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ダーザ・オーサムというショタキャラ
ダーザ・オーサムというショタキャラ23
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「……貴族の私が、手の甲の口づけなぞで狼狽えるはずがないでしょう。初夏に近づく陽気で、観察眼が鈍っているんでわなくて?」
内心の動揺を隠して、マシェルに冷たい一瞥を投げ掛けるものの、マシェルは少しも動じない。
「……そうだな。そういうことにしておこうか」
……訳知り顔で、さも譲歩してやったように言うのやめれ。ぶん殴りたくなるから。
てか、マシェル、キャラ変わり過ぎでない?
当初のツンツンしていたマシェルは、デレが入り始めてもなお、ツンデレだった、青臭い君はいずこに行ってしまったんだ……!?
やめろ。その慈しむような、生ぬるい視線やめてくれ……っ!
鳥肌が立つ。体が痒くなる。
奇声をあげたくなるくらい、居たたまれない……っ!
--こしこしこしこし
不意に、手に何か布のようなものがこすり付けられる感触がした。
慌てて視線を動かせば、そこには屈み込んで私の手を掴むトリエット。
「……あぁ、私としたことが。こんなことなら、消毒液も持ち歩いていれば良かった……っ!」
そう嘆きながら、トリエットは自らのハンカチで、マシェルに口づけられた箇所を一心不乱に擦っていた。
……何を、しているんだ、トリエット。
トリエットの予想外の行動に、内心の葛藤が瞬時に吹っ飛ぶ。
私の視線を追うように、トリエットを捉えたマシェルの頬が引きつったのが見えた。
「……シュガー嬢。貴様……貴女は、一体何をしているんだ」
「お姉様の手に、不可抗力でついた雑菌を、ハンカチでふき取っています……!」
「……ほう。その雑菌とは一体なんのことだ」
「あら、メネガ家の方は皆、博識だと噂で伺っていたのですが、マシェル様はご存じないのですか? 人間が分泌する唾液の中にはたくさんの雑菌が存在することが、最近の研究で明らかになっているのですよ。口づけなんて、とんでもないです。お姉様の体調が悪くなってしまわないよう、一刻も早くどこぞの不作法な誰かにつけられた雑菌を拭き取らねば……っ!!」
「ほう」
……おかしいな。今、初夏なのに。
もう、衣替えを考え初めてもいいくらい暖かくなってきているのに、何故だかとても、寒くて仕方ないよ?
トリエットとマシェルが言葉を交わす度、何かブリザードが吹き荒れているような気がするよ。
いやいや、ちょっと待て。
これ、気のせいじゃない。精神的な感覚なものじゃない。
氷属性のマシェルの手から、明らかに何らかの冷気が漂っているのですが……!
「……シュガー嬢。私はルクレアと久しぶりの会話を楽しみたいので、少し遠慮して頂けないだろうか」
「何を言いますの、マシェル様。貴方とお姉様は、つい先日まで、顔を見合わせれば罵り合うようなそんな間柄だったじゃないですか。貴方の気持ちにどんな変化があったのか分かりませんが、きっとお姉様の気持ちは以前のままなはず。お姉様を不快にさせるような相手と二人きりで会話をさせるなんて、私が許すはずないでしょう?」
「人の交友関係までしゃしゃりでるような友情は、少し行き過ぎているように思う。--君の重すぎる想いが、ルクレアの負担になっていないことを祈ろう」
「まぁ、マシェル様。面白い冗談をおっしゃりますね。私とお姉様は、たまにちょっかい掛けるだけの貴方と違って、1年以上ずっと一緒にいるんですよ?
不快に思うような関係なら、お姉様はとっくに私を排除されているはず。……未だ私がお姉様の隣にいることこそ、お姉様が私を受け入れている証明ではないですか?」
……さ、寒い。
比喩ではなく、本気でブリザードが吹き荒れている……マシェルが無意識で漏らしている魔力によって。
息が白いし、気のせいじゃなければ、あたりに霜が降りてる。
……あれ、私と喧嘩している時、マシェル。今までこんな風に魔力暴走起こしたことなかったよね?
なんでトリエットだけ、こんな--。
……はっ! もしかして本当はマシェル、トリエットが好きなんじゃないか……!?
それなのに、マシェルの気持ちに気が付かず、私にばっかトリエットが付き纏うから、腹を立てて、当て馬的何かとして私に好意があるふりをしただけで。
不意に思いついた仮説に乗っ取って、嫌味をぶつけ合うマシェルとトリエットを観察する。
そう思って見てみると、心なしかトリエットに嫌味をのたまうマシェルの口元、どこか緩んでいるように見えないこともない。
きゃんきゃんと喚きあう二人の様が、痴話喧嘩に見えなくもない。
--なんだー、そう言うことかぁぁ。
仲良く喧嘩しているように見える二人の様に、思わず安堵のため息が漏れた。
いい様に踊らされたことに、ちょっとショックを受けなくもないけど、私に気があったとしたら正直困るし。そういうことなら素直に受け入れよう。
利用されたこと自体は腹立たしいこと、このうえないけどね。でも、そっちの方が、私としても気が楽だしね。
……しかし、完全に自意識過剰だったとか、結構恥ずかしいな、これ。
『マシェルから気を持たれているかも』とか誰かに言わなかっただけ、まだましか。うん。まだまし、まだまし。
内心の動揺を隠して、マシェルに冷たい一瞥を投げ掛けるものの、マシェルは少しも動じない。
「……そうだな。そういうことにしておこうか」
……訳知り顔で、さも譲歩してやったように言うのやめれ。ぶん殴りたくなるから。
てか、マシェル、キャラ変わり過ぎでない?
当初のツンツンしていたマシェルは、デレが入り始めてもなお、ツンデレだった、青臭い君はいずこに行ってしまったんだ……!?
やめろ。その慈しむような、生ぬるい視線やめてくれ……っ!
鳥肌が立つ。体が痒くなる。
奇声をあげたくなるくらい、居たたまれない……っ!
--こしこしこしこし
不意に、手に何か布のようなものがこすり付けられる感触がした。
慌てて視線を動かせば、そこには屈み込んで私の手を掴むトリエット。
「……あぁ、私としたことが。こんなことなら、消毒液も持ち歩いていれば良かった……っ!」
そう嘆きながら、トリエットは自らのハンカチで、マシェルに口づけられた箇所を一心不乱に擦っていた。
……何を、しているんだ、トリエット。
トリエットの予想外の行動に、内心の葛藤が瞬時に吹っ飛ぶ。
私の視線を追うように、トリエットを捉えたマシェルの頬が引きつったのが見えた。
「……シュガー嬢。貴様……貴女は、一体何をしているんだ」
「お姉様の手に、不可抗力でついた雑菌を、ハンカチでふき取っています……!」
「……ほう。その雑菌とは一体なんのことだ」
「あら、メネガ家の方は皆、博識だと噂で伺っていたのですが、マシェル様はご存じないのですか? 人間が分泌する唾液の中にはたくさんの雑菌が存在することが、最近の研究で明らかになっているのですよ。口づけなんて、とんでもないです。お姉様の体調が悪くなってしまわないよう、一刻も早くどこぞの不作法な誰かにつけられた雑菌を拭き取らねば……っ!!」
「ほう」
……おかしいな。今、初夏なのに。
もう、衣替えを考え初めてもいいくらい暖かくなってきているのに、何故だかとても、寒くて仕方ないよ?
トリエットとマシェルが言葉を交わす度、何かブリザードが吹き荒れているような気がするよ。
いやいや、ちょっと待て。
これ、気のせいじゃない。精神的な感覚なものじゃない。
氷属性のマシェルの手から、明らかに何らかの冷気が漂っているのですが……!
「……シュガー嬢。私はルクレアと久しぶりの会話を楽しみたいので、少し遠慮して頂けないだろうか」
「何を言いますの、マシェル様。貴方とお姉様は、つい先日まで、顔を見合わせれば罵り合うようなそんな間柄だったじゃないですか。貴方の気持ちにどんな変化があったのか分かりませんが、きっとお姉様の気持ちは以前のままなはず。お姉様を不快にさせるような相手と二人きりで会話をさせるなんて、私が許すはずないでしょう?」
「人の交友関係までしゃしゃりでるような友情は、少し行き過ぎているように思う。--君の重すぎる想いが、ルクレアの負担になっていないことを祈ろう」
「まぁ、マシェル様。面白い冗談をおっしゃりますね。私とお姉様は、たまにちょっかい掛けるだけの貴方と違って、1年以上ずっと一緒にいるんですよ?
不快に思うような関係なら、お姉様はとっくに私を排除されているはず。……未だ私がお姉様の隣にいることこそ、お姉様が私を受け入れている証明ではないですか?」
……さ、寒い。
比喩ではなく、本気でブリザードが吹き荒れている……マシェルが無意識で漏らしている魔力によって。
息が白いし、気のせいじゃなければ、あたりに霜が降りてる。
……あれ、私と喧嘩している時、マシェル。今までこんな風に魔力暴走起こしたことなかったよね?
なんでトリエットだけ、こんな--。
……はっ! もしかして本当はマシェル、トリエットが好きなんじゃないか……!?
それなのに、マシェルの気持ちに気が付かず、私にばっかトリエットが付き纏うから、腹を立てて、当て馬的何かとして私に好意があるふりをしただけで。
不意に思いついた仮説に乗っ取って、嫌味をぶつけ合うマシェルとトリエットを観察する。
そう思って見てみると、心なしかトリエットに嫌味をのたまうマシェルの口元、どこか緩んでいるように見えないこともない。
きゃんきゃんと喚きあう二人の様が、痴話喧嘩に見えなくもない。
--なんだー、そう言うことかぁぁ。
仲良く喧嘩しているように見える二人の様に、思わず安堵のため息が漏れた。
いい様に踊らされたことに、ちょっとショックを受けなくもないけど、私に気があったとしたら正直困るし。そういうことなら素直に受け入れよう。
利用されたこと自体は腹立たしいこと、このうえないけどね。でも、そっちの方が、私としても気が楽だしね。
……しかし、完全に自意識過剰だったとか、結構恥ずかしいな、これ。
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