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ダーザ・オーサムというショタキャラ
ダーザ・オーサムというショタキャラ16
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デイビッドとダーザは伴って図書室を後にする。(まぁ、ダーザは一方的にひきづられていると言った方が正しいけど)
向かうのは、私とダーザが話した、空き教室。
ゆっくり話したいから、そう言ってデイビッドは教室入口に結界を張って、中へと消えていく。
わざと扉は数㎝開いておくように伝えてあるが、展開した式の中には、覗き防止作用も施されているから、外から中の様子は伺えない。
二人がすっかり教室に入った事を確認すると、私は物陰から出て、結界へ近づいった。
式を覗き込んで、思わず嘆息。
……相変わらず、なかなかの腕だね。デイビッドの結界。すごく綺麗に式が描かれている。作成時間も短いし。もしかしたら、学園でも5本の指に入る腕かもしれん。
--まぁ、私ほどじゃないけど。
私は指先に貯めた魔力で、結界に一部穴をあけたうえで、そこに特殊な式を上書きする。
穴はわざとあけてもらった隙間に繋がり、そこから新しく展開した式から生じた魔法が教室内へと流れ込んでいく。
私はつつがなく事が成されたのを確かめると、そのまま隣の教室へと入り込む。当然、入り口に結界を張るのも忘れない。
空いている椅子に腰を掛けて、瞼と耳をなぞる様に、先程展開したものと同じ式を描いて目を瞑る。
『--ごめんなさい。急にこんなところまで連れてきて』
途端、まるでイヤホンをつけているかのように、耳元に隣室のディビッドの声が響いた。
瞼の裏に映る、光の残像が薄れ、ゆっくりと映像を形成していく。
てんでピンボケだった隣の教室の光景が徐々にピントが合うように、はっきりしていく。
『どうしてもあなたに言わなければならないことがあったの』
そう言ったデイビッドが、花開いたかのように微笑んだ様子が見えた。
まるで天使のように愛らしい微笑みだが、どうもダーザには届かなかったようだ。
『……僕に何のようです』
青い顔で、微かに身を震わせながらも、キッとデイビッドを睨んで冷たく吐き捨てるその様は、まさに追い詰められた小動物が精一杯威嚇しているよう。
ダーザ、あかんよ。そんなんで睨まれても可愛いばっかりだ。意味ない、意味ない。
しかし、流石好感度-30。デイビッド、完全に敵認定されてんなー。これ。
まぁ、いきなり早口で捲し立てられた挙句、教科書ぶんどられたんだから、当然の反応と言えば当然か。普通警戒心マックスなるよね。
だが、しかし。
寧ろこれくらい嫌われていた方が、好都合かもしれない。
『……覚えているかしら。これ』
そう言ってデイビッドが鞄から取り出したのは、いつぞや奪い取ったダーザの教科書。
『……ええ、もちろん』
ダーザは一瞬眉間に皺を寄せてから、小さく頷いた。まぁ、こんだけデイビッドに怯えてんだ。まず忘れているわきゃねーわな。
『私があの日、あなたから貰った教科書よ。……いや、奪い取ったって言った方が正しいかもしれない』
教科書に目を落としながら、ディビッドは苦々しい笑みを浮かべた。その瞳には明らかに悔恨が滲んでいる(ように見せている)。
そしてデイビッドは逡巡するように視線を彷徨わせてから、やがて決意を固めた彼のように大きく息を吸い込んだ。そして勢いよく頭を降ろすと、両手で持った教科書をダーザに突きつけた。
『……あの時は、本当に、本当にごめんなさいっ…!!』
悪意と好意は、紙一重。
そして人は時に、他人の意外性を愛する。
マイナス評価の人間が少しでも良い事を成した時、その評価はしばしば、普通の人間に対してよりも高くなったりもする。
悪意も好意も、つまりは関心。
相手が気になって仕方ないのは、その存在が大きくなっているのは、どっちだって同じだ。
大嫌いで仕方ないと思われている人間に好意を抱かせることは、自分に無関心の人間に好意を抱かせるよりも、きっとよっぽど簡単なのだ。
向かうのは、私とダーザが話した、空き教室。
ゆっくり話したいから、そう言ってデイビッドは教室入口に結界を張って、中へと消えていく。
わざと扉は数㎝開いておくように伝えてあるが、展開した式の中には、覗き防止作用も施されているから、外から中の様子は伺えない。
二人がすっかり教室に入った事を確認すると、私は物陰から出て、結界へ近づいった。
式を覗き込んで、思わず嘆息。
……相変わらず、なかなかの腕だね。デイビッドの結界。すごく綺麗に式が描かれている。作成時間も短いし。もしかしたら、学園でも5本の指に入る腕かもしれん。
--まぁ、私ほどじゃないけど。
私は指先に貯めた魔力で、結界に一部穴をあけたうえで、そこに特殊な式を上書きする。
穴はわざとあけてもらった隙間に繋がり、そこから新しく展開した式から生じた魔法が教室内へと流れ込んでいく。
私はつつがなく事が成されたのを確かめると、そのまま隣の教室へと入り込む。当然、入り口に結界を張るのも忘れない。
空いている椅子に腰を掛けて、瞼と耳をなぞる様に、先程展開したものと同じ式を描いて目を瞑る。
『--ごめんなさい。急にこんなところまで連れてきて』
途端、まるでイヤホンをつけているかのように、耳元に隣室のディビッドの声が響いた。
瞼の裏に映る、光の残像が薄れ、ゆっくりと映像を形成していく。
てんでピンボケだった隣の教室の光景が徐々にピントが合うように、はっきりしていく。
『どうしてもあなたに言わなければならないことがあったの』
そう言ったデイビッドが、花開いたかのように微笑んだ様子が見えた。
まるで天使のように愛らしい微笑みだが、どうもダーザには届かなかったようだ。
『……僕に何のようです』
青い顔で、微かに身を震わせながらも、キッとデイビッドを睨んで冷たく吐き捨てるその様は、まさに追い詰められた小動物が精一杯威嚇しているよう。
ダーザ、あかんよ。そんなんで睨まれても可愛いばっかりだ。意味ない、意味ない。
しかし、流石好感度-30。デイビッド、完全に敵認定されてんなー。これ。
まぁ、いきなり早口で捲し立てられた挙句、教科書ぶんどられたんだから、当然の反応と言えば当然か。普通警戒心マックスなるよね。
だが、しかし。
寧ろこれくらい嫌われていた方が、好都合かもしれない。
『……覚えているかしら。これ』
そう言ってデイビッドが鞄から取り出したのは、いつぞや奪い取ったダーザの教科書。
『……ええ、もちろん』
ダーザは一瞬眉間に皺を寄せてから、小さく頷いた。まぁ、こんだけデイビッドに怯えてんだ。まず忘れているわきゃねーわな。
『私があの日、あなたから貰った教科書よ。……いや、奪い取ったって言った方が正しいかもしれない』
教科書に目を落としながら、ディビッドは苦々しい笑みを浮かべた。その瞳には明らかに悔恨が滲んでいる(ように見せている)。
そしてデイビッドは逡巡するように視線を彷徨わせてから、やがて決意を固めた彼のように大きく息を吸い込んだ。そして勢いよく頭を降ろすと、両手で持った教科書をダーザに突きつけた。
『……あの時は、本当に、本当にごめんなさいっ…!!』
悪意と好意は、紙一重。
そして人は時に、他人の意外性を愛する。
マイナス評価の人間が少しでも良い事を成した時、その評価はしばしば、普通の人間に対してよりも高くなったりもする。
悪意も好意も、つまりは関心。
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