乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、ヒロインが鬼畜女装野郎だったので助けてください

空飛ぶひよこ

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ダーザ・オーサムというショタキャラ

ダーザ・オーサムというショタキャラ25

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「……げ」

 私の腕を掴んだままのトリエットが、声をする方を向いた瞬間、ものすごく嫌そうに顔を歪める。
 なんてか、思わず見なかったふりをしたくなるくらい、可憐な美少女に相応しくない顔と声である。

 ……美少女って、どんな表情をしても美少女のままとは限らないんだな。誰かモザイク手配したって。 早急に。

「トリエットさん! トリエットさん! 聞いて下さい!」

 声の主は、ブリザード吹き荒れる修羅場を僅かにも気にすることもなく、トリエット目掛けて走り寄ってくる。

 ……とゆーか、あれトリエット以外見えていないんじゃないかな。寒さにも、私とマシェルの存在にも、全く気が付いてなさそう。

 こちらに向かってくるその様は、まさに主人に駆け寄る忠犬のよう。
 どうやら、天は私の訂正前の祈りを聞きとげて、忠犬を手配したもうたらしい。さすが、私。ナイスな、お祈りスペック。

 …………てか、私の気のせいでなければ、近寄ってくるあのわんこ、とってもとっても見覚えがあるのだけど。

「――お姉様。私急用を思い出したので、この辺りでお姉様を連れておいとましようと考えるところなのですが」

「……そこは一人で逃げるところではないのかしら」

「こんな雑菌保持者がいる所に、お姉様を一人で置いていけません……! さあ、お姉様! 私と一緒にここを去りましょう!」

 私の腕を掴んだまま、非常に凛々しい顔で言い募るトリエット。
 そのまま私の腕を掴んで走ろうとするが、それよりもわんこの方が早かった。

「トリエットさん……っ!」

 私の腕を掴んでいない方のトリエットの腕を、飛びつくようにして両手の腕で掴むわんこ。
 トリエットの口端が、ひくりと引きつった。

「……誰の許可をとって、貴方は私の腕を掴んでいるのかしら。即刻その薄汚い手を離しなさい」

「トリエットさんっ、久しぶりですね! テスト期間の間、ずっと会えなくて淋しかったです……!」

「私は貴方の姿を目にしないで済んでせいせいしたわ。貴方の姿が視界に入らない解放感のお蔭でから、勉強がとてもはかどってはかどって……お蔭で成績が上がったわ。ありがとう」

「僕がトリエットさんのお役に立てるなんて嬉しいです! ……そうそうテストと言えばですね、聞いてください! 実は僕今回のテストでですねー」

「嫌味に気が付け、糞餓鬼。即刻手を離せ、マセ餓鬼。私の傍に近寄るな、阿呆餓鬼」

「あぁ、トリエットさんの毒舌、久しぶり……トリエットさんに久しぶりに会えた感じがして嬉しいです!」

「……あぁ、この話が通じない感じが、ものすごくぶん殴りたい……」

 間近で見せられるSMぷれ……ごほん。わんことご主人様のかみ合わない会話に、思わずあっけに取られる。

 何だこいつら、仲いいんか……? いつの間に……!?

 ……てかトリエットよ。君、そんなキャラだったのかい。
 私の中の可愛い砂糖菓子ちゃん像が、ここ最近がらがら音を立てて崩れていくんだが……。
 あの可憐な妖精ちゃんは、一体どこへ行ったんだ。戻って来てくれ……。


 そして私同様に状況に置いて行かれている人物がもう一人。

「――ダーザ・オーサム……!?」

 驚愕交じりにわんこの名前を呼ぶ、マシェル。
 思わず共感して、マシェルの方を向きながらこくこくと頷く。

 ……うん、驚くよねー。なんかトリエットもトリエットだけど、ダーザもダーザで滅茶苦茶キャラ違うし。こんなわんこキャラ違うだろ。ダーザ。どっちかと言えば、繊細で大人しい小鹿ちゃん、もしくは子兎ちゃんだったようなイメージが……。

 ――はてはて。何が一体、どうなっていることやら。


 噛み合わないじゃれ合い(?)を続けるダーザとトリエット。
 そしてそれを唖然と眺める私とマシェル。

 気が付いた時にはいつの間にか、ブリザードは止んでいた。
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