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それぞれの恋の行方
それぞれの恋の行方8
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おかしい。
一週間森に通っても、一度もデイビッドに遭遇しないなんて、どう考えても異常だ。あの鍛練馬鹿が、深い理由もなく一週間も訓練をサボるとは思えない。
……もしや、デイビッドに何かあったんだろうか? 大きな事件も事故も、特に噂にはなってないから、デイビッド自身の身には何も起こってはないと思うけど……心配だ。
――昼休みにでも、確かめに行くか。
「……あれ。ルクレア先輩がなんで一年生のフロアにいるんでしょう」
「相変わらず、麗しいな。……良い目の保養だ」
「誰か探しているのかなー?」
ざわめく一年モブ達の間を颯爽と通り抜けながら、ふわりと髪をかきあげる。
……ふ。本当は目立たずこっそり向かいたかったのだが、どうしても注目の的になってしまうな。
華がある有名人って辛いわー。カリスマ悪役令嬢のポジションとか、マジ大変だわー。いやあ、平穏に生きられるモブくん達が実に羨ましい……ふっ。
こんなに目立ってしまったら、デイビッドにも様子見来たこと、バレバレだな。
……まあ、そん時はあれだ。ボレア家モード……じゃなくて、ツンデレ高飛車お嬢様モードで「ベ、別に最近姿を見せない貴女が心配で様子を見に来たわけじゃないですわ! 勘違いなさらないで!」とでも言っておけば大丈夫だろう。問題ない。問題ない。
さて、さて。デイビッドの教室は、と。
「……いない、な」
こっそり扉から除きこんだ1年文官コース用教室の中に、デイビッドの姿はなかった。
……たまたま教室にいないだけかな?それとも、休み?
どうしよう。中の生徒捕まえて聞いてみるかな?
……でも、「ルクレア・ボレアがエンジェ・ルーチェを訪ねて教室まで来た」って噂が流れたら、今のデイビッドの状況的には、どうなんだろう?
別に私とデイビッド(エンジェ)が仲が良いことは、そこそこ知られているから、多分何も問題はないと思うけど……うーん。でもあらかじめデイビッドの了承得てないからちょっと気が引けるな……。
「……こないな所で何してはるん? ルクレア様」
「――ベ、別に最近姿を見せないエンジェが心配で様子を見に来たわけじゃないですわ! 勘違いなさらないで!」
とっさにツンデレモードを発動させて振り返ると、そこには案の定キエラの姿が。
なんてグッドタイミング。ラッキー。渡りに船だ。デイビッドのこと、教えてもらおう。
突然叫びだした私に一瞬きょとんと眼を開いたキエラだが、すぐに状況を察したのかにぃっと口端を上げて笑うと、親指と人差し指をくっつけて輪を作った。
「……で、いくら出してくれはりますん?」
ひくりと口端が引きつった。
――この守銭奴め……!
「……いくら、欲しいんですの?」
「嘘や、嘘。冗談ですわ。ルクレア様にはいつもお世話になってるさかい、こんくらいの情報タダで教えますわ」
ジト目でにらむ私に、キエラはカラカラ笑いながら宙を叩くように手を振った。
……お前が言うと、冗談に聞こえんわ。てか、絶対半分くらい本気だっただろ、間違いなく。
「デイ……エンジェは、5日くらい前から実家帰っとりますで」
「……実家?」
デイビッドの実家って……天使が住む村? 人外魔境なあの辺地?
え、何の為にわざわざあんなところに?
驚く私に、キエラは笑みを深めながら頷いた。
「そや。実家や。……なんか一週間くらい前、デ……エンジェがやたら落ち込んで部屋帰ってきよりまして。そんでそのまあ二日くらい自室に引きこもってたんやけど、確か三日目やったかな? 『やらないといけないことがあるから、暫く学校休んで実家帰る』っちゅーて、あの子そのまま学園飛び出して行き寄ったんですわ。……まあ、事前にちゃんと休暇届を学園に出してはいたいみたいやし、それ自体は何ら問題はあらへんのやけど――それにしても一体何なんやろな。エンジェが言う、やらなければならんことって」
一週間森に通っても、一度もデイビッドに遭遇しないなんて、どう考えても異常だ。あの鍛練馬鹿が、深い理由もなく一週間も訓練をサボるとは思えない。
……もしや、デイビッドに何かあったんだろうか? 大きな事件も事故も、特に噂にはなってないから、デイビッド自身の身には何も起こってはないと思うけど……心配だ。
――昼休みにでも、確かめに行くか。
「……あれ。ルクレア先輩がなんで一年生のフロアにいるんでしょう」
「相変わらず、麗しいな。……良い目の保養だ」
「誰か探しているのかなー?」
ざわめく一年モブ達の間を颯爽と通り抜けながら、ふわりと髪をかきあげる。
……ふ。本当は目立たずこっそり向かいたかったのだが、どうしても注目の的になってしまうな。
華がある有名人って辛いわー。カリスマ悪役令嬢のポジションとか、マジ大変だわー。いやあ、平穏に生きられるモブくん達が実に羨ましい……ふっ。
こんなに目立ってしまったら、デイビッドにも様子見来たこと、バレバレだな。
……まあ、そん時はあれだ。ボレア家モード……じゃなくて、ツンデレ高飛車お嬢様モードで「ベ、別に最近姿を見せない貴女が心配で様子を見に来たわけじゃないですわ! 勘違いなさらないで!」とでも言っておけば大丈夫だろう。問題ない。問題ない。
さて、さて。デイビッドの教室は、と。
「……いない、な」
こっそり扉から除きこんだ1年文官コース用教室の中に、デイビッドの姿はなかった。
……たまたま教室にいないだけかな?それとも、休み?
どうしよう。中の生徒捕まえて聞いてみるかな?
……でも、「ルクレア・ボレアがエンジェ・ルーチェを訪ねて教室まで来た」って噂が流れたら、今のデイビッドの状況的には、どうなんだろう?
別に私とデイビッド(エンジェ)が仲が良いことは、そこそこ知られているから、多分何も問題はないと思うけど……うーん。でもあらかじめデイビッドの了承得てないからちょっと気が引けるな……。
「……こないな所で何してはるん? ルクレア様」
「――ベ、別に最近姿を見せないエンジェが心配で様子を見に来たわけじゃないですわ! 勘違いなさらないで!」
とっさにツンデレモードを発動させて振り返ると、そこには案の定キエラの姿が。
なんてグッドタイミング。ラッキー。渡りに船だ。デイビッドのこと、教えてもらおう。
突然叫びだした私に一瞬きょとんと眼を開いたキエラだが、すぐに状況を察したのかにぃっと口端を上げて笑うと、親指と人差し指をくっつけて輪を作った。
「……で、いくら出してくれはりますん?」
ひくりと口端が引きつった。
――この守銭奴め……!
「……いくら、欲しいんですの?」
「嘘や、嘘。冗談ですわ。ルクレア様にはいつもお世話になってるさかい、こんくらいの情報タダで教えますわ」
ジト目でにらむ私に、キエラはカラカラ笑いながら宙を叩くように手を振った。
……お前が言うと、冗談に聞こえんわ。てか、絶対半分くらい本気だっただろ、間違いなく。
「デイ……エンジェは、5日くらい前から実家帰っとりますで」
「……実家?」
デイビッドの実家って……天使が住む村? 人外魔境なあの辺地?
え、何の為にわざわざあんなところに?
驚く私に、キエラは笑みを深めながら頷いた。
「そや。実家や。……なんか一週間くらい前、デ……エンジェがやたら落ち込んで部屋帰ってきよりまして。そんでそのまあ二日くらい自室に引きこもってたんやけど、確か三日目やったかな? 『やらないといけないことがあるから、暫く学校休んで実家帰る』っちゅーて、あの子そのまま学園飛び出して行き寄ったんですわ。……まあ、事前にちゃんと休暇届を学園に出してはいたいみたいやし、それ自体は何ら問題はあらへんのやけど――それにしても一体何なんやろな。エンジェが言う、やらなければならんことって」
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