両目を隠した冒険者〜異世界では最強戦士〜

さしみ

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幸せな日常であった

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「あいつ、目みえないのに学校来る意味あんの?俺らは頑張ってるのに、あいつだけ、サボってねぇ?」
「それな!ノート提出とかもないじゃん?ずるくない?」
教室で、皆に聞こえるような声で話している男子軍団がいた。多分、いや確実に僕のことだろう。僕は小学校低学年の頃、ある男子と喧嘩になり階段から突き落とされ、目が見えなくなった。なぜ、喧嘩していたのか覚えていない。強く頭を打ち付けたせいで一部記憶がとんでしまったと、医者は言っていた。僕も特に興味はなかったので、気にしていない。でも、目が見えなくなってしまったのは、少し悲しかった。なぜなら、僕は植物をスケッチしたり、動物を見るのが好きだったからだ。それらができなくなってしまったので、今は想像で癒やしなどを求めている。我ながら、悲しくなってくる…。
そんなことを考えていると、誰かがこっちへ歩いて来ていることに気がついた。音からして、一人で間違えないだろう。僕に一人で近寄ってくる人なんてアイツしかいない。
「おはよ!シン!今日も俺の話を聞いてくれ!!」
彼は僕の友達、源(みなもと)浩道(ひろみち)だ。浩道は、目の見えない僕に沢山の情報を教えてくれる。その情報も特殊なんだけれど…。いいやつだよ…多分…。
「昨日、新作の冒険ゲームやったんだけど、マジやべー、マジ面白れぇ」
「いや、お前のボキャブラリーの方がやばいぞ」
「ははっ!そうかもな!」
浩道は、いつも明るく優しいので僕の支えになっている。大切な友達だ。いや、親友だ!浩道よりも、素晴らしい人間はいない。彼は僕にとって大事な存在だ。絶対に手放したくはない。でも、決してヤンデレなどではない。と思う…。まず、ヤンデレをよくわかっていない…。まぁ、それは今はいい。親友との会話を楽しまなくては!
「それで、そのゲームについてもっと教えてくれるか?」
「シンは、そう言ってくれると思ってたよ!」
「なんだよそれw」
「はは!それでそれで………」
浩道は、ホームルームが始まるまで、楽しそうにゲームの話をしてくれた。大きな狼に出会ったり、スライムっていうドロドロした魔物が可愛くて倒せなかったとか、僕までそのゲームをやっているかのようで、楽しかった。特に気になるのがスライムだ。僕はスライムを見たことがない。水みたいだけど形があるとか、どういう生物だ?と思ってしまう。実際見てみたいとも思うが、想像するのも何かと面白い。いつか、僕が生まれ変わったらスライムとか大きな狼とか見たい。それまでは、この人生をやってのけよう。そう、僕は心に誓った。
「ホームルーム始めるぞ~!」
「おっ、じゃあまた後でな!シン!」
「あぁ、また後で」
この時は、進はまだ知らなかった。これが浩道との最後の会話になることを…。
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