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ルカ・ポアネスという不良
ルカ・ポアネスという不良30
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「………」
暫し黙って私が取りだした物を見ていたデイビッドは、徐に私の方へ手を伸ばす。
――だが、その動き、予想通りだ!
私は頭上に向かって伸ばされた手を華麗に避ける。
ふふん。どうだ。私の反射神経は。
「……ご主人様が労ってやろうとしてんのに、なんで避けんだ、ルクレア」
「その労いが、なでなでだというなら、断固拒否させて頂きましょう! あいあむのっと、どっぐ! あいあむひゅーまん!」
英語で言っても通じんだろうなぁ、と思いながらも敢えて英語で主張しながら(意味が通じん方が寧ろ都合がいいかもしれん)、手で大きくバッテン印を作ってデイビッドを拒絶する。
なでなでは、髪の毛もグシャグシャになるし、何のご褒美にもなりません!
寧ろナデポなどという不埒な現象を引き起こしかねない、卑猥な行為なので、あまりやってはいけないと思われる所存でございます!
……まあ、私は、するけどね!
精霊達にナデナデしまくって、寧ろナデポばっち来いな感じな状況だけど、私にするのは駄目だと思います!
やられて嫌なことをする……理不尽で悪逆非道な感じするけど、いいの! 私、悪役令嬢だから! 世界は私が中心に回っているのがデフォだから、いいの!
「……何か知らねぇけど、そこまで嫌がられると、逆に何が何でも頭撫でてやりたくなるじゃねか」
……て、デイビッド、そこで不敵な笑みを浮かべて、手ぇわきわきさせるのやめて! 何か体が臨戦態勢に入っているんですが……っ! 獲物を狙う肉食獣の様なんですが……っ!
じりじりと距離をつめるデイビッドと、じりじりと後ずさりする私(+デイビッドに怯えて、私の肩の上に縋るサーラム)
間に走る、緊張感。……絶対に負けられない戦いがここにある。
睨み合うこと、数秒。
不意にデイビッドが、目線を私の後方に逸らすと、驚いたように目を見開いた。
「――あ……」
……っえ!? 何々!?
今度こそ、何か危なげな魔物でも出現した!?
思わず、後ろを振り返った瞬間、辺りの空気が動いた。
「――バーカ」
次の瞬間、耳元で聞こえて来た愉悦交じりの、声。
いつの間にか、がっつり首元に回されていたデイビッドの左腕。
密着する背中に感じる、誰かの熱。
おそるおそる見上げれば、そこにはニイっと口端を吊り上げるデイビッドのご尊顔が。
「……さて、ルクレア。お前の主人想いな行動を、思い切り労ってやるぞ」
のおおおおおおおお!!!!
思わず発した私の奇声が、森の中に響き渡った。
「……まぁ、こんなもんか」
怒涛のナデナデ攻撃からようやく解放された私は、慌てて自身の髪を手櫛でセットしなおす。
………うう。髪の毛が。髪の毛が、ぼわぼわのくっしゃんくっしゃんに……。
なんてか、あれだよ。撫でるっていうか、最早あれ、ぐりぐりに近い勢いだったよ。ご褒美でなく、お仕置きだよ……。
「……で、これ食っていーのか?」
「……どーぞー」
一人いじける私に意を介することもなく、デイビッドは私が用意したサンドイッチの包みを手に取った。
……この自由人め。
どーぞ。どーぞ。デイビッドの為に用意したんだ。食ってもらわんと逆に困る。
包みを開いたデイビッドは、中身を見て一瞬驚きの表情を見せてから、苦笑いを浮かべた。
「……なんだ、この化け物みてぇなサンドイッチは」
……あ、やっぱりそこ、気になっちゃう?
私もまた、デイビッド同様に、視線をサンドイッチに視線を落とす。
私が用意したサンドイッチは、別に二次元メシマズさんが練成したようなおどろおどろしいものなんかではない。今でこそ、包丁もまともに触ったことがないお嬢様だが、前世では一般ピーポーな一人身アラサー。それなりに自炊もしてた。
何十年かブランクがあるからかつて生きてた頃のように簡単に……とは言えなくても、流石に最早食べ物でない危険物質を生み出すレベルではない。変なものだって一切入れてないし、見た目も美味しそうだ。実際、味見をしたらそれなりに美味しかった。
……ただ。
「なんでこんなに、でっけぇんだよ」
向けられたデイビッドの呆れたような視線から、ぷいと顔を逸らす。
――私が用意したサンドイッチは、高さ10㎝以上は優にあり、具材が溢れんばかりにパンから飛び出しまくった、巨大サンドイッチだった。
暫し黙って私が取りだした物を見ていたデイビッドは、徐に私の方へ手を伸ばす。
――だが、その動き、予想通りだ!
私は頭上に向かって伸ばされた手を華麗に避ける。
ふふん。どうだ。私の反射神経は。
「……ご主人様が労ってやろうとしてんのに、なんで避けんだ、ルクレア」
「その労いが、なでなでだというなら、断固拒否させて頂きましょう! あいあむのっと、どっぐ! あいあむひゅーまん!」
英語で言っても通じんだろうなぁ、と思いながらも敢えて英語で主張しながら(意味が通じん方が寧ろ都合がいいかもしれん)、手で大きくバッテン印を作ってデイビッドを拒絶する。
なでなでは、髪の毛もグシャグシャになるし、何のご褒美にもなりません!
寧ろナデポなどという不埒な現象を引き起こしかねない、卑猥な行為なので、あまりやってはいけないと思われる所存でございます!
……まあ、私は、するけどね!
精霊達にナデナデしまくって、寧ろナデポばっち来いな感じな状況だけど、私にするのは駄目だと思います!
やられて嫌なことをする……理不尽で悪逆非道な感じするけど、いいの! 私、悪役令嬢だから! 世界は私が中心に回っているのがデフォだから、いいの!
「……何か知らねぇけど、そこまで嫌がられると、逆に何が何でも頭撫でてやりたくなるじゃねか」
……て、デイビッド、そこで不敵な笑みを浮かべて、手ぇわきわきさせるのやめて! 何か体が臨戦態勢に入っているんですが……っ! 獲物を狙う肉食獣の様なんですが……っ!
じりじりと距離をつめるデイビッドと、じりじりと後ずさりする私(+デイビッドに怯えて、私の肩の上に縋るサーラム)
間に走る、緊張感。……絶対に負けられない戦いがここにある。
睨み合うこと、数秒。
不意にデイビッドが、目線を私の後方に逸らすと、驚いたように目を見開いた。
「――あ……」
……っえ!? 何々!?
今度こそ、何か危なげな魔物でも出現した!?
思わず、後ろを振り返った瞬間、辺りの空気が動いた。
「――バーカ」
次の瞬間、耳元で聞こえて来た愉悦交じりの、声。
いつの間にか、がっつり首元に回されていたデイビッドの左腕。
密着する背中に感じる、誰かの熱。
おそるおそる見上げれば、そこにはニイっと口端を吊り上げるデイビッドのご尊顔が。
「……さて、ルクレア。お前の主人想いな行動を、思い切り労ってやるぞ」
のおおおおおおおお!!!!
思わず発した私の奇声が、森の中に響き渡った。
「……まぁ、こんなもんか」
怒涛のナデナデ攻撃からようやく解放された私は、慌てて自身の髪を手櫛でセットしなおす。
………うう。髪の毛が。髪の毛が、ぼわぼわのくっしゃんくっしゃんに……。
なんてか、あれだよ。撫でるっていうか、最早あれ、ぐりぐりに近い勢いだったよ。ご褒美でなく、お仕置きだよ……。
「……で、これ食っていーのか?」
「……どーぞー」
一人いじける私に意を介することもなく、デイビッドは私が用意したサンドイッチの包みを手に取った。
……この自由人め。
どーぞ。どーぞ。デイビッドの為に用意したんだ。食ってもらわんと逆に困る。
包みを開いたデイビッドは、中身を見て一瞬驚きの表情を見せてから、苦笑いを浮かべた。
「……なんだ、この化け物みてぇなサンドイッチは」
……あ、やっぱりそこ、気になっちゃう?
私もまた、デイビッド同様に、視線をサンドイッチに視線を落とす。
私が用意したサンドイッチは、別に二次元メシマズさんが練成したようなおどろおどろしいものなんかではない。今でこそ、包丁もまともに触ったことがないお嬢様だが、前世では一般ピーポーな一人身アラサー。それなりに自炊もしてた。
何十年かブランクがあるからかつて生きてた頃のように簡単に……とは言えなくても、流石に最早食べ物でない危険物質を生み出すレベルではない。変なものだって一切入れてないし、見た目も美味しそうだ。実際、味見をしたらそれなりに美味しかった。
……ただ。
「なんでこんなに、でっけぇんだよ」
向けられたデイビッドの呆れたような視線から、ぷいと顔を逸らす。
――私が用意したサンドイッチは、高さ10㎝以上は優にあり、具材が溢れんばかりにパンから飛び出しまくった、巨大サンドイッチだった。
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