悪徳領主の娘に転生しました。貧乏領地を豊かにします!

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奮闘する公爵様!

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シオンが去ってからレッド・ハート公爵家では慌ただしい日々が始まった。

ギルバード公爵の妻、レイラが病が治り、さらに視力まで戻ったことで、公爵と一緒に登城した事で、ちょっとした騒ぎになった。

「えっ!あのギルバード公爵様にエスコートされている女性って?」
「間違いないわ。レイラ公爵夫人よ!娘さんの出産と同時に身体を壊されて、何年も表に出て来なかったのに」
「あの美貌、全然やつれていないわね」

城にいたメイドや貴族達がざわざわと囁いていた。

「レッド・ハート公爵様がおなりになられました!」

謁見の間の前にいた騎士が大声で伝えた。
扉が開き、国王と謁見した。

「久しいなギルバードよ。そしてレイラ夫人、体調が回復して良かった」
「勿体ない御言葉でございます」

「それでは余り時間もありませんので、此方の重要案件に付いて説明させて頂きます」
「前触れで言っていた重要案件とはなんだ?」

ギルバード公爵はシルクード領の事を説明した。国王は同じく驚くのだった。

「なに!?それは本当か!」
「こんな事、冗談でも言えませんよ。そして、最愛の妻を治してくれたのもシオン令嬢なのです。私は恩を返す為に全力を尽くすと約束しました」

腕を組み、考える国王にギルバード公爵は言った。

「『兄上』、現状の中央貴族達の腐敗に頭を痛めているはず、これは不正を正して腐敗を抑制する事にも繋がります!」
「ああ、分かっている。私が不甲斐ないばかりにな。本当はお前が国王になれば、ここまで悪化しなかったのに」

国王はギルバード公爵の『兄』であった。充当に、長兄だった兄が国王となり、弟であるギルバードが公爵を賜ったのだ。

「そんな事はありません。兄上は、民の痛みをわかる方だ。だからこそ私も全力で力を貸そうと思えるのです」

「ギル…………すまん、弱気になっていたようだ。丁度、10日後に王家主催の夜会がある。その時にこの帳簿使い、腐った貴族を粛清しよう!」
「ええ、私も他の貴族の不正の証拠集めを手伝います。ここいらで王家の威光を示しましょうぞ!」

こうして国王の協力を取り付けたギルバード公爵は、レイラに呪術を掛けた者の悪事の証拠を集め、後に見事に逆襲する事にも成功するのであった。









一週間後─

「シオン!いらっしゃーい!」

シオンは約束通りに公爵家に転移でやって来たのだ。そして公爵の娘であるフレイヤが出迎えた。

「シオンちゃん、お久しぶりね。改めて、病と視力を治してくれてありがとう」
「いえいえ、困っているときはお互い様ですから」

そういうシオンの手をフレイヤが掴んで言った。

「この前は余り屋敷を案内出来なかったから、一緒に周りましょう♪」
「えっ、ちょっと待ってね。レイラさん、公爵様は?」

レイラは申し訳なさそうに頭を下げた。

「ごめんなさい。あの人はお城へ行ったきり戻ってなくて。もう少しすれば戻って来ると思うのだけれど…………」

あちゃー!そうだよね。時間まで決めて無かったしなー?今度、携帯電話みたいなの作れないか考えようっと。

「フレイちゃん、公爵様が来るまで案内してもらっていいかな?」
「任せて~♪」

フレイヤは嬉しそうにシオンを案内したのだった。

「ここが食卓の間なの!」
「机、ながっ!!!?」

「ここが書斎なの!」
「図書館か!?」

「ここが音楽室なの!」
「グランドピアノすげぇ!!!?」

「ここが裏庭の薔薇園なの!」
「うわぁ!綺麗だよ!?」

「そしてここが入口の庭なの!」
「ひろっ!?門から屋敷までとおっ!?」

流石は公爵家であった。入口の門を通ると綺麗に整えられていた中庭があり、屋敷まで100メートルは続いていた。フレイヤが案内する場所に、シオンがとても良いリアクションをするものなので、レイラ夫人を初め、執事長など微笑ましく見守っていた。

『四大精霊と契約を結んでも五歳なのよね。フレイヤと同様に可愛いわ♪』

ついつい、母性本能をくすぐるシオンに笑顔が溢れる。そして丁度、門から馬車がやって来た。

「あら?丁度良かったわ。うちの馬車だわ。シオンちゃん、ギルバードが帰ってきたわよ」

中庭から屋敷の入口で待っていると、馬車が止まった。

「もう来ていたんだね。待たせてしまって申し訳ない」
「いいえ、私が早く来ただけですのでお気になさらず」

ギルバード公爵が馬車から降りると、もう1人降りてきた。

「この歳でしっかりしておるな。我が息子にも見習わせたいものだ」

公爵と良く似た人物であった。

「もしかして、ご兄弟ですか?」
「はっははは!やっぱりそう見えるか?私はギルバードの兄、ランバードという。よろしくな」
「はい!よろしくお願いします」

元気に挨拶をするシオンは、この時ランバードさんが国王陛下だと知らず、後から真っ青になるのだった。






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