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拉致監禁
27話 混乱する王子達
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「リュイ、ただいま」
扉を開けてリュイと王子達がいる部屋に入る。
王子達はまだ目を覚ましていないみたいだ。
「シュオナ!…なんでそんな血塗れなんだ?!シュオナなら簡単に避けられるだろ?!」
近づいてきたかと思えばお叱りを受けてしまった。
いや、返り血は仕方ないよ。
リュイ、まず全ての返り血まで避けられる奴いませんよ。そんな超人的な奴いたら既にこの世は終わってると思うぞ。
「返り血は流石に避けられない。数も多かったからな。
リュイ、ここには研究者もいた。何の研究していたか分かるか?」
リュイは急に顔色が悪くなる。
「…あいつらは獣人やエルフや魔族も人族より強い種族を捕まえる、または攫ってきて人体実験をしてその力を人族に植え付けることが出来るかどうか。ということをしていた」
「やはり人体実験か…」
「シュオナは分かってたのか?」
「まぁな。殺し屋を雇ってでも研究したいこと。それは世界で禁止しているものと考えた方が妥当だろう。
そして各王子達は種族の中でもそれなりに高位の血を継いでいる。攫っても長く生かしているとなれば身代金か人体実験ぐらいだろう。身代金要求なら殺し屋を雇う必要は無いから自然と選択から消える。
人族の王位を継ぐ者も人族の中では比較的能力を必ず最低2つは継ぐ。その解明をしたくて攫ったのだろう。そしてそれを解明したとなれば多額の金が手に入るだろうよ」
シュオナはスラスラとんでもない事を口にする。どうやれば短時間にその考えに行き着くのだろうと思わずにはいられないリュイ。
「僕がいない間、王子達は1度でも目を覚ましたか?」
「いや、王子達はぐっすりだ。きっとコブラの事だから短時間で叩き起して拷問していたはずだから。精神的にも疲労して早々起きないよ」
「そうか…。僕は血を落としてくる。この組織の施設には風呂もあったからそこで洗ってくる。王子達が起きたらすぐに知らせに来てくれ。
わかっていると思うけど、普通に外出ても大丈夫だから。すべての部屋と死角は既に確認したし全員殺せたから。
王子達にも目を覚ましたら伝えて安心させて欲しい」
リュイは頷いた。それを見た後部屋から出ていった。
眠っていた分を考えると15日分風呂に入っていないことになる。流石に汚い。いつも清潔でいたいのは世の中生きる生物はきっと全員同じことを思うはずだ。シュオナは笑顔で風呂に向かう。
ーーーーー30分程でシュオナは風呂から出る。
風呂は綺麗で大きかった。清潔感があって気兼ねなく入ることが出来た。
意外とここにいた奴らは風呂好きだったのかもしれない。
風呂から出て、身だしなみをチェックする。
やはり気になるのが染み抜きして能力で乾かし終わった服である。大人の男物だからかぶかぶかで上のみの服である。ちなみにギリギリ履けるぐらいだが下着は無事である。サラシは捨てられた為なくなってしまったが…
「こんな格好で意識がはっきりした王子達の前に出て大丈夫なのだろうか…。公式な場ではないとはいえ…」
だが、異空間に予備の服など持ってないのでこれしかない。
「仕方がないか…。
というか今更か、ラキル王子にはもう見られているわけだし」
自然と吹っ切れた。もう既に見られているのだから気にしなくていい。見られてもきっと服についてはスルーしてくれるだろう。
そのまま王子達のいる部屋に向かう。
「リュイ、ただい…ぐふっ!」
扉を開けてすぐに誰かに抱きしめられた。背丈の問題か首周り近くに腕が回る為息がしにくくなった。
「く、くるしい…」
「す、すまない!」
この声はラキル王子だ。
目を覚まされたらしい。
「ラキル王子、目を覚ましたのですね」
「シュオナ!お前には俺の側にいろと言ったではないか!何故俺が起きた時にいないのだ!」
何故か怒られた。
確かに側にいろとは言われたが眠るまでと言いませんでしたか?
「申し訳ございません。ですが他の国の王子達をあの部屋に閉じ込めたままではいけないと思ったのです。
それに王子達を国に送り届けるには安全を確保しなければなりませんので、この組織の制圧をしなければなりません。その為お側を離れました。御心配をお掛けし申し訳ございません。
ですが喜んでください。ペスタルティナ王国に連絡ができ、ここに来るまでに数日かかりますが帰ることができます」
「それは本当なんだな?」
聞いたことのない声の方を見ると王子達全員が目を覚ましていた。
「各国の王子方、このような格好で申し訳ありません。僕はペスタルティナ王国の兵士、シュオナと申します。王子方をお助けが遅くなり大変申し訳ございません」
膝をつき片手を胸に添え深々と頭を下げ謝罪する。
「それはよい。其方のおかげで助かったのだ。礼を言わねばならぬのは我らの方である。申し遅れたが我は魔族の国。魔国の王子、ブラッドだ」
「ボクはブラッドの弟のアスマだ」
2人の頭から魔族特有の立派な角が生えている。
「私はエルフの国の王子、ルルーシュと申します」
「俺はルルーシュ兄様の弟、ディア」
耳のとがった美しい顔立ちのエルフの王子達。
「俺様は誇り高き、リスターナ国の王子ユヘナだ!」
「オレはユヘナ兄さんの弟、カグチ」
ドワーフの国の王子の兄弟は温度差が激しいようだ。兄は豪快で弟は普通だが兄のせいで弱々しく映る。
普通のドワーフと比べると少し背が高く、シュオナより少し高いぐらいの150cmくらいだった。
「俺は獣人国の時期国王のミハヤだ。俺を助けたのは大儀である!」
「オレ、ヴェリスト。助けてくれた、ありがとう」
獣人の王子兄弟もまた個性が強い。
ミハヤ王子は、もう国王になる気満々。自信家であるようだ。
それに比べてヴェリスト王子は喋るのが苦手そうである。だがなんだろうな。ヴェリスト王子は何故か腹黒そうに見えてしまう。
「私は鬼人のルイと申します。助けてくださりありがとうございます」
「次は俺っすね!俺はルイにぃの弟のマナって言うっすよ。助けてくれてありがとっすよ!…あんなモノ、二度とごめんっす」
ルイ王子は礼儀正しい人だとは分かるが弟が残念である。チャラ男のような話し方。誰がマナ王子を教育したらこんなチャラ男な喋り方になる?!ちゃんと教育しろ!
「ペスタルティナ王国と同じ人族。
コーナス帝国のフィンだ。礼を言うぞシュオナとやら」
「なぁ!シュオナだったな!ここの奴ら全員殺したんだろ?そんな腕前あるなら手合わせしてくれ!!
あ、俺は兄貴の弟のデール。よろしくな!」
脳筋はもう話にならないので無視をする。
「俺はカイン。サディマニア王国の王子だ」
「ボクはアラン。カインの弟」
全員が自己紹介をして下さった。本来なら、シュオナにこの様な礼を言われるような立場ではない。
「王子方、礼など不要でございます。元はと言えば我ら兵士の実力不足でございます。我が国のラキル王子とライル王子も僕は守りきれず15日間ほど御身のお側を離れることになり、各王子方も拷問を受けてしまいました。助けが遅れ大変申し訳ございません」
ただただ頭を下げるしかない。
こればかりはこちらの失態なのだから。
「制圧できる力がありながら数日間かかった?其方ならラキルとライルを守れたはずであろう?」
魔族のブラッド王子がこちらを凝視しながら質問する。
「それは僕の落ち度でございます。
戦っていた敵は倒すことは出来ましたが、目の前の敵ばかりに目をやってしまい人質に取られたことに気づきませんでした。
僕は、ラキル王子とライル王子が首筋あたりにナイフを突きつけられ身動きがとりずらかった際に、潜んでいたもう1人敵に気づかずに大きな一撃をまともに食らってしまいそのまま何も出来ずに気を失ってしまいました。
その後14日間眠り続け、昨日に目を覚ましました。眠っている際僕は死にかけるほどの拷問を受けたそうで、そのせいで長くの間眠っていたのだと推測いたしました。僕を捕まえたのは吸血鬼の男でした。
彼と交渉をいたしました。彼の願いを叶える代わりに、僕の解放。この組織の場所と目的、この組織と繋がる貴族の情報を条件に交渉が成立しました。そして王子達が何故攫われたか判明しました」
それを聞いた各国の王子達は真剣な表情になる。
「コーナス帝国の公爵数名と伯爵数名。リスターナ王国の家臣の内の2人。獣人国の侯爵4人と子爵5人。
以上が各国を裏切り王子達を攫い亡き者にしようとし、情報漏洩をしただけでなく暗殺まで考えた首謀者です。名前などの詳細は司令塔を調べた後、他の部屋に残党がいないか調査している際に証拠を見つけました。証拠はこちらにペスタルティナ王国の兵士達が来た際に証拠物として提示しすぐに捕獲致します」
各国の王子達は驚きのあまり硬直してしまう。特に自国の国の名前を取り上げられた王子は呆然とする。
「シュオナ、それは本当なんだな?」
「はい、ライル王子。今回の僕の発言は国際問題へと発展させてしまうことでしょうが、事実でございます。このままのさばらせてはなりません。また、こんな殺し屋を雇うことの出来き、人体実験をするこの組織に繋がっていた者を好きにさせては、これから何があるか分かりません」
各王子達はそれでも考えてしまう。この事は本当なのか?と。確かに自分達は監禁され拷問を受けた。同じように攫われ拷問をされた友人である他国の王子達以外は信じられなくなってしまったほどに。
拷問をしていた男は色んなことを喋り精神的苦痛を与えてきた。その中には各国の王子達の自国の内3カ国には裏切り者がいると喋っていた。それはとてもショックだった。自国にそんな奴はいないと信じきっていたからだ。
そしてシュオナの証言によりそれが信憑性が高くなった。もう何を信じていいか分からなくなった。
「シュオナと言ったか。俺たちはどうすればいいと思う?俺たちの何がいけなかった?」
途方にくれた結果、ミハヤ王子がポツリと喋る。
「それは王子達の気持ち次第でございます。
何がいけなかった。とは、今回の出来事が起こったのは自分達の何らかの原因と思っていらっしゃるなら、僕には分かりません。
僕は王子達と知り合ったばかりです。王子達がどのような方々か知りません。ですのでお答えできません。
ですが、それを人に聞くのではなく自身で考えて見てはいかがですか?時期国王となる王子達はいずれ自身の意識で決定したことは、その責任のすべてが自分にくるのです。言い訳など出来ないのです。
これがそうなのでは?と、思うことがあったのなら、何故それがいけないのかを考えてください。それでも分からなければ信頼のできる友人や近くにいてくれる人に聞けばいいのです」
シュオナは質問をスラスラと返す。嫌な顔をせずに目を合わせて話す。
「貴方は不思議な方ですね。我ら全員が権力の強い第一王子と第二王子だと言うのに媚を売ってこない。何より欲のない目をしています」
ルルーシュ王子がこちらを観察したことを口にする。
「ルルーシュ王子、それはありません。僕ほど欲深い者などいないはずですから。ただ、権力があると仰いましたが、そんなものがこういう場で使えたら、こんなことになっていないのです。権力という名前だけの武器など僕には必要ないだけの事なんです。
それに僕が誰かに媚を売るなど気持ち悪すぎて想像すらしたくありません」
シュオナは呆れた顔をしながら偽りなく話す。
王子達はその言葉は予想外過ぎた為に目を丸くする。
その後全員が笑い出す。
「くくくくく。いや、想像以上の面白い奴だ。名前だけの武器…。確かにな、自国の国でなければ使えない見えぬ武器だ。国の外に出てしまえばそんな物は役に立たない」
「ディアの言う通りですね。私たちは見えぬ武器に溺れていたのでしょうね」
エルフ王子達に周りの王子達も笑いながら頷く。
「お前のような者がいれば毎日が面白そうだ。なぁ?俺の国に仕える気はないか?」
ユヘナ王子がシュオナに近づきニヤニヤしながら肩を叩く。だが目がマジな目をしている。
「それでしたら私の国に来て仕えてほしいですね。鬼人は偏見などありませんからきっとすぐになれますしね」
ユヘナ王子に続きルイ王子も名乗りをあげる。
「ユヘナ王子、ルイ王子、とてもお誘いは嬉しく思いますが僕はペスタルティナ王国がいいのです。目標としている人達がいるのです。申し訳ございません」
「ユヘナ、ルイ、俺の国の人材を勝手に引き抜こうとするな。他の奴もだ」
ライル王子が急にユヘナ王子から遠ざけるように引きはがす。
何故か急にライル王子はラキル王子の様な扱いをし始めた。
「ライル、いいじゃないか。ペスタルティナ王国は人材豊か。それに、かの有名なコルグがいる。1人引き抜いたっていいだろう?」
「シュオナはダメだ」
「何故だ?」
「俺は今まで男だろうが女だろうが、媚しか売って来くる奴としか今まで会ったことがなかった。最初に会った時はシュオナもそうだと思っていた。
だが、馬車で迎えに行く道中でシュオナの事をしれた。兄さんも女だったら妻にしてやっても構わないと言う程だ」
全員がラキルへと視線を向ける。驚きのあまり口を開ける者までいる。
ラキルが妻にしてやるなど今まで言ったこともなかったからなだ。そこまで執着する存在など噂でも聞いたこともなかったからだ。
「最初は兄さんの気まぐれだと思っていた。だが襲われた時、シュオナは1人で兵士40人を殺した6人の敵に立ち向かった。俺たちからすれば自殺行為だ。だが此奴は立ち向かった。
でも俺たちのせいで負けた」
ラキル王子とライル王子はその事を思い出したのか暗い顔をする。
シュオナはどうしていいか分からずに慌てふためく。それを止めるかのようにライル王子が頭を撫でる。その行為をされたシュオナは一瞬で動きを止め思考も停止する。
そんなことを気にせずライル王子は撫でることを一旦やめて手を下ろす。それを見計らってラキル王子が後ろから抱きしめる。
「俺達兄弟は、シュオナを信じようと思っている。仲が良くなれば父上とコルグの様に間違ったことを容赦なく指摘してくれるだろう。だからペスタルティナ王国からシュオナを引き抜かせることは出来ない。お前らには悪いがな」
未だに思考が停止しているシュオナの横に行き腰あたりに手を置く。
「惜しい…。ボク、シュオナ、仲良くなりたい」
物欲しそうに呟くヴェリスト王子。
他の王子達も物欲しそうにシュオナを見つめる。
「シュオナは俺たちのものだ。渡さん」
「………」
「兄さん?」
シュオナを抱きしめたまま固まっているラキル。
ライルの呟きにより王子達はラキルの様子を見ようと注目する。
「………服を脱げ、シュオナ」
「は?」
突然の言葉でシュオナは再起動するが言われた言葉によりまた思考を停止した。
扉を開けてリュイと王子達がいる部屋に入る。
王子達はまだ目を覚ましていないみたいだ。
「シュオナ!…なんでそんな血塗れなんだ?!シュオナなら簡単に避けられるだろ?!」
近づいてきたかと思えばお叱りを受けてしまった。
いや、返り血は仕方ないよ。
リュイ、まず全ての返り血まで避けられる奴いませんよ。そんな超人的な奴いたら既にこの世は終わってると思うぞ。
「返り血は流石に避けられない。数も多かったからな。
リュイ、ここには研究者もいた。何の研究していたか分かるか?」
リュイは急に顔色が悪くなる。
「…あいつらは獣人やエルフや魔族も人族より強い種族を捕まえる、または攫ってきて人体実験をしてその力を人族に植え付けることが出来るかどうか。ということをしていた」
「やはり人体実験か…」
「シュオナは分かってたのか?」
「まぁな。殺し屋を雇ってでも研究したいこと。それは世界で禁止しているものと考えた方が妥当だろう。
そして各王子達は種族の中でもそれなりに高位の血を継いでいる。攫っても長く生かしているとなれば身代金か人体実験ぐらいだろう。身代金要求なら殺し屋を雇う必要は無いから自然と選択から消える。
人族の王位を継ぐ者も人族の中では比較的能力を必ず最低2つは継ぐ。その解明をしたくて攫ったのだろう。そしてそれを解明したとなれば多額の金が手に入るだろうよ」
シュオナはスラスラとんでもない事を口にする。どうやれば短時間にその考えに行き着くのだろうと思わずにはいられないリュイ。
「僕がいない間、王子達は1度でも目を覚ましたか?」
「いや、王子達はぐっすりだ。きっとコブラの事だから短時間で叩き起して拷問していたはずだから。精神的にも疲労して早々起きないよ」
「そうか…。僕は血を落としてくる。この組織の施設には風呂もあったからそこで洗ってくる。王子達が起きたらすぐに知らせに来てくれ。
わかっていると思うけど、普通に外出ても大丈夫だから。すべての部屋と死角は既に確認したし全員殺せたから。
王子達にも目を覚ましたら伝えて安心させて欲しい」
リュイは頷いた。それを見た後部屋から出ていった。
眠っていた分を考えると15日分風呂に入っていないことになる。流石に汚い。いつも清潔でいたいのは世の中生きる生物はきっと全員同じことを思うはずだ。シュオナは笑顔で風呂に向かう。
ーーーーー30分程でシュオナは風呂から出る。
風呂は綺麗で大きかった。清潔感があって気兼ねなく入ることが出来た。
意外とここにいた奴らは風呂好きだったのかもしれない。
風呂から出て、身だしなみをチェックする。
やはり気になるのが染み抜きして能力で乾かし終わった服である。大人の男物だからかぶかぶかで上のみの服である。ちなみにギリギリ履けるぐらいだが下着は無事である。サラシは捨てられた為なくなってしまったが…
「こんな格好で意識がはっきりした王子達の前に出て大丈夫なのだろうか…。公式な場ではないとはいえ…」
だが、異空間に予備の服など持ってないのでこれしかない。
「仕方がないか…。
というか今更か、ラキル王子にはもう見られているわけだし」
自然と吹っ切れた。もう既に見られているのだから気にしなくていい。見られてもきっと服についてはスルーしてくれるだろう。
そのまま王子達のいる部屋に向かう。
「リュイ、ただい…ぐふっ!」
扉を開けてすぐに誰かに抱きしめられた。背丈の問題か首周り近くに腕が回る為息がしにくくなった。
「く、くるしい…」
「す、すまない!」
この声はラキル王子だ。
目を覚まされたらしい。
「ラキル王子、目を覚ましたのですね」
「シュオナ!お前には俺の側にいろと言ったではないか!何故俺が起きた時にいないのだ!」
何故か怒られた。
確かに側にいろとは言われたが眠るまでと言いませんでしたか?
「申し訳ございません。ですが他の国の王子達をあの部屋に閉じ込めたままではいけないと思ったのです。
それに王子達を国に送り届けるには安全を確保しなければなりませんので、この組織の制圧をしなければなりません。その為お側を離れました。御心配をお掛けし申し訳ございません。
ですが喜んでください。ペスタルティナ王国に連絡ができ、ここに来るまでに数日かかりますが帰ることができます」
「それは本当なんだな?」
聞いたことのない声の方を見ると王子達全員が目を覚ましていた。
「各国の王子方、このような格好で申し訳ありません。僕はペスタルティナ王国の兵士、シュオナと申します。王子方をお助けが遅くなり大変申し訳ございません」
膝をつき片手を胸に添え深々と頭を下げ謝罪する。
「それはよい。其方のおかげで助かったのだ。礼を言わねばならぬのは我らの方である。申し遅れたが我は魔族の国。魔国の王子、ブラッドだ」
「ボクはブラッドの弟のアスマだ」
2人の頭から魔族特有の立派な角が生えている。
「私はエルフの国の王子、ルルーシュと申します」
「俺はルルーシュ兄様の弟、ディア」
耳のとがった美しい顔立ちのエルフの王子達。
「俺様は誇り高き、リスターナ国の王子ユヘナだ!」
「オレはユヘナ兄さんの弟、カグチ」
ドワーフの国の王子の兄弟は温度差が激しいようだ。兄は豪快で弟は普通だが兄のせいで弱々しく映る。
普通のドワーフと比べると少し背が高く、シュオナより少し高いぐらいの150cmくらいだった。
「俺は獣人国の時期国王のミハヤだ。俺を助けたのは大儀である!」
「オレ、ヴェリスト。助けてくれた、ありがとう」
獣人の王子兄弟もまた個性が強い。
ミハヤ王子は、もう国王になる気満々。自信家であるようだ。
それに比べてヴェリスト王子は喋るのが苦手そうである。だがなんだろうな。ヴェリスト王子は何故か腹黒そうに見えてしまう。
「私は鬼人のルイと申します。助けてくださりありがとうございます」
「次は俺っすね!俺はルイにぃの弟のマナって言うっすよ。助けてくれてありがとっすよ!…あんなモノ、二度とごめんっす」
ルイ王子は礼儀正しい人だとは分かるが弟が残念である。チャラ男のような話し方。誰がマナ王子を教育したらこんなチャラ男な喋り方になる?!ちゃんと教育しろ!
「ペスタルティナ王国と同じ人族。
コーナス帝国のフィンだ。礼を言うぞシュオナとやら」
「なぁ!シュオナだったな!ここの奴ら全員殺したんだろ?そんな腕前あるなら手合わせしてくれ!!
あ、俺は兄貴の弟のデール。よろしくな!」
脳筋はもう話にならないので無視をする。
「俺はカイン。サディマニア王国の王子だ」
「ボクはアラン。カインの弟」
全員が自己紹介をして下さった。本来なら、シュオナにこの様な礼を言われるような立場ではない。
「王子方、礼など不要でございます。元はと言えば我ら兵士の実力不足でございます。我が国のラキル王子とライル王子も僕は守りきれず15日間ほど御身のお側を離れることになり、各王子方も拷問を受けてしまいました。助けが遅れ大変申し訳ございません」
ただただ頭を下げるしかない。
こればかりはこちらの失態なのだから。
「制圧できる力がありながら数日間かかった?其方ならラキルとライルを守れたはずであろう?」
魔族のブラッド王子がこちらを凝視しながら質問する。
「それは僕の落ち度でございます。
戦っていた敵は倒すことは出来ましたが、目の前の敵ばかりに目をやってしまい人質に取られたことに気づきませんでした。
僕は、ラキル王子とライル王子が首筋あたりにナイフを突きつけられ身動きがとりずらかった際に、潜んでいたもう1人敵に気づかずに大きな一撃をまともに食らってしまいそのまま何も出来ずに気を失ってしまいました。
その後14日間眠り続け、昨日に目を覚ましました。眠っている際僕は死にかけるほどの拷問を受けたそうで、そのせいで長くの間眠っていたのだと推測いたしました。僕を捕まえたのは吸血鬼の男でした。
彼と交渉をいたしました。彼の願いを叶える代わりに、僕の解放。この組織の場所と目的、この組織と繋がる貴族の情報を条件に交渉が成立しました。そして王子達が何故攫われたか判明しました」
それを聞いた各国の王子達は真剣な表情になる。
「コーナス帝国の公爵数名と伯爵数名。リスターナ王国の家臣の内の2人。獣人国の侯爵4人と子爵5人。
以上が各国を裏切り王子達を攫い亡き者にしようとし、情報漏洩をしただけでなく暗殺まで考えた首謀者です。名前などの詳細は司令塔を調べた後、他の部屋に残党がいないか調査している際に証拠を見つけました。証拠はこちらにペスタルティナ王国の兵士達が来た際に証拠物として提示しすぐに捕獲致します」
各国の王子達は驚きのあまり硬直してしまう。特に自国の国の名前を取り上げられた王子は呆然とする。
「シュオナ、それは本当なんだな?」
「はい、ライル王子。今回の僕の発言は国際問題へと発展させてしまうことでしょうが、事実でございます。このままのさばらせてはなりません。また、こんな殺し屋を雇うことの出来き、人体実験をするこの組織に繋がっていた者を好きにさせては、これから何があるか分かりません」
各王子達はそれでも考えてしまう。この事は本当なのか?と。確かに自分達は監禁され拷問を受けた。同じように攫われ拷問をされた友人である他国の王子達以外は信じられなくなってしまったほどに。
拷問をしていた男は色んなことを喋り精神的苦痛を与えてきた。その中には各国の王子達の自国の内3カ国には裏切り者がいると喋っていた。それはとてもショックだった。自国にそんな奴はいないと信じきっていたからだ。
そしてシュオナの証言によりそれが信憑性が高くなった。もう何を信じていいか分からなくなった。
「シュオナと言ったか。俺たちはどうすればいいと思う?俺たちの何がいけなかった?」
途方にくれた結果、ミハヤ王子がポツリと喋る。
「それは王子達の気持ち次第でございます。
何がいけなかった。とは、今回の出来事が起こったのは自分達の何らかの原因と思っていらっしゃるなら、僕には分かりません。
僕は王子達と知り合ったばかりです。王子達がどのような方々か知りません。ですのでお答えできません。
ですが、それを人に聞くのではなく自身で考えて見てはいかがですか?時期国王となる王子達はいずれ自身の意識で決定したことは、その責任のすべてが自分にくるのです。言い訳など出来ないのです。
これがそうなのでは?と、思うことがあったのなら、何故それがいけないのかを考えてください。それでも分からなければ信頼のできる友人や近くにいてくれる人に聞けばいいのです」
シュオナは質問をスラスラと返す。嫌な顔をせずに目を合わせて話す。
「貴方は不思議な方ですね。我ら全員が権力の強い第一王子と第二王子だと言うのに媚を売ってこない。何より欲のない目をしています」
ルルーシュ王子がこちらを観察したことを口にする。
「ルルーシュ王子、それはありません。僕ほど欲深い者などいないはずですから。ただ、権力があると仰いましたが、そんなものがこういう場で使えたら、こんなことになっていないのです。権力という名前だけの武器など僕には必要ないだけの事なんです。
それに僕が誰かに媚を売るなど気持ち悪すぎて想像すらしたくありません」
シュオナは呆れた顔をしながら偽りなく話す。
王子達はその言葉は予想外過ぎた為に目を丸くする。
その後全員が笑い出す。
「くくくくく。いや、想像以上の面白い奴だ。名前だけの武器…。確かにな、自国の国でなければ使えない見えぬ武器だ。国の外に出てしまえばそんな物は役に立たない」
「ディアの言う通りですね。私たちは見えぬ武器に溺れていたのでしょうね」
エルフ王子達に周りの王子達も笑いながら頷く。
「お前のような者がいれば毎日が面白そうだ。なぁ?俺の国に仕える気はないか?」
ユヘナ王子がシュオナに近づきニヤニヤしながら肩を叩く。だが目がマジな目をしている。
「それでしたら私の国に来て仕えてほしいですね。鬼人は偏見などありませんからきっとすぐになれますしね」
ユヘナ王子に続きルイ王子も名乗りをあげる。
「ユヘナ王子、ルイ王子、とてもお誘いは嬉しく思いますが僕はペスタルティナ王国がいいのです。目標としている人達がいるのです。申し訳ございません」
「ユヘナ、ルイ、俺の国の人材を勝手に引き抜こうとするな。他の奴もだ」
ライル王子が急にユヘナ王子から遠ざけるように引きはがす。
何故か急にライル王子はラキル王子の様な扱いをし始めた。
「ライル、いいじゃないか。ペスタルティナ王国は人材豊か。それに、かの有名なコルグがいる。1人引き抜いたっていいだろう?」
「シュオナはダメだ」
「何故だ?」
「俺は今まで男だろうが女だろうが、媚しか売って来くる奴としか今まで会ったことがなかった。最初に会った時はシュオナもそうだと思っていた。
だが、馬車で迎えに行く道中でシュオナの事をしれた。兄さんも女だったら妻にしてやっても構わないと言う程だ」
全員がラキルへと視線を向ける。驚きのあまり口を開ける者までいる。
ラキルが妻にしてやるなど今まで言ったこともなかったからなだ。そこまで執着する存在など噂でも聞いたこともなかったからだ。
「最初は兄さんの気まぐれだと思っていた。だが襲われた時、シュオナは1人で兵士40人を殺した6人の敵に立ち向かった。俺たちからすれば自殺行為だ。だが此奴は立ち向かった。
でも俺たちのせいで負けた」
ラキル王子とライル王子はその事を思い出したのか暗い顔をする。
シュオナはどうしていいか分からずに慌てふためく。それを止めるかのようにライル王子が頭を撫でる。その行為をされたシュオナは一瞬で動きを止め思考も停止する。
そんなことを気にせずライル王子は撫でることを一旦やめて手を下ろす。それを見計らってラキル王子が後ろから抱きしめる。
「俺達兄弟は、シュオナを信じようと思っている。仲が良くなれば父上とコルグの様に間違ったことを容赦なく指摘してくれるだろう。だからペスタルティナ王国からシュオナを引き抜かせることは出来ない。お前らには悪いがな」
未だに思考が停止しているシュオナの横に行き腰あたりに手を置く。
「惜しい…。ボク、シュオナ、仲良くなりたい」
物欲しそうに呟くヴェリスト王子。
他の王子達も物欲しそうにシュオナを見つめる。
「シュオナは俺たちのものだ。渡さん」
「………」
「兄さん?」
シュオナを抱きしめたまま固まっているラキル。
ライルの呟きにより王子達はラキルの様子を見ようと注目する。
「………服を脱げ、シュオナ」
「は?」
突然の言葉でシュオナは再起動するが言われた言葉によりまた思考を停止した。
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