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さよなら…浩道
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僕は今、屋上にいる。なぜか、クラスの男子が僕と友達になりたいと言ってきたのだ。いかにも何か企んでそうだが、僕は彼のこと全く知らないので、もし本当に友達になってくれたらな、という期待をしてここにいるのだ。そうそう、人は見た目(見えないが…)で判断してはいけないと言うし、声も僕を悪く言う人たちの声では無かったから、ひとまずは安心できるだろう。
「しっかし、何故屋上なのだろうか」
僕と話したいなら、教室で話せばいいのに。あっ、もしかして僕と話しているところを他の人に見られたくないとか!?それもそうだな、僕は嫌われているのだから当然の報いなのかもしれない…。でも、心が痛むなぁ…。はぁ…。
『ガチャッ』
おっ!誰かが屋上の扉を開いた。彼だろうか!僕はその人の足音に集中して耳を傾けた。
ん…?これは、彼じゃない?この足音は聞いたことがある、確か同じクラスの奴だ…。もしかして…これは…
「よぉ~!柊木く~ん!」
「…!?」
「俺、君と友達になりたいんだぁ!なってくれるー?」
「…」
「なんで、黙ってるのさぁ!応えて?」
この声は忘れもしない、僕の悪口を言う軍団の一人だ。まず、喋り方が独特すぎて忘れようがない!いや、そんなことはどうでもいい。今はこの状況を何とかしないと…!
「あの…君って同じクラスの井上くんだよね?僕に何の用?」
「はっ、バレてんのか。つまんねーの」
すまないね、つまんない男で!
「僕はある人と待ち合わせをしているんだ、井上くんも誰かと待ち合わせ?」
「あぁ、そーだぁ!お・ま・え・と・な!」
「…!?どういうことだ…?」
「それはだなぁ、別の奴に頼んでお前をここに連れてきてもらったんだ!この意味がわかるか?w」
「な、なんで…?井上くんは、僕が嫌いだろ?僕に何の用があって…」
「そりゃー、決まってんだろ!お前を排除しに来たんだよ」
こいつは何を言っているんだ…。排除…?僕を…?そんなことをして何の得があるというのだ!
「僕に何をするきだ?」
「ふふっ、今からお前は俺らに消されるのさ」
その声を合図に、扉がバンッと開き複数の人物が飛び出してきた。5、6人はいるな…。まずいな…。
「僕を殺して何になるんだ?それに、僕を殺したらすぐにバレるぞ、それでもいいのか?君たちは犯罪者になるんだぞ!」
「わかってねぇーなぁ、お前を消すのは浩道を救うためだ!それに、お前をボコった後、ここから付き落とせば、俺らは犯罪者にはならねぇ!皆は、目が見えないお前が足を滑らせて落ちたって思うだろうからよ!」
確かに筋は通っている…。でも、一つ引っ掛かるところがある。
「何故、浩道が関係あるんだ?」
「お前なんかに浩道は、もったいねぇって言ってんだ!浩道はお情けでお前と仲良くしてんだ、いい加減気づけよ!」
あー、なるほど。浩道は、明るくて優しいから誰とでも仲良くなれる人物だ。そんな人が、僕みたいな嫌われ者とつるんでるだなんて、おかしい話だよな…。
本当はずっと前から思っていた。これでいいのかって…。僕のせいで浩道が嫌われてしまうのではないか、僕が浩道を独り占めしているのではないか。僕は、ずっとそれに目を逸し続けていたのだ。離れてほしくない、一人になりたくない、そんな自己中心的な思いを浩道に押し付けていたのかもしれない。
「さぁ、お前らぁ!やれ」
その瞬間、彼らは僕に襲いかかった。まず顔面を殴られ、次に足を蹴られた…。僕は痛みを覚え、後退るとそこにも人がいて、僕の顔面を殴った。倒れ込んだ僕を彼らは必要以上に蹴りつづけた。
痛い…。辛い…。顔に冷たい何かが流れ落ちた。あぁ、泣いているのか…。
なんで…なんで…僕はこんなにも弱いんだ…。僕は浩道のことを考えると、彼らに抵抗してはいけないと思った。それに、沢山殴られたせいで、足音が聞き取れないので誰がどこにいるのか、わからないので抵抗のしようもなかった…。僕がもっと強ければ…虐めなんて無かった。浩道が僕と仲良くする必要も無かった。そんな弱さが、皆の浩道を奪ったんだ。これは自業自得、そういう宿命だったんだ…。僕の目が見えなくなったのは、これを気づかせるためだったのかもしれない。でも、ひどいよ神様!だって!だって…それだったら…もっと浩道と会話がしたかった…!僕が知らないこと、感じたいことを浩道は与えてくれた。そんな浩道に、僕は…何のお礼もできていない!せめて、感謝くらい伝えたかった…。段々と、意識がとうのいていくのを感じた。僕は最後に神様に願った。
もし僕が生まれ変われたら、誰かを救える力をください。僕にやり直すチャンスをください。
そして、僕は気を失った。
「しっかし、何故屋上なのだろうか」
僕と話したいなら、教室で話せばいいのに。あっ、もしかして僕と話しているところを他の人に見られたくないとか!?それもそうだな、僕は嫌われているのだから当然の報いなのかもしれない…。でも、心が痛むなぁ…。はぁ…。
『ガチャッ』
おっ!誰かが屋上の扉を開いた。彼だろうか!僕はその人の足音に集中して耳を傾けた。
ん…?これは、彼じゃない?この足音は聞いたことがある、確か同じクラスの奴だ…。もしかして…これは…
「よぉ~!柊木く~ん!」
「…!?」
「俺、君と友達になりたいんだぁ!なってくれるー?」
「…」
「なんで、黙ってるのさぁ!応えて?」
この声は忘れもしない、僕の悪口を言う軍団の一人だ。まず、喋り方が独特すぎて忘れようがない!いや、そんなことはどうでもいい。今はこの状況を何とかしないと…!
「あの…君って同じクラスの井上くんだよね?僕に何の用?」
「はっ、バレてんのか。つまんねーの」
すまないね、つまんない男で!
「僕はある人と待ち合わせをしているんだ、井上くんも誰かと待ち合わせ?」
「あぁ、そーだぁ!お・ま・え・と・な!」
「…!?どういうことだ…?」
「それはだなぁ、別の奴に頼んでお前をここに連れてきてもらったんだ!この意味がわかるか?w」
「な、なんで…?井上くんは、僕が嫌いだろ?僕に何の用があって…」
「そりゃー、決まってんだろ!お前を排除しに来たんだよ」
こいつは何を言っているんだ…。排除…?僕を…?そんなことをして何の得があるというのだ!
「僕に何をするきだ?」
「ふふっ、今からお前は俺らに消されるのさ」
その声を合図に、扉がバンッと開き複数の人物が飛び出してきた。5、6人はいるな…。まずいな…。
「僕を殺して何になるんだ?それに、僕を殺したらすぐにバレるぞ、それでもいいのか?君たちは犯罪者になるんだぞ!」
「わかってねぇーなぁ、お前を消すのは浩道を救うためだ!それに、お前をボコった後、ここから付き落とせば、俺らは犯罪者にはならねぇ!皆は、目が見えないお前が足を滑らせて落ちたって思うだろうからよ!」
確かに筋は通っている…。でも、一つ引っ掛かるところがある。
「何故、浩道が関係あるんだ?」
「お前なんかに浩道は、もったいねぇって言ってんだ!浩道はお情けでお前と仲良くしてんだ、いい加減気づけよ!」
あー、なるほど。浩道は、明るくて優しいから誰とでも仲良くなれる人物だ。そんな人が、僕みたいな嫌われ者とつるんでるだなんて、おかしい話だよな…。
本当はずっと前から思っていた。これでいいのかって…。僕のせいで浩道が嫌われてしまうのではないか、僕が浩道を独り占めしているのではないか。僕は、ずっとそれに目を逸し続けていたのだ。離れてほしくない、一人になりたくない、そんな自己中心的な思いを浩道に押し付けていたのかもしれない。
「さぁ、お前らぁ!やれ」
その瞬間、彼らは僕に襲いかかった。まず顔面を殴られ、次に足を蹴られた…。僕は痛みを覚え、後退るとそこにも人がいて、僕の顔面を殴った。倒れ込んだ僕を彼らは必要以上に蹴りつづけた。
痛い…。辛い…。顔に冷たい何かが流れ落ちた。あぁ、泣いているのか…。
なんで…なんで…僕はこんなにも弱いんだ…。僕は浩道のことを考えると、彼らに抵抗してはいけないと思った。それに、沢山殴られたせいで、足音が聞き取れないので誰がどこにいるのか、わからないので抵抗のしようもなかった…。僕がもっと強ければ…虐めなんて無かった。浩道が僕と仲良くする必要も無かった。そんな弱さが、皆の浩道を奪ったんだ。これは自業自得、そういう宿命だったんだ…。僕の目が見えなくなったのは、これを気づかせるためだったのかもしれない。でも、ひどいよ神様!だって!だって…それだったら…もっと浩道と会話がしたかった…!僕が知らないこと、感じたいことを浩道は与えてくれた。そんな浩道に、僕は…何のお礼もできていない!せめて、感謝くらい伝えたかった…。段々と、意識がとうのいていくのを感じた。僕は最後に神様に願った。
もし僕が生まれ変われたら、誰かを救える力をください。僕にやり直すチャンスをください。
そして、僕は気を失った。
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