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第陸録 生理現象
しおりを挟む「ん……」
視界がぼんやりと明るくなる。
もう朝か……今日はどんな遊びをして過ごそうか……。
目をつむったまま体をゆっくりと起こす。
「やっと目を覚ましたか、少年」
ん? なんか聞き覚えのある声が聞こえたような気がするぞ?
声を聞き、どんどん脳が覚醒していく。
そうだ。 僕は今王宮に来ていて、そしたらソフィアの大きな誘惑に負けたんだった……ってことは今の声は、あの美人の声か……。
「早く目を開けないか少年。 さもなくば、その首をもらい受け」
「おはようございます! いい朝ですね……?」
物騒な言葉に反射的に目を開ける。するとさっきの視界の眩しさが直射日光でないことに気づく。
何を隠そう、さっきの眩しい光は剣に反射した太陽の光だったらしい……まじ物騒。
「うゆ~……」
左側から、可愛らしい寝息が聞こえてくる。
カーテンの隙間から差し込む陽の光が、白髪を照らす。
髪は、ソフィアの呼吸に共に自らも呼吸をするかのようにうっすらと動く。
照らされた髪はまるで、陽を浴びた雪のように透き通るように美しく陽の光を反射している。
ソフィアは、寝巻だと思われる服装でスヤスヤと僕の横で気持ちよさそうに寝ている。
そんな寝顔を見て、ついつい笑みが零れてしまう。
「何をそんなに微笑んでいるのだ少年。 貴様は今自分が置かれている状況に気づいていないのか? そんなに馬鹿なのか?」
美人が心底機嫌の悪そうな声音で言う。
「いや、ソフィアの寝顔を見たらつい……だから、別に貴方を馬鹿にしている訳では……」
美人の眉がピクリと反応する。
「陛下がおられるだと? 何を戯言を言っているのだ? 寝言は寝てからいうものだぞ少年。 そもそも陛下は1人でしか就寝なされないのだ。 余だって……1度たりとも、陛下と……、共に……ぅぅ、共に、床に付いたことなど……、ないんだ! うぐっ、うわぁぁぁん!」
「え?」
美人は膝をつき、唐突に泣き出してしまう。
状況がさっぱり分からない。
「いやいや、そんなに泣かれたって、僕にはどうしようもない事だし……、とりあえず泣き止んで下さいよ、ね?」
「だって……だって、陛下になる前から寄り添って共に歩んできた余が……これまで何度も何度も土下座して本気でお願いしてもしてくれなかったことを、何処の馬の骨かもわがらないやづに先を越されたんだ…………うわぁぁぁん! 陛下に抱きつきたいよぉ~!」
なんだか最後欲望が剥き出しだった気が……。
美人はさらに激しく泣き出してしまいもう僕にはもう、どうすることも出来ない。
「ん、ん~? 騒がしいね~?」
大声に反応して、横で寝ていたソフィアがむくりと体を起こす。
「あ、陛下! ほんとにこの男と一緒に就寝されていたのですか! ……とんだご無礼を、お許しください……ぐずっ……」
美人はソフィアが起きると泣くのをやめ、すぐに跪いた。
その姿に、見事な忠誠心だと尊敬の念を抱く。
「ん~? 別にいいよ~……妾が勝手にした事だし」
ソフィアが欠伸をしながらだるそうに言う。
「そう言えば、太我裏。 なんでたってんの~?」
ソフィアが僕の下半身を指差し聞いてくる。
「あ、朝だから……?」
そう答えるしかなかろう……生理現象だもの。
「サナ、ちょっと朝食の準備をしてくれる? お腹空いたからお願い~」
「承知いたしました」
美人が扉を開け、出ていく。
ーチッ……、バタン
ソフィアが言うと、美人はそそくさと部屋をあとにした。
扉が閉まる時に舌打ちが聞こえた気がしたが気のせいだろう。
「ふふっ……さてと」
バタッ
ソフィアが起き上がり、僕を押し倒す。
髪からとても甘さのあるいい匂いがする。
そして、なんと言ってもバスト。 昨日僕が完敗を喫した豊満なバストがむにゅりと僕の胸元に当たる。
「まてまて、ソフィア! 僕はただ生理現象でこうなってしまっているだけで、別にソフィアに欲情した訳ではないぞ?!」
そうは言いながらも、ぶっちゃけやばいくらい欲情している現実に、理性さんがこんにちは。
「そんなにはっきり言わなくてもいいじゃんか~。 もう妾達もお年頃の男女……1つくらい間違いがあってもいいじゃろ?」
ソフィアが耳元で甘く囁く。
サキュバスかな?
「いやいや、待ってくれソフィア。 ゆっくり考えてくれ、お前は今寝ぼけている……そうだ、寝ぼけているんだ、だから1度朝食を食べて、落ち着いて話してから、決めよう! うん、そうしよう! な?」
脳内で今にも崩壊しそうな理性と、僕の中の善意が全面戦争開始。
「太我裏は相変わらず真面目さんだな~。 陛下とエッチして、子供が出来たら、一生遊んで暮らせるのに……ま、太我裏がそういうなら仕方ないか~」
ソフィアは、諦めたのか僕の上から降りて、とてとてと扉に向かい歩いて行く。
あ、危なかった……。 どうやら、全面戦争の結果はドローのようだ。 善意に感謝。 ありがとう、僕の善意。 いや、ソフィアに感謝。
ソフィアの身体(主に胸)が離れ、ふと冷静になる。
ソフィアと間違いを起こして子供ができれば将来安泰は確定する……それは確かにそうだけど、ソフィアには僕よりもっと相応しい人がいる。 そう思うと、ソフィアは本当に遠くに行ってしまった……対して僕は……。
「太我裏、先にご飯いっちゃうよ~?」
ソフィアの声で現実に戻る。
「いや、連れて行ってくれよ。 僕場所わかんないぞ?」
「まぁ、無駄に広いからね~、この城」
分かってるなら、最初からちゃんと連れて行って欲しい。
こうして僕とソフィアは天敵(美人)が待っているであろう食卓へと足を向けた。
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