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捕縛

46話 褒美

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地下牢へ首謀者と護衛達を突っ込んだ後に玉座の間まで小走りして向かい扉の前に着いたらノックをする。
「新兵シュオナ到着致しました。入室しても宜しいでしょうか??」
「うむ、入ってよいぞ」
許可が降りたので入室していくと各国王達はゼルルタ王の後に控えて代わりに王子達が前に立っていた。
それを気にせずに失礼のない距離で膝をついた。
「只今帰還しました。首謀者達は地下牢へと連れていきました」
「大儀である。シュオナは此度の活躍により褒美を与える。
まず、王子達の救出と組織の討伐の活躍によりSSランクからSSSランクへ昇格することを命ずる。
そして首謀者達を無傷で連れてきた褒美は各国の王子達の婚約者とする!」
『『『シュオナ、これから宜しく(な)(お願いします)。』』』
それを聞き開いた口は閉じない。
まず、昇格はとても嬉しいことだ。まさかこんな早くに最高ランクへいくとは思ってもみなかった。
だが、問題が最後。王子達の婚約者??ナニソレオイシイノ??
考えることを放棄しそうな衝撃。
だが、早く返事を返さないとそのまま進んでしまう。
「お、お言葉ですが国王様!王子方の婚約は辞退をさせてください!!僕は王子達と婚約出来るほどの価値などございません!!」
焦りの声と顔をすることを読んでいたかのように王子達がニヤッとする。
「シュオナ、嫌い?」
「ヴィリスト王子、そういう訳ではございません!王子方はちゃんとした身分のちゃんとしたお嬢様方を選ぶべきです!作法も礼儀も知らないし、女性らしいことなどない僕には不釣り合いです!」
それを聞き国王が口を挟む。
「それなら問題はない。ありのままで良いのだ、シュオナはしなくてよい。正妻であるがその前に兵士でもある。夫の護衛でもあるのだ。ましてや各国王のお墨付き、シュオナがいれば今後の各国は安泰だ。文句があるのなら各国の国王を納得させ王子達を納得させることが必要だ。そんな勇気ある馬鹿をする奴などいないだろう」
ゼルルタ国王はニコニコ笑顔を絶やさず上機嫌で答える。
シュオナは話を聞き絶望した顔をすることしか出来なかった。
「それにこれは決定事項だ。息子達を宜しく頼むぞ?」
「……」
「頼むぞ?」
「………はぃ」
国王の1度目の言葉にフリーズして答えられず2度目の言葉で断れないと悟り了承した。
「ですが、私にも好きな人ができた場合はその人も婚約者の1人としますがよろしいですよね?」
シュオナはせめてもの抵抗で無茶な要求をした。
いや、好きな人なんて作る気はないが何かしないと気が晴れないという衝動だ。
シュオナの言葉に王子達は少しムッとした顔をしたがすぐに元の顔に戻った。
「ふむ、確かに本人の意思なく決定してしまった事は申し訳ないとは思っていた。よかろう、許可しよう。
今後とも我がペスタルティナもよろしく頼む。シュオナは結婚した後大変になりそうだな」
「そう思うのでしたら、やめてくださいよ…。僕が王子達の事を恋愛的な好きではないことぐらい分かっていたはずですよね?」
「息子達強い押しがあったからだよ。絶対に惚れさせる。と、私たちの前で宣言したのだから本気なのは分かったからな」
各国王達もその言葉に頷く。それを見て、もうどうでもよくなり始めたシュオナ。
「もういいですよ。結婚はさて置き婚約という事でしたら、婚約破棄はやろうと思えばやれますし、王子達も月日が経てば僕などどうでもよくなるでしょう。
ただ、王子達が王子としての責務を果たすことがちゃんと出来ていない場合は婚約を即座に取り消してください」
これは大事なことだ。王子達が口説き落とすというゲームを使用としていることは分かったのでそればかりに夢中になって国王となる王子達はちゃんとした勉強もしなければならない。それを疎かにはできない為、そこはちゃんとしてもらう。
王子達の顔を見るが不満そうな顔をしていたが見なかったことにする。
「うむ、確かにそうであるな」
それからはシュオナの兵士としての今後のことについてと、シュオナの王子達の対応についてを国王と話をした。
シュオナとっては半分以上はどうでもよく、簡単に自分の中で解釈して頭の片隅に残しておく。
シュオナは王子達の気まぐれとしかまだ考えていなかった。
王子達はそれを察している。その上でシュオナを口説き落とそうとしているのだ。自分たちしか興味を持つ男性がいないと分からせる為に闘志を燃やすのであった。
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