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ハルクイベント19

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「ほらほら、次はちゃんとフーフーして食べて。何なら私がやってあげるから」

「絶 対 や め ろ。……粥くらい一人で食える」

「どうどう、美味しい?」

「……ああ、美味い。卵の味が濃い」

 ……よっしゃ! ハルクが倒れた時は植物100パーセント雑炊?粥?でちょっと悔いが残ったから、今朝はトリスの世話は後回しに朝一で卵採ってきて、コカトリスの卵粥にしてみたんだよねー。
 ちゃんとハルクの分だけ分けて卵を溶き入れたから、卵はふるふるふわふわとろりの最適な半熟の自信作。これが不味いわけがないよね!

「あー、そうだ。ハルク。私を庇ってくれてありがとうね。ハルクが庇ってくれなかったら、私が子ども化してるところだったよ」

「……別に礼ならいい。マンドラゴラの叫びが変質し過ぎてて、掌の隙間から盗み聞いただけじゃ効果は分からなかったから、どの道オレ自身を実験台にはするつもりだったしな。機会が早まっただけだ」

「でも、助かったから。ありがとう」

「…………」

「ハルク?」

 ハルクは眉間に皺を寄せたまま、最後の一口の卵粥を口に流し込むと、乱暴にスプーンを置いた。

「……何で、お前はいつも通りなんだよ」

「え?」

「中身だけガキ化したオレに、抱きつかれたり、頬にキスされたり散々好き勝手やられたりしたのに、何でお前はいつもと変わらないんだよ……!」

 ……あ、ハルク、精神退行してた時の記憶はあるのね。
 でも、何で。何でって言われても……。

「……まあ、ハルクだから、としか……」

 見た目完全にショタだから、精神退行したら、あっさり「子どもがしたことだし」って思えたからな~……。見た目完全に大人だったラドの時のが、正直ドギマギしたとゆーか。

「大丈夫。大丈夫。精神退行したハルクが何しようと、私はちゃんとハルクの気持ち分かってるから! 友達だもんね、私達」

「……ああ、そうかよ」

 安心させるべく告げた私の言葉に、ハルクは心底疲れたように肩を落として、額を掌で覆った。
 ……あれ、私なんか間違ってた?

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