隠れΩの俺ですが、執着αに絆されそうです

空飛ぶひよこ

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初恋は気づかぬまま散った(10年後。さ何とか君視点)

初恋は気づかぬまま散った2

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「あと、花婿方の宮本の当主は終始不機嫌そうだったけどな。どうやら、αの長男を婿養子の形で畑仲にかっ攫われたのが、相当面白くなかったらしい。次男がβだから、余計にな。宮本の当主はいけ好かない男だから俺は愉快だったけど、あんな父親の傍で心底幸福そうに式に挑める長男も、歯牙にも掛けてなかった畑仲のボンも、なかなか肝が据わってるよな。だからこそ、ああやって堂々と式ができるんだろうが」

「ちょ……ちょっと待て、親父! 何言ってんだよ……」

 親父の言っていることの、意味が分からなかった。

「翔の相手がαとか……何の悪い冗談だよ。しかも宮本って……まさか、宮本雄大じゃないよな。同性愛者のようじゃなくて、まんま同性愛者じゃねぇか。翔はαなんだから……」
 
 あり得ない。
 あり得ない。
 そんなことが、あり得るはずがない。
 翔は、αだ。
 そんなの、幼馴染みの俺が、一番良く知っている。
 宮本雄大も、αだ。
 匂いなんて嗅がなくても、分かる。
 オランダならいざ知らず、今の日本じゃα同士の結婚は認められていない。

 だから、あるはずがないんだ。
 ……そんなことあって、堪るか。

 あの空気が読めない馬鹿の宮本雄大と、翔が結婚するだなんて。

「………そういや、椿山はセントラルディスタービング搭載だから、気付かなかったか……にしても猛。お前、情報疎すぎじゃねーか? この業界では有名な話だろ」

「な……何の話だよ」

 呆れたようにため息を吐く親父の姿に、嫌な汗が伝った。
 冗談だと、そう言って欲しかった。
 未だに翔のことを気にし続ける俺を、ただからかっただけなのだと。
 だけど、現実は俺が望むより、ずっと非情だった。

「畑仲の長男が、発達性バース障害のΩだって知らない医療関係者、この辺りではお前くらいのもんじゃねーの? せめてもっとβよりの容姿だったら注目されなかっただろうに、あれ程α然としてたら嫌でも有名になるよな。翔君も可愛そうに。………しかし、畑仲の親父さんも人が悪い。商売抜きでも長い付き合いなんだから、うちで診断させてくれりゃ良いのによ。あんな珍しい症例、論文の題材にはもってこい……って、そうなるの察して、敢えて付き合い薄い病院選んで、バース診断させたのか。相変わらず、食えない親父さんだよなあ」

 ーー世界がひっくり返った。



「……よ。久しぶり。珍しいな。お前が、飲みに誘うなんて」





 




 

 
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