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もう一人の転生者2

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 ひい!! 床に頭をガンガン打ち付けはじめた!
 こ、こんなの見られたら本当に本当に処刑されてしまう……!! 冤罪、冤罪です。私。何もしてください。

「お、落ち着いてください。マリアさん! 王様は私にタープナの実の話しかしなかったですし、最後には『愛する王妃が』私に用事があるって言ってたんです! 変な心配なさらないでも、王様の心はあなたのものですよ!」

 私の言葉に、マリアさんは床に頭を打ち付けるのをぴたっと止めた。

「……それ、本当?」

「本当です、本当! 私のことなんか、それこそその辺の石ころ見てるような目で見てましたよ」

「陛下のこと取らないって、命に懸けて誓ってくれる?」

「誓います、誓いますから!!!」

 ようやく顔を上げたマリアさんは、ぱあっと顔を輝かせて子どもみたいにふにゃりと笑った。

「……なら、よかったあ」

 ……何というか、本当。見かけとのギャップがすごい人だな。
 王妃様モードの時も残念な片鱗は見え隠れしてたけど、素の時はもう残念通りこして、もはや可愛い。何というか、すごく守ってあげないといけない感じ。前世でも今世でも年上なのだけど。
 王様は、多分マリアさんのこういうとこを好きになったんだろうな。

「ほら、立ってください。妊婦さんが、土下座なんかしたら駄目ですよ」

「あ、厳密にはまだ妊娠はしてないのよ。ただ、ライバルキャラも含めて、ゲームでは結婚一年後に妊娠発覚する仕様だったから、そろそろってだけで」

「(そこまでゲームに縛られるものかなあ)……妊婦でなくても、王妃様はこの国にとって大切な方なんですから。一介の庶民に土下座なんかしちゃ駄目ですよ」

「っ……リッカちゃん、リア充天然ヒロイン様なのに、優しい! 謙虚! 想像してたのと全然違う!」

 ……リア充って。確かリアル充実って意味だったよね。
 なんか、マリアさんの中ではゲームしない=リア充みたいな図式になってるよね。

「多分、私、マリアさんが思っているようなタイプの人間じゃなかったですよ。何故かこっちの世界ではやたら好意寄せられまくってますけど、前世では恋愛経験皆無でしたし」

「え……でも、このゲームしてないのでしょ? だったら、リアルモテ無双してたんじゃ」

「何で、ゲームしてないとリアルモテ無双になるのですか。実家の養鶏場の手伝いで忙しくて、ゲームなんかしてる暇なかっただけです。通ってた農業高校も実習多かったですし」

「っっっあー!!! だからか!!!」

 急に大声を出したマリアさんは一人納得したかのように頷いた。

「女神様、ヒロイン適正より農業適正重視したんだ! 私の代わりのヒロイン選ぶのに!!!」

 ………………はい?

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