訳ございません。それは取り寄せたのではなく、僕が作った物なのです。紅茶の方は宮廷に使えるコックに茶葉を分けて頂きました。ですので紅茶は王子達は毎日飲んでいらっしゃる物と変わりません」
「そんな馬鹿な!!」
「本当ですよ」
そんなたわいもない話をしていくうちにラキル王子とライル王子の生活。そして何故2人の性格が我儘になり、女は抱けば快楽に溺れるしか能のない者と言ったわけがわかった。
まず、王子達はメイドや執事に強請れば何でも与えてくれたそうだ。そして不機嫌になればご機嫌取りにさらに欲しいものを手に入れられたそうだ。
そして、女を抱けば快楽に溺れるしか能のない者とは、2人の初めてがメイドによる御奉仕らしい。メイドにはそんなモノはなく、主に忠実に従い影で支える仕事だ。そんなことはしなくていいはずだが、それを間違いだとは知らずにメイド達を抱き続けたらしい。しかも入ったばかりの新人メイドまで食べたらしい。
勿論、御奉仕という名で王子達を襲ったメイド複数はとっくに解雇されたらしい。
「メイド…なんて馬鹿なことをしているんだよ」
頭を抱えながら小声で呟くシュオナ。
まさかの王子は被害者側でもあった…
全くの予想外。でも、有り得るのかもしれない。権力のある者の血を引いているとなればもしかしたら王族になれるかもしれないと淡い夢を見ていたのだろう。
なんて哀れな馬鹿なメイドだ。
まとめると、甘やかされたのが原因で我儘に。メイドのせいで女の価値を低下させ、王子達に襲って誤ったことを覚えさせて訂正もせずに解雇された。
「…とにかくです。王子、話してくださったのはとても嬉しく思いますが間違いを正すのも大切なので言わせてもらいます。
はっきり言いまして、王子達は我儘を言い過ぎです。自分で出来ることなのです。自分で頑張って働き、手にしてください。何でも手に入ると思ったら大間違いです。国にあるお金は民たちの税金から取っているのですから、むやみに使ってはなりません。
それとメイドの話なのですが、御奉仕というのはメイドの仕事の中にはございません。そのメイドの目的は子供を作り王家の仲間入りをしたかっただけでしょう。そういう欲を持った人もいるので、気おつけてください。
女性は共感力がとてもありますので、王子達に嫌だと言ったのにやめなかった。と、広められたら国中の女性達の敵になりますよ?実際、王子達は仰いましたね。『少し敵意がある方が面白い』と、つまり敵意があった。そのメイドはすごく嫌がったのではありませんか?女性の初めてはとても大事なものでもありますので無理やり奪ってはなりませんよ?合意の上でしたら、僕は何も言いませんがね。とにかく、ご注意ください」
ペラペラと喋るシュオナの言葉を聞き王子達は反省の色を少し見せる。
これで少しは女遊びは減るだろう。
話をしている途中で馬車が止まる。
「着いたようですね。外の様子を少々見てきますのでここでお待ちください」
王子達を馬車に残し外に出る。
出てみるともう着いていておかしくない7カ国の馬車が見当たらない。
見えるのは国境にある草原だけ。
「シュオナさん。まだ他の馬車が来ておりません。もう着いていておかしくないというのに…」
「……Sランク2名とモンスター討伐の中ランク8名は、今すぐにこの事を城に伝えに行きなさい。念の為確認を取る。他の者は僕とここで待機。王子達の護衛を続ける」
10名が連絡を取りに走っていく。
残った40名で待機することになった。
馬車にいる王子達に一応このことを伝えることにした。
王子達もそれには不安そうにする。
「…シュオナ、もし俺たちが攫われたら命をかけて救い出してくれるか?」
急に名前を呼ばれ驚く。
自分はいつ王子に名前を呼ばれるほど親しくなった?!
「ラキル王子、それは当たり前でございます。王子はこの国を継がれるお方。死んでしまっては国王も悲しくなってしまいます。僕個人としても貴方は少なからずこの国を思っていらっしゃる。それが分かれば助ける理由には十分でございます」
「お前は変わっているな」
「…お言葉ですが失礼ですよ?」
「くくくく。この俺にそんな事を言える奴は初めてだ。お前が女なら妻にしてやっても良かったがな…」
「兄さん…、それ本気で言ってるのか?」
ラキル王子は楽しそうに話す。
ラキル王子の言葉でライル王子も呆れながらも不安な顔が無くなっていた。
そんな2人を眺めていたら外から殺気を感じ取った。
すぐさま馬車のドアを開けて指示を出そうと飛び出た。
………だが、もう遅かった。
戦闘は始まっていたらしく既にシュオナ以外はやられていた。数はたったの6人。
シュオナは馬車の前で腰にある新たに作った自分の剣を構える。
「王子!決して馬車の外においそれと顔を出してはなりませんよ!!」
声を張って後ろの馬車に乗る王子達へ警告する。
「おいおい…ガキが剣を構えてるぞ?」
「本当に構えてやがる…。しかも殺した兵士と同じ格好してるぜ?」
「目的…王子達。他、いらない。始末、あるのみ」
「他の奴より手応えありそうだな」
「ガキなのに手応えあるのか?どう見ても弱そうだろ」
「……」
5人は30代前半と後半の男。だが、1人だけ黙ったままのフードを被った同い年ぐらいの青年がいた。
「手応えあるかどうか、戦えば分かること」
そういいシュオナは踏み込み、大柄の男へ剣を振る。
「うおっ!?危ねぇなぁ、坊主!」
大きな斧で攻撃してくるので避ける。
だが…
「うぐっ…?!」
避けた後に別の男が短剣を構えて攻撃をしてきた。すぐに気がついて避けたが傷を付けられた。
「へぇ~、今の避けるんだ。ガキにしてはやるねぇ。大体のやつは今ので死んでるのに」
「…盗賊にしては腕が良すぎると思うぞ?」
「あはははは!それはそうだ!!俺たちは盗賊じゃなく、依頼された人攫い兼元殺し屋なんだからよ!そこらのクズ共と一緒にされちゃ困るぜ」
こいつは今、元殺し屋と言わなかったか?ということは師匠と同じ…。
師匠と同じ殺し屋…何故か怒りがこみ上げてくる。
「お前達が殺し屋??笑わせるなよ?お前らが師匠と同じ?どう見ても盗賊と変わらない。せめて殺し屋と名乗るなら遊ばずに全力で殺しに来いよ。馬鹿にしすぎだろ?」
シュオナは斧を振り回していた男に、周りの木々や草花と一体と化すまで気配を完全に消し背後へ周り首を飛ばす。
襲ってきたあとの5人は何が起きたのか分からず硬直する。
それをシュオナは見逃さなかった。そのまま近くにいた短剣を持つ男へと近づき剣を振る。
男は攻撃される一瞬で正気に戻り攻撃を受け止めた。
その行動は、さすがだと敵ながら賞賛出来るものだった。
「ガキ…いや、お前は一体何者だ?!
ルガルを一撃で殺す奴が今まで名を聞いたことも外見でも要注意されるような人物の情報はなかったはずだ!」
ルガルとはさっき殺した男の名前だろうか?
「それはそうだろうよ!
僕は5ヶ月前に兵士になったばかりの今回が初任務だからな!!」
そのまま勢いでは勝てないと分かっているので身体強化とスピード強化、そして雷の能力を使うことにした。
男は咄嗟に短剣で受け止めようとした。
だが、それが大きな間違いだとは知らずに…。
身体強化とスピード強化でさらに動きが早くなり力も強くなる。そして剣に纏わせた雷の能力で体から脳を焼くほどの力。そのままシュオナの剣を受け止めた敵の体は、剣に触れた瞬間脳を焼かれ死んだ。
「さて…次はどいつだ?」
殺気をヒシヒシと敵にぶつけながら近く。青ざめた顔をしながらガクガクと震える。それも長くは続かない。
残りの目の前にいる3人の男達は急に口角を上げて笑顔になる。
「…あいつらがどうなってもいいのか?」
後へと指を指す。シュオナはまさか?という気持ちになった。
振り返ると青年が王子達の首元に短剣をピッタリと付けていた。
体には電気が溜まっているのかバチバチという音も聞こえるがシュオナにはどうでもよかった。男達ばかりに気を取られて青年の存在を忘れていた。あまりにも影の薄い青年。これは青年の能力なのかもしれない。
「これで分かっただろ?大人しく死ね」
一人の男がシュオナの背後から気配も消さずに近寄り腕を上げて切ろうとする。
「誰がお前らなんかに従うか」
シュオナは自身が放てる殺気を全力で出して男達を威嚇し、怯ませる。
腕を振り上げた男は動きを完全に止めた。その隙に上げた腕を切り落とし背中から心臓を刺して右へと切り、左の肺を使えなくした。
そのまま2人の男へ能力をフルに使って近づき首を切り落とした。
切られた男達から見たらシュオナの動きは一瞬で自分が切られたことすら分からなかった。
「さて…後はフードのお前だけだ」
ギラギラとし目で殺気を送りながらゆっくりと歩く。
王子達は顔を青くしてガタガタと震えている。人が殺される所など見た事がなかった2人にとっては刺激が強すぎたのと、シュオナの放つ殺気と平然と人を殺す姿にも震えていた。
「………」
青年の近くで足を止める。
「最後だ。王子達を離せ」
「…済まない。俺にはその命令がない。出来ればこんなことしたくなかったんだ。本当にごめんよ」
悲しそうに、心からそう思っているであろう表情と声。
フードを被っていて顔ばかり気にしていたが首元には大きな首輪がしてあった。
「…奴隷??」
「その通りだ」
背後から声が急にして振り返ろうとするがそんな暇は与えられずに横腹から激痛が走り、吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
「王、子…」
自分はなんて弱いんだろう。背後の警戒を怠った。師匠からはどんな時でも背後に気をつけろ。と言われていたのに…
それに加えて王子達を守ると言ったのに守れなかった。
自分は弱い。最弱だ。師匠の弟子で子供だと笑わせる。自分が一番その名に驕っていた。強くなりたいと願っても、それを現実にする為の努力をしてきたが実戦で活躍しなければなんの意味もない。弱い自分に反吐が出る。
意識が朦朧とする中で男がこちらを見下ろしている姿と王子達が何かを叫ぶ姿を見たのがシュオナの最後の光景だった。
10
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる