引きこもり勇者!

白神灼優鈴

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第伍録 いざ王宮へ

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「よくきた、太我裏」
  玉座で踏ん反りかえって座っている少女が俺を呼ぶ。
「ずいぶん出世したねスフィア。 今日はなんでまた急に呼び出したのさ?」
「貴様! 陛下に無礼な口を聞きよって!」
 スフィアの横にいた側近の1人が光のような速さで僕の右隣に立ち、首筋に剣を当てる。
「少年、次に許可なく口を開いたときは、貴様の頭は床に転げ落ち『反逆者の首』として公衆の面前にさらけ出すぞ? わかったか?」
 なんてことを言いやがるこの美人。 顔に似合わず恐ろしいことしか言わねぇ。
 公衆の面前に晒されるのはごめんなので、黙ってこの美人から放たれている柑橘系のいい香りを楽しんでいよう。 うん、そうしよう。
「返事は……」
 隣の美人がボソリと言う。
「…………」
「返事はどうしたと言っているのだ!」
「は、はい!」
 いきなり叫ばれ、反射的に声が出てしまう。
「よし、声を無許可で出したな。 ではさらばだ!」
 言って美人は剣を振りかぶる。
「ちょっ、まっ、そんな理不尽な……!」
 僕の言葉など届くとわけもなく、非常にも刃先が迫ってくる。
 時間がスローに流れ出す。
 これが世に言う走馬灯か……グッバイ現世。 来世ではちゃんと日の元で生きて、魔導学校とか剣術学校通えよ……。
「ま、待てサナ! 早まるな!」
 死を覚悟した時、スフィアが大声で叫んだ。
「何故ですか陛下! こやつは陛下に無礼な口を聞いたにもかかわらず、余の制止をも無視した反逆者の鏡のような男ですぞ!」
 半分はあってるけど半分はあんたの理不尽な行動だろ。 てか、反逆者の鏡って褒めてんのかけなしてんのかどっちだよ……。
 「太我裏に用があるのに、用を話す前に口もきけぬ状態にしてどうするのじゃ? 業務妨害か?」
「うっ、すみませんでした陛下……」
 怒られた美女は渋々自分の持ち場に戻っていく。
「驚かせて悪かったな太我裏。 して、ずいぶんと久し振りじゃの」
 スフィアが申し訳なさそうに言う。
 「だいたい6年ぶりじゃないか? 僕がまだ城下町近郊に住んでた頃だし……。 っと、あとその喋り方はやめてくれ。 違和感しかないから」
「あ、そう? やっぱり変だった?」
「変とかじゃなくて、僕の中でスフィアは6年前で止まってるから、違和感が……ね? ってちょっとおい!」
 スフィアがガバッと抱きついてきた拍子に体勢を崩し倒れ込んでしまう。
「太我裏は相変わらずかわいいなぁ~、妾の婿にしたいくらい可愛いよ~」
 言いながらスフィアは僕の胸元に顔をすりすりとまるで甘えた犬のような仕草を取る。
 と、ここで女子耐性ゼロの僕にとんでもない喜劇……いや悲劇が襲いかかる。
 スフィアの胸が……立派に成長した双丘が僕の腹にピンポイントでアタックしてくる。
「あ、もう無理……」
 僕はとても心地のいい眠りに入るかのように静かに気絶した。
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