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選択の時2

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「は、はい」

 ……王様に面会する時の作法でこれで合っているのかしら。知らんけど、とりあえずへりくだりすぎて怒られることはなかろう。
 ジャパニーズ土下座スタイルで、地面に額をこすりつけながら、王様の次の言葉を待つ。

 プライド? そんなものなぞ、一般ピーポーな私にはない。ただセルドアからもらった高そうなドレスを床につけてることだけ、ちょっと心苦しい。……お城の床、ピッカピカだし、命には代えられないから許してね。

「……面を上げよ」

 促されるままにおそるおそる顔を上げると、なんだかとても不機嫌そうなイケメンが。
 ひい! やっぱり怒ってらっしゃる……!
 
「お前を呼び出した訳は、当然わかっていような?」 

「も、もちろんであります!」

 ラドのことですよね! もう二度と暴走させませんから、許してください!

「なら、構わぬ。種は手配した。牧場に戻り次第、早急に植え付けを行うように」

「分かりました! 即刻……って、え?」

 ……種? え? え?

 困惑する私を前に、王様はひどく忌々しそうな表情でため息を吐いた。

「全く、とっくにタープナ農家の保護の手配も行っているというのに、お前がタープナを育てぬから、何の意味もなさぬではないか。何故、育てやすく利益も多いタープナではなく、マンドラゴラなどという上級者向けの植物に手を出すのだ? 段階を飛ばし過ぎだ。愚か者め」

 ええと……うん?

「……恐れながら。陛下は、ドラゴンの暴走のことで怒ってらっしゃるのではなく……?」

「『いべんと』であろう。あれが孵化した時点で、いずれそのような事態が起こることは、事前に聞いておるから問題はない。国益を害すことはないよう、事前に諸々対処済みだ。それより問題はタープナだ」

 王様はため息を吐きながら、忌々しそうに私を睨んだ。

「全く……一年目の収入を安定させる為だがなんか知らんが、お前のタープナの出荷額を増加させるが為に国全体のタープナ農家の収穫に影響が出るとは、『げーむ』の主人公とは迷惑千万な存在よな。妃による天啓がなければ、一体どうなっていたことか」

 妃……えと、王妃様???

「余の用事は以上だ。これからも、お前が育てる作物や家畜には多少口出すが、余の民として素直に従うように」

「え……あ、はい。それはもちろん」

 王様はセルドアの上司。つまり雇用主の雇用主。
 雇われ人として、それはもちろん従わせていただきますが。

 …………え、話、それだけ?

 イベントとかゲームとか主人公とか、色々突っ込みどころ溢れる単語出てるのに、言いたいことそれだけ?
 なんかめっちゃ帰る準備してるんだけど、本当にこれでおしまい?

「あと……愛する余の妃が、お前と話をしたいそうだから、このままここで待機しておれ。魂の同郷者として積もる話もあるよう故な」 
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