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モノクルの下は
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視線をさまよわせる私に、セルドアはほっとしたようにため息を吐いて目を細めた。
「……分からないなら、リッカに私の感情を『恋』でないと断言できる理由はないですよね」
「いや、それは一般論からして違うって断言できますね」
そこは譲らぬぞ。私だって、理論上では分かっているんだ。
「恋というのは、傍にいるだけで心臓がどきどき高鳴って、四六時中相手のことが頭から離れなくて。この人を、他の誰にも渡したくないって強く強く思う感情でしょう? セルドア様からは、そういった熱意が感じませんから」
昔友達から借りて読んだ、少女漫画では、確かそんな感じだった。
目の前に立っただけで、相手がきらきら輝いてみえて、心臓がうるさいくらい音を立てて、顔が燃えるように熱くなる。
そんな強い感情が恋なんだから、今のセルドアが恋をしているはずがない。
「……リッカのそれはそれで、だいぶ、極論な気もしますけどね」
しかし、私の言葉にセルドアは懐疑的だった。
「そんな日常生活に支障が出るほどの強い感情を、本当にみんな抱いていますかね」
「抱いているんですよ! だから、本当特別な感情なんですよ!」
「まあ、そこまでではないですが……症状を軽くした場合は、私も大概当てはまっていると思うんですがね」
……へ? それってどういう?
私が呆気に取られている間に、何故かセルドアはいつもつけているモノクルを取り外してポケットにしまってから、私の腕を取った。
「……ほら、リッカと対峙しているから、いつもより心臓が速いでしょう?」
掌を自分の胸に当てたセルドアに、微笑みながら両目で見据えられた瞬間、かーっと顔が熱くなった。
心臓がばくばくとうるさい。
……セ、セルドアはもともとイケメンだったけど、モノクル外したらなんかさらにイケメンになった……! なんか、めちゃくちゃ無駄にきらきらしてる!
思わず目を伏せる私に、セルドアは愉快そうに笑った。
「どうしました、リッカ。恋にでも落ちましたか?」
「……セルドア様……」
「うん?」
「その片目……何の魔法が掛かってるんです?」
「……分からないなら、リッカに私の感情を『恋』でないと断言できる理由はないですよね」
「いや、それは一般論からして違うって断言できますね」
そこは譲らぬぞ。私だって、理論上では分かっているんだ。
「恋というのは、傍にいるだけで心臓がどきどき高鳴って、四六時中相手のことが頭から離れなくて。この人を、他の誰にも渡したくないって強く強く思う感情でしょう? セルドア様からは、そういった熱意が感じませんから」
昔友達から借りて読んだ、少女漫画では、確かそんな感じだった。
目の前に立っただけで、相手がきらきら輝いてみえて、心臓がうるさいくらい音を立てて、顔が燃えるように熱くなる。
そんな強い感情が恋なんだから、今のセルドアが恋をしているはずがない。
「……リッカのそれはそれで、だいぶ、極論な気もしますけどね」
しかし、私の言葉にセルドアは懐疑的だった。
「そんな日常生活に支障が出るほどの強い感情を、本当にみんな抱いていますかね」
「抱いているんですよ! だから、本当特別な感情なんですよ!」
「まあ、そこまでではないですが……症状を軽くした場合は、私も大概当てはまっていると思うんですがね」
……へ? それってどういう?
私が呆気に取られている間に、何故かセルドアはいつもつけているモノクルを取り外してポケットにしまってから、私の腕を取った。
「……ほら、リッカと対峙しているから、いつもより心臓が速いでしょう?」
掌を自分の胸に当てたセルドアに、微笑みながら両目で見据えられた瞬間、かーっと顔が熱くなった。
心臓がばくばくとうるさい。
……セ、セルドアはもともとイケメンだったけど、モノクル外したらなんかさらにイケメンになった……! なんか、めちゃくちゃ無駄にきらきらしてる!
思わず目を伏せる私に、セルドアは愉快そうに笑った。
「どうしました、リッカ。恋にでも落ちましたか?」
「……セルドア様……」
「うん?」
「その片目……何の魔法が掛かってるんです?」
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