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新しい友達
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僕は洞窟に差し込む日の光で、目を覚ました。
昨日は変な夢を見たな。でも、どんな夢だっけ…?忘れた…wまぁ、思い出せないなら、あまり大事な夢でもないだろう。
そう思って、僕はグーッと背伸びした。
やっぱり石の上は体にくるな。あちこち痛い…。
ジル先生と満は、僕を守るように寝ていた。
あー、もし誰かに僕が襲われないように守ってくれてたのか、ありがとな。てか、僕が守られてどうするんだ。今度は僕が守らなければ。しっかし、ここにいる魔物は昨日話した感じ、全く怖くなかったな。逆に友好的だった。何か裏があるのだろうか…。
考えてみたけれど、いまいちピンとこない。そんなことを、考えるよりまずはお腹が空いたなぁ。
昨日、食べずに寝てしまって今日はお腹と背中がくっつきそうだ。
何か食べ物を探しに行かないと!
そして僕は、こっそり洞窟からでて食べ物を探しに行った。
外は太陽の光で、葉っぱがキラキラ光っていてとてもキレイだ。
久しぶりに朝の森を見たな…。小さい頃は、よく近所の裏山で遊んだっけ。楽しかったなぁ。
僕は心を踊らせながら、道を歩いていった。近くには小川が流れていて、水は澄みきっているので飲んでも大丈夫そうだ。僕は、手に水をすくい口に運んだ。
おー、美味しい。水がこんなに美味しいものだったなんて…。と、思うほど美味しかった。
でも、食べ物は一向に見つからない。まぁ、水だけでも一週間は保つと言われているが、それは僕には通じない。今は限界だと腹が僕に訴えかけているからだ。つまり、お腹が痛い。一刻でも早く、食べ物を見つけなければ!
しばらく、歩いていると何か茂みで動いているのを発見した。そこには、罠に引っかかったと思われるウサギのような生物がいた。足からは血が流れている。
なんて、酷いことをするんだ。こんな、可愛い生き物を…。
僕は、ゆっくりその子に近づいた。しかし、最悪なことに足元にあった枝を思いっきり踏んでしまった。その音にびっくりしたのか、その子は逃げようとする。でも、足を怪我しているため、上手く逃げられないらしい。僕は、まずこの子の警戒心をとくことから始めた。
「やあ、はじめまして。僕は君を傷つけたりはしないよ!足、怪我してるんだろ?そのままにしてたら、バイ菌とか入っちゃうから、まず洗いに行こ?」
その子は、僕の方を向いて酷く震えていた。
言葉通じてないのかな…?でも、どうやってこの子の警戒心をとけるかな。う~ん、そうだ。マイスキルを使おう。そしたら何か、手がかりを掴めるかもしれない。
僕は包帯を緩め、隙間からその子を見つめた。
種類はアズラーイール。属性は光。回復スキルが強いみたい。で、好きな物が音楽。
おっ、これは使える情報じゃないか。でも、音楽って言ってもこの森の中では用意できないし…。いや、待てよ。
僕はあることをひらめき、ある植物を探した。
あっ、あった。よし、これを口元に当てて。
「ブーー、ブーー」
そう、僕は葉笛を作ったのである。先程見つけた植物はツツジ。
この世界にもあって、よかった。これで、警戒心をといてくれたらいいのだけど…。
そして、僕は葉笛を吹き続けた。しかし、一向に警戒心をといてくれるように見えない。僕は疲れて、地面に座り込んだ。
「はぁ、そろそろ。警戒心をといてくれないか?怪我の手当てしたいんだ。それに…」
『ぐ~~~~』
「あっ…」
盛大にお腹がなってしまった。これは、とても恥ずかしい。恥ずかしさのあまり、顔が赤くなってしまった。
穴があったら入りたい…。
「ぷっ、ふふふふ」
「…?」
さっきまで、一言も喋らなかったのに何か凄い笑ってる。てか、喋れたの!?それにビックリなんだけど。
「あの~そろそろ、笑うのやめてもらえないかな?」
その子は、ずっと笑い続けている。
流石にそんなに笑われたら、本当に穴を探しに行きたくなるので止めていただきたい…。やめて…。
「ごめん…w木の実なら、なってるとこ知ってる。行く?」
「マジで?行く行く!と、その前に怪我の手当ね」
僕は、その子を抱き上げ先程の水辺に向かった。
まずは、汚れを落とさないとな。
「痛い…」
「傷口を洗ってるんだ、少し我慢してくれ」
どうやら、血は止まっているようだ。しかし、本当に誰にやられてんだろうか。
「なんで、人間なのに手当してくれるの…?」
「…」
そっか、魔物には人間を嫌っている奴がいるんだな。そういうことか…。
「人間は魔物の手当しちゃ、いけないのか?」
「んーん、そんなことないけど…。でも、人間は酷い…私何もしてない。なのに、襲ってくる」
「僕はまだ、こっちの人間のことあまり知らないからな~。後、僕の名前は柊木 進!人間って呼ばないでくれ!」
「わかった、ヒイラギ。私は、アリス」
「よろしくな、アリス」
よし、これで出来た。足が折れてる場合に備えて、包帯と一緒に棒も巻いておいた。そのほうが、何かと安心だろう。
「じゃあ、木の実のあるとこ案内する」
そして、アリスは跳び上がろうとした。しかし、まだ足が痛むのか、動きが止まってしまった。
「大丈夫か?まだ、痛いんだろ。ほら、僕が連れてってやるから、場所教えてくれ」
アリスは、しばらく僕を見つめてから、コクっとうなずいた。
さっきまでずっと、しかめっ面だったけど、可愛いところあんじゃん。
そして、僕はアリスを抱き上げ木の実のあるところまで歩いていった。
「ここ!」
「うゎ!木の実がいっぱい。それに見たことないものだらけだ」
小さい頃、テレビで見た果樹園がキレイで親に連れて行ってほしいって、わがまま言ったっけ。結局連れてってはくれなかったけど、今見れているから、それでいい気がする。
「これ、美味しいよ」
アリスが、りんごのような紫色の果実を指さした。見るからに毒々しい。
これ食べて大丈夫なのか…?人間には毒ってこともあるよな。一応、マイスキルで確認しておこう。
僕は、包帯を捲り紫色果実をじっくり見た。
肉眼のほうがきれいだなぁ。いや、それより毒は…ない!それに、甘みが高く人々に好かれている味らしい。これは取っておかなくては!
そして、僕は手近にある木の実を2つ取り、1つはアリスに渡した。僕らは一斉に果実に、かじりついた。その瞬間口に美味しさが溢れ出す。そんなにキツイ甘さではなく、柔らかく包み込んでくれるような、優しさを感じる味だ。
「ヒイラギ、どう?おいしい…?」
「うん!凄く美味しい。これ、皆にも取ってってあげよう」
「みんな?」
「あ~、スライムの満と狼のジル先生。オークのゴードンさんとか、お世話になってるからな」
「わかった。私もとってくる」
「足、怪我してるんだから僕がとるよ」
「んーん、低いところに別の美味しい実あるの。それなら、怪我してても取れる」
「そうなの?じゃあ、お願いする」
「うん!」
少しずつ、アリスは僕に心を開いてくれている。小動物好きな僕にとっては、とても嬉しい。
嬉しさのあまり、僕は必要以上に実をとってしまった。けれど、森にはまだ実は残っているし、皆も結構お腹すいてるかもしれない。これくらいあっても、大丈夫だろう。
僕は作業を終えたので、アリスを探しに行った。
どこいったんだろ。あんまり、遠くへは行ってないだろうけど…。
『バンッ』
突然、銃声のような大きな音がした…。
まさかまさか、アリス!?今行くから待ってろ!!!
僕は走った。音がした方へと。
せっかく仲良くなったのに、失ってはたまらない。絶対もう、僕から何も奪わせない。
必死に、草むらをかき分け、数秒でも早く、目的地へと…。
アリス、アリスアリス!ごめんな、一人にして僕が一緒に取るって言えば…。
『バンッ』
また、銃声が鳴り響いた。
駄目だ。やめろ、やめてくれ。僕から何も奪うな。
そして、僕は目にした。力なく地面に寝そべっているアリスと、銃を持った人間を…。僕は、何も考えずにアリスの前に立った。
「アリス…大丈夫か!?ごめん…一人にして…」
「だ…い…じょうぶ…逃げて…」
「お前を置いて、逃げるわけないだろ」
「何だ、お前?俺様の獲物に手を出すんじゃねぇ」
僕は後ろを振り返り、アリスを襲った男を睨みつけた。しかし、僕は包帯を巻いているので、全く怒っているように見えないらしい。そして、男は続けた。
「そいつは、いい金になるんだ。全くいない、特別な種類で全くお目にかかれないんだ。だから、どいてくれる?俺の獲物なの。どかないなら、殺すよ?」
僕は拳を握りしめた。
「なぁ、きーてんのか?」
「 何が金になるだ。アリスは物じゃない、ちゃんとした生き物なんだ…。最初は全然笑わなかったけど、笑うと凄く可愛いくて、とても優しい子なんだ。そんな子を傷つけるなんて…。僕はお前を絶対許さない」
僕は包帯ごしに、男を睨んだ。
「なんだ、お前。俺様に楯突くのか?いいぜ、楽に殺してやるよ」
「だ…め…。ヒイラギ…。逃げて…」
「アリス僕は逃げない。ここで逃げたら、今までと同じ。僕は強くなれない。大丈夫、アリスは僕が守るから」
アリスの目からは涙がこぼれた。
「感動だな。でも、死んだら終わりだぜ。さぁ、行くぞ」
言葉を合図に、彼は僕に剣で付きかかって来た。しかし、男の動きはまるで遅く、僕みたいなやつでも簡単に避けられてしまった。
なんだ、あんなに調子こいてたから、てっきり強いのかと思った。よかったぁ。
「くっ…。目が見えないのに、よく避けられたな。ならばこれはどうかな?」
男はまず、僕に素早く近づいて僕の足を蹴り、バランスを崩すと、剣を大きく振りかざし、そして…僕にあたる。はずだった。しかし、僕はもうそこにはいない。
「なっ!?いなくなった??」
「僕はここだ」
僕は後ろから、思いっきり男をグーで殴った。男はその衝撃で草むらにとばされ、気絶してしまった。
そんなに、強く殴ってないんだけど…。こいつ、本当弱いくせに、なんで動物虐待してんだよ。男よ、これはアリスを侮辱した報いだと思え。べーだ!
「ヒイラギ…?」
「アリス、大丈夫だったか?怪我してないか…?目眩とか吐き気は?もー、心配したぞアリス~」
僕は思わず、アリスを抱きしめた。
本当に、無事でよかった。また、失わずにすんだ。
「ヒイラギ、強いんだね。すごい」
「そうか…?あいつ、ものすごく弱かったじゃん」
「えっ…そうなの…?私は強いって思ったけど…」
「だって、剣の振りも遅いし、足音で何しようとしているかバレバレ」
「へ~、やっぱりヒイラギすごい!」
「ん~、よくわからんが、ありがとな!アリス!」
「うん!じゃあ、果物皆に持っていこ!」
「あっ!?そうだった…急いでたから地面に落としちゃったけど、大丈夫かな?一応洗っておくか」
僕は、果物をしっかり水で洗ってアリスはまだ取れてなかった実を取っていた。
「よし、じゃあ行こっか!僕の頭に乗ってくれ」
「いや、一人で歩ける」
「駄目だ、ただでさえ体力消耗してるだろ?いいから、乗って」
アリスは嫌々、僕の頭に乗った。
そんなに、僕の頭に乗るのは嫌なのだろうか…。少し傷ついた…。
そして僕らは、結界まで歩いていった。すると、誰かが僕の名前を呼んでいることに気がついた。
「シ~ン~!!どこいった~!!返事をするんだぞ~」
これは…満か?
「おーい!僕はここにいるぞ!」
「…!?シン!良かったぞ、無事で!魔物に食べられたのかとビックリしたぞ」
「ごめん、ごめん。木の実集めてたんだ、満たちに!」
「俺らにか?」
「そう、お世話になってるし。お礼だよ、おれい!!」
「そっか、でも、今度は俺に許可をとってから外出するんだぞ!いいな!」
「はいはい!wあっ、そうだ。さっき、森でアリスにあったんだ。この子、知ってるか?」
「えっ!アリス様だぞ?皆に知らせないと」
「えっ、ちょっと待てって」
行っちゃった…。何か、満はアリスについて知っているのか?それに、アリス様って…。どういうことなんだろう。
アリスとは、じっくり話し合わないとな。
そして、僕らは洞窟(ホーム)へと入っていった。
昨日は変な夢を見たな。でも、どんな夢だっけ…?忘れた…wまぁ、思い出せないなら、あまり大事な夢でもないだろう。
そう思って、僕はグーッと背伸びした。
やっぱり石の上は体にくるな。あちこち痛い…。
ジル先生と満は、僕を守るように寝ていた。
あー、もし誰かに僕が襲われないように守ってくれてたのか、ありがとな。てか、僕が守られてどうするんだ。今度は僕が守らなければ。しっかし、ここにいる魔物は昨日話した感じ、全く怖くなかったな。逆に友好的だった。何か裏があるのだろうか…。
考えてみたけれど、いまいちピンとこない。そんなことを、考えるよりまずはお腹が空いたなぁ。
昨日、食べずに寝てしまって今日はお腹と背中がくっつきそうだ。
何か食べ物を探しに行かないと!
そして僕は、こっそり洞窟からでて食べ物を探しに行った。
外は太陽の光で、葉っぱがキラキラ光っていてとてもキレイだ。
久しぶりに朝の森を見たな…。小さい頃は、よく近所の裏山で遊んだっけ。楽しかったなぁ。
僕は心を踊らせながら、道を歩いていった。近くには小川が流れていて、水は澄みきっているので飲んでも大丈夫そうだ。僕は、手に水をすくい口に運んだ。
おー、美味しい。水がこんなに美味しいものだったなんて…。と、思うほど美味しかった。
でも、食べ物は一向に見つからない。まぁ、水だけでも一週間は保つと言われているが、それは僕には通じない。今は限界だと腹が僕に訴えかけているからだ。つまり、お腹が痛い。一刻でも早く、食べ物を見つけなければ!
しばらく、歩いていると何か茂みで動いているのを発見した。そこには、罠に引っかかったと思われるウサギのような生物がいた。足からは血が流れている。
なんて、酷いことをするんだ。こんな、可愛い生き物を…。
僕は、ゆっくりその子に近づいた。しかし、最悪なことに足元にあった枝を思いっきり踏んでしまった。その音にびっくりしたのか、その子は逃げようとする。でも、足を怪我しているため、上手く逃げられないらしい。僕は、まずこの子の警戒心をとくことから始めた。
「やあ、はじめまして。僕は君を傷つけたりはしないよ!足、怪我してるんだろ?そのままにしてたら、バイ菌とか入っちゃうから、まず洗いに行こ?」
その子は、僕の方を向いて酷く震えていた。
言葉通じてないのかな…?でも、どうやってこの子の警戒心をとけるかな。う~ん、そうだ。マイスキルを使おう。そしたら何か、手がかりを掴めるかもしれない。
僕は包帯を緩め、隙間からその子を見つめた。
種類はアズラーイール。属性は光。回復スキルが強いみたい。で、好きな物が音楽。
おっ、これは使える情報じゃないか。でも、音楽って言ってもこの森の中では用意できないし…。いや、待てよ。
僕はあることをひらめき、ある植物を探した。
あっ、あった。よし、これを口元に当てて。
「ブーー、ブーー」
そう、僕は葉笛を作ったのである。先程見つけた植物はツツジ。
この世界にもあって、よかった。これで、警戒心をといてくれたらいいのだけど…。
そして、僕は葉笛を吹き続けた。しかし、一向に警戒心をといてくれるように見えない。僕は疲れて、地面に座り込んだ。
「はぁ、そろそろ。警戒心をといてくれないか?怪我の手当てしたいんだ。それに…」
『ぐ~~~~』
「あっ…」
盛大にお腹がなってしまった。これは、とても恥ずかしい。恥ずかしさのあまり、顔が赤くなってしまった。
穴があったら入りたい…。
「ぷっ、ふふふふ」
「…?」
さっきまで、一言も喋らなかったのに何か凄い笑ってる。てか、喋れたの!?それにビックリなんだけど。
「あの~そろそろ、笑うのやめてもらえないかな?」
その子は、ずっと笑い続けている。
流石にそんなに笑われたら、本当に穴を探しに行きたくなるので止めていただきたい…。やめて…。
「ごめん…w木の実なら、なってるとこ知ってる。行く?」
「マジで?行く行く!と、その前に怪我の手当ね」
僕は、その子を抱き上げ先程の水辺に向かった。
まずは、汚れを落とさないとな。
「痛い…」
「傷口を洗ってるんだ、少し我慢してくれ」
どうやら、血は止まっているようだ。しかし、本当に誰にやられてんだろうか。
「なんで、人間なのに手当してくれるの…?」
「…」
そっか、魔物には人間を嫌っている奴がいるんだな。そういうことか…。
「人間は魔物の手当しちゃ、いけないのか?」
「んーん、そんなことないけど…。でも、人間は酷い…私何もしてない。なのに、襲ってくる」
「僕はまだ、こっちの人間のことあまり知らないからな~。後、僕の名前は柊木 進!人間って呼ばないでくれ!」
「わかった、ヒイラギ。私は、アリス」
「よろしくな、アリス」
よし、これで出来た。足が折れてる場合に備えて、包帯と一緒に棒も巻いておいた。そのほうが、何かと安心だろう。
「じゃあ、木の実のあるとこ案内する」
そして、アリスは跳び上がろうとした。しかし、まだ足が痛むのか、動きが止まってしまった。
「大丈夫か?まだ、痛いんだろ。ほら、僕が連れてってやるから、場所教えてくれ」
アリスは、しばらく僕を見つめてから、コクっとうなずいた。
さっきまでずっと、しかめっ面だったけど、可愛いところあんじゃん。
そして、僕はアリスを抱き上げ木の実のあるところまで歩いていった。
「ここ!」
「うゎ!木の実がいっぱい。それに見たことないものだらけだ」
小さい頃、テレビで見た果樹園がキレイで親に連れて行ってほしいって、わがまま言ったっけ。結局連れてってはくれなかったけど、今見れているから、それでいい気がする。
「これ、美味しいよ」
アリスが、りんごのような紫色の果実を指さした。見るからに毒々しい。
これ食べて大丈夫なのか…?人間には毒ってこともあるよな。一応、マイスキルで確認しておこう。
僕は、包帯を捲り紫色果実をじっくり見た。
肉眼のほうがきれいだなぁ。いや、それより毒は…ない!それに、甘みが高く人々に好かれている味らしい。これは取っておかなくては!
そして、僕は手近にある木の実を2つ取り、1つはアリスに渡した。僕らは一斉に果実に、かじりついた。その瞬間口に美味しさが溢れ出す。そんなにキツイ甘さではなく、柔らかく包み込んでくれるような、優しさを感じる味だ。
「ヒイラギ、どう?おいしい…?」
「うん!凄く美味しい。これ、皆にも取ってってあげよう」
「みんな?」
「あ~、スライムの満と狼のジル先生。オークのゴードンさんとか、お世話になってるからな」
「わかった。私もとってくる」
「足、怪我してるんだから僕がとるよ」
「んーん、低いところに別の美味しい実あるの。それなら、怪我してても取れる」
「そうなの?じゃあ、お願いする」
「うん!」
少しずつ、アリスは僕に心を開いてくれている。小動物好きな僕にとっては、とても嬉しい。
嬉しさのあまり、僕は必要以上に実をとってしまった。けれど、森にはまだ実は残っているし、皆も結構お腹すいてるかもしれない。これくらいあっても、大丈夫だろう。
僕は作業を終えたので、アリスを探しに行った。
どこいったんだろ。あんまり、遠くへは行ってないだろうけど…。
『バンッ』
突然、銃声のような大きな音がした…。
まさかまさか、アリス!?今行くから待ってろ!!!
僕は走った。音がした方へと。
せっかく仲良くなったのに、失ってはたまらない。絶対もう、僕から何も奪わせない。
必死に、草むらをかき分け、数秒でも早く、目的地へと…。
アリス、アリスアリス!ごめんな、一人にして僕が一緒に取るって言えば…。
『バンッ』
また、銃声が鳴り響いた。
駄目だ。やめろ、やめてくれ。僕から何も奪うな。
そして、僕は目にした。力なく地面に寝そべっているアリスと、銃を持った人間を…。僕は、何も考えずにアリスの前に立った。
「アリス…大丈夫か!?ごめん…一人にして…」
「だ…い…じょうぶ…逃げて…」
「お前を置いて、逃げるわけないだろ」
「何だ、お前?俺様の獲物に手を出すんじゃねぇ」
僕は後ろを振り返り、アリスを襲った男を睨みつけた。しかし、僕は包帯を巻いているので、全く怒っているように見えないらしい。そして、男は続けた。
「そいつは、いい金になるんだ。全くいない、特別な種類で全くお目にかかれないんだ。だから、どいてくれる?俺の獲物なの。どかないなら、殺すよ?」
僕は拳を握りしめた。
「なぁ、きーてんのか?」
「 何が金になるだ。アリスは物じゃない、ちゃんとした生き物なんだ…。最初は全然笑わなかったけど、笑うと凄く可愛いくて、とても優しい子なんだ。そんな子を傷つけるなんて…。僕はお前を絶対許さない」
僕は包帯ごしに、男を睨んだ。
「なんだ、お前。俺様に楯突くのか?いいぜ、楽に殺してやるよ」
「だ…め…。ヒイラギ…。逃げて…」
「アリス僕は逃げない。ここで逃げたら、今までと同じ。僕は強くなれない。大丈夫、アリスは僕が守るから」
アリスの目からは涙がこぼれた。
「感動だな。でも、死んだら終わりだぜ。さぁ、行くぞ」
言葉を合図に、彼は僕に剣で付きかかって来た。しかし、男の動きはまるで遅く、僕みたいなやつでも簡単に避けられてしまった。
なんだ、あんなに調子こいてたから、てっきり強いのかと思った。よかったぁ。
「くっ…。目が見えないのに、よく避けられたな。ならばこれはどうかな?」
男はまず、僕に素早く近づいて僕の足を蹴り、バランスを崩すと、剣を大きく振りかざし、そして…僕にあたる。はずだった。しかし、僕はもうそこにはいない。
「なっ!?いなくなった??」
「僕はここだ」
僕は後ろから、思いっきり男をグーで殴った。男はその衝撃で草むらにとばされ、気絶してしまった。
そんなに、強く殴ってないんだけど…。こいつ、本当弱いくせに、なんで動物虐待してんだよ。男よ、これはアリスを侮辱した報いだと思え。べーだ!
「ヒイラギ…?」
「アリス、大丈夫だったか?怪我してないか…?目眩とか吐き気は?もー、心配したぞアリス~」
僕は思わず、アリスを抱きしめた。
本当に、無事でよかった。また、失わずにすんだ。
「ヒイラギ、強いんだね。すごい」
「そうか…?あいつ、ものすごく弱かったじゃん」
「えっ…そうなの…?私は強いって思ったけど…」
「だって、剣の振りも遅いし、足音で何しようとしているかバレバレ」
「へ~、やっぱりヒイラギすごい!」
「ん~、よくわからんが、ありがとな!アリス!」
「うん!じゃあ、果物皆に持っていこ!」
「あっ!?そうだった…急いでたから地面に落としちゃったけど、大丈夫かな?一応洗っておくか」
僕は、果物をしっかり水で洗ってアリスはまだ取れてなかった実を取っていた。
「よし、じゃあ行こっか!僕の頭に乗ってくれ」
「いや、一人で歩ける」
「駄目だ、ただでさえ体力消耗してるだろ?いいから、乗って」
アリスは嫌々、僕の頭に乗った。
そんなに、僕の頭に乗るのは嫌なのだろうか…。少し傷ついた…。
そして僕らは、結界まで歩いていった。すると、誰かが僕の名前を呼んでいることに気がついた。
「シ~ン~!!どこいった~!!返事をするんだぞ~」
これは…満か?
「おーい!僕はここにいるぞ!」
「…!?シン!良かったぞ、無事で!魔物に食べられたのかとビックリしたぞ」
「ごめん、ごめん。木の実集めてたんだ、満たちに!」
「俺らにか?」
「そう、お世話になってるし。お礼だよ、おれい!!」
「そっか、でも、今度は俺に許可をとってから外出するんだぞ!いいな!」
「はいはい!wあっ、そうだ。さっき、森でアリスにあったんだ。この子、知ってるか?」
「えっ!アリス様だぞ?皆に知らせないと」
「えっ、ちょっと待てって」
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