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第漆録 スキンヘッド・オブ・ザ・イヤー
しおりを挟むソフィアの後をついていき、2分ほど歩くと大きな赤い扉の前でソフィアが立ち止まった。
扉には色々な装飾が施されており、いかにもな感じで王宮感がプンプンしている。
「ちょっと待ってね~」
扉に手をかけようとすると、ソフィアがそれを制止する。
ースパンッ!
「うぉ!」
いきなりソフィアが自分の顔にフルスイングのビンタをお見舞いする。
「 よしっ! ん? どうかした?」
ソフィアが不思議そうに僕の顔を覗き込む。
「いや、そりゃ驚くでしょうよ。 目の前でいきなりフルスイングで自分にビンタかますやつ見たら……」
「いや~ここからは陛下モードで行かなきゃだからね~」
へへっとソフィアが微笑む。
めちゃくちゃ可愛い。
先ほどの自分の理性に少し後悔する。
「あ、妾は陛下モードだけど、太我裏はそのままでいいから」
言うとソフィアは僕の返事を待つことなく、扉を開ける。
「おはようございます、陛下。 昨夜はよくお休みになられましたでしょうか?」
扉を開けると執事姿の女性が立っていた。
「うむ。 変わらず寝れたよ」
「それは何より」
執事姿の女性は慣れた手つきでソフィアを椅子へと誘導する。
え、僕は? と声を出しそうになった時、それを察したのか執事姿の女性(以下、執事)がソフィアへ話しかける。
「陛下、先ほどからいらっしゃられる方とはどのようなお関係で?」
執事が僕を手で刺し、質問する。
「太我裏だ。 妾が呼んだ客人……幼馴染じゃ。 丁重にもてなしてくれ」
「左様でございましたか。 これは大変失礼いたしました。 では太我裏様、どうぞこちらへ」
執事が慣れた手つきで椅子へと誘導してくれる。
「あ、ありがとうございます」
感謝を伝えると執事は顔を真っ赤にしてコクリと頷き猛スピードでソフィアの横へと戻っていった。 まじ謎。
「では食事にいたしましょう。 朝食を」
執事が厨房の方へ声をかけると、中からガタイのいい上半身裸でスキンヘッドのおっさんが出てくる。
「あれ? あのおっさんは……」
あのおっさん、どっかで見たことある。
ソフィアに朝食を運ぶおっさんを凝視する。
そしてシンキングタイム突入。
あの鍛え上げられた上半身、そしてあのスキンヘッド・オブ・ザ・イヤーも夢ではない磨き上げられたスキンヘッド……この衝撃は王都に来た時に味わった衝撃に似ている。 やはりあの時のおっさんか?!
シンキングタイムを終え、目を開けると目の前に輝くスキンヘッドが姿をあらわす。
「うわぁっ!」
驚いた拍子に椅子ごと床へ倒れ込んでしまう。
「いてて……」
「やっぱり! あの時のにぃちゃんか!」
スキンヘッドのおっさん(以下スキンさん)が自慢の頭をぺしっと叩き笑う。
「あ、あの時のおっさん!」
スキンさんが起こしてくれる。
「いやー世間は狭いな、ガハハ」
スキンさんは心底嬉しそうに僕の背中をバシバシ叩く。 内臓が口から出ちゃいそうなくらいの衝撃が身体中を駆け巡る。
「おっと、そういえばにぃちゃんはお客様か。 悪い、ちょっくら待っててくれ」
スキンさんは言うと、巨体を揺らしながら厨房へ消えていった。
「太我裏、スキンと知り合いじゃったのか?」
「知り合いってほどでもないけれど、王都に来て一番はじめに声をかけてくれた人だよ……てか、スキンって本名?」
ソフィアに疑問をぶつける。
「ん? 彼の名前はスキン・ヘッディー。 妾専属の料理人じゃ、なかなか個性的じゃろ?」
ソフィアがどこかしたり顔で言う。
「まあな……」
「待たせたなにぃちゃん。 好きなだけ貪ってくれ! 口に合うかわからんが、味には自信があるから安心しな!」
そう言いながらスキンさんが僕の目の前に綺麗に盛り付けされた皿を置く。
サラダの上にこんがりと焼かれた肉が盛り付けられており、その肉の下には白米が詰められている。
「この肉は?」
あまり見たことのない肉だったので、質問する。
「それか? それはオーガピックの肉だ。 筋肉と脂肪のバランスが半端ないほど絶妙で美味いぞ。 やっぱり男の朝は肉だろ! ガハハハハ」
オーガピックか……聞いたことあるから一応食えるだろう……。
肉を一切れ口へ運ぶ。
「んん!」
「そうだろ、美味いだろ?」
肉を口へ放り込むと、肉の甘みが口いっぱいに広がる。
噛めば噛むほど肉の味が口に広がり、箸が止まらなくなる。
「気に入ってもらえてなによりだ!」
「おっさん! この肉めちゃくちゃ美味い!」
興奮のあまり感想をぶつけてしまう。
「そりゃそうだろ、なんてったってオーガピックは世界トップクラスだからな! 狩るのも一苦労だったぜー」
「え、おっさんが狩ったの?」
「そりゃそうさ、料理は食材調達からが料理だからな!」
おっさん、そんな料理聞いたことないよ……。
おっさんのキャラの濃さに若干尊敬する。
「おっと、もう時間だ。 じゃあな、にぃちゃん!」
そう言いおっさんは猛ダッシュで扉から出ていった。
ふとソフィアの方に顔を向ける。
ソフィアはすごく嬉しそうな、弾けんばかりの笑顔で僕のことを見ていた。
恥ずかしくなり顔を逸らす。
「ところで太我裏。 今から一緒に来て欲しい場所があるのじゃが、構わんか?」
ソフィアが口元を拭かれながら聞いてくる。
「構わないよ。 それにそろそろ僕がなんで呼ばれたのか教えてもらいたいしね」
「そうじゃな」
言うと僕らは立ち上がり、食堂を後にした。
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