64 / 104
やったどーーー!!!!
しおりを挟む
胃酸の中からウンディーネとクリスを引き揚げた所で、奥から嫌な風が吹いてきた。
「えっ?海龍の体内で風?」
「いかん!またアレかっ!?」
ウンディーネが焦ったように海龍の胃の奥を見つめた。
「何が起こっているの!?」
「妾にも詳しくは把握できておらぬ!ただ、定期的に『嫌な風』が吹いてきて、その度に力を奪われていったのじゃ」
嫌な風は纏わりつく様に身体に不快な感触を残した。
「ウンディーネはクリスをお願い!」
「主殿はどうするつもりじゃ!?」
一緒に戻らないシオンにウンディーネは戸惑いを隠せなかった。
「少し確認してから戻るわ。今のディーネのやる事はクリスを無事に船まで連れて戻ることだからね!」
ウンディーネは悔しさに顔を滲ませて、海龍の口へと向かっていった。
そしてシオンは─
「さて、長居は無用ね!緑聖魔術『アクア・ゴーレム』!!!」
強力な胃酸でも、同じ液体ならば順応して奥へ進めると思ったシオンだったのだ。
アクア・ゴーレムを二体召喚し、一体はシオンを持ち上げて進んでいった。無論、水の障壁は健在である。
予想通り、ジューと音はなったがアクア・ゴーレムは問題なく進んでいった。そして、胃の出口付近に、『黒い石』が壁に埋まっているのが見えた。
『なに?アレは…………』
直感的に嫌な感じがした。そう、あのカサカサッと動く黒い悪魔に出会ったような感じだ。
黒い石は胃の壁に、ガン細胞のようにくっついており、周辺も黒ずんでいた。
近付くと、急に黒い石が黒く輝きだした!
「ヤバい!?」
アクア・ゴーレムがシオンの前に出て庇った!
黒い石からイカズチが放たれたのだ!?
バチバチバチッ
バチバチバチッ
身体が液体で出来ていたアクア・ゴーレムは無事であったが、黒いイカズチのせいで動けなくなっていた。
「なんなのよ…………」
シオンは『黒い石』を敵と認定し、攻撃を開始した。
「距離を取りつつ、遠距離攻撃よ!喰らいなさい!緑聖魔術『緑の魔弾』!!!」
シオンが放ったのは、薔薇のトゲの様なものを回転させながら飛ばすものだった!黒い石もすぐにはイカズチを放てないようで、回転しながら飛んでいったトゲは黒い石を貫いた!
バッリーーーーン!!!!
黒い石が砕け散ると、辺りが激しく振動し始めた!?
「ヤバい!海龍が起きたのかしら!?」
シオンはアクア・ゴーレムに破片を拾わせると、急いで戻っていった。
海龍の口の近くまで行くと突然、前から水が押し寄せてきた。
「海龍が海に潜った!?」
激しい水圧に胃の中へ押し戻されようとしたとき、ウンディーネの声が聞こえてきた。
『主殿!早く転移を使うのじゃ!?」
!?
シオンは条件反射で念じると、ウンディーネ達のいる船の甲板に転移した。転移が成功するとシオンは深く息をついた。
「はぁ~~~助かった~!」
一安心である。
「シオン!?無事だった?ウンディーネとクリス君だけでてきた時は驚いたわよ!」
ノームがプンプンッと怒っていた。
「眠っているとは言え、海龍の口へ入って行くこと事態、普通は恐ろしくてしないしね!?」
「ごめんなさい!それよりクリスは!?」
ちょうど目が覚めたばかりのクリスが横になっていた。
「………自分は大丈夫だよ。ありがとう。シオン」
久々に会うクリスをみて赤くなるシオン。
「本当にびっくりしたんだからね!もうこんな無茶したらダメなんだから!」
「シオンさんの言う通りですよ!貴方は私の1人息子なのですから」
ソフィア王妃様はクリスを優しく抱き締めていった。
「よく頑張りましたね。貴方の勇敢な行動で、大勢の人々が救われました。でも、1人の母として、もうこんな無茶はしないで下さい。本当に心配したのですから!」
目に涙を浮かべながらクリスに言い聞かせる王妃様だった。クリスもはいっと約束して、しばらくそのままであった。
ザプッーーーーーン!!!!
突然、海に潜った海龍が海底から頭だけ飛び出してきたのだ!
グルルルルルッ!!!!!
「ぎゃーーー!!!!またでたーーーー!!!!」
シオン達は臨戦態勢を取ったが、海龍はじっとこちらを見つめて攻めてこなかった。
不思議に思っていると、ウンディーネが叫んだ!
「主殿!海龍が何か言いたそうじゃ。海龍は人語を話せないので念話を繋げるのじゃ」
ウンディーネは海龍と念話が出来るようにパスを繋ぐのだった。
「えっ?海龍の体内で風?」
「いかん!またアレかっ!?」
ウンディーネが焦ったように海龍の胃の奥を見つめた。
「何が起こっているの!?」
「妾にも詳しくは把握できておらぬ!ただ、定期的に『嫌な風』が吹いてきて、その度に力を奪われていったのじゃ」
嫌な風は纏わりつく様に身体に不快な感触を残した。
「ウンディーネはクリスをお願い!」
「主殿はどうするつもりじゃ!?」
一緒に戻らないシオンにウンディーネは戸惑いを隠せなかった。
「少し確認してから戻るわ。今のディーネのやる事はクリスを無事に船まで連れて戻ることだからね!」
ウンディーネは悔しさに顔を滲ませて、海龍の口へと向かっていった。
そしてシオンは─
「さて、長居は無用ね!緑聖魔術『アクア・ゴーレム』!!!」
強力な胃酸でも、同じ液体ならば順応して奥へ進めると思ったシオンだったのだ。
アクア・ゴーレムを二体召喚し、一体はシオンを持ち上げて進んでいった。無論、水の障壁は健在である。
予想通り、ジューと音はなったがアクア・ゴーレムは問題なく進んでいった。そして、胃の出口付近に、『黒い石』が壁に埋まっているのが見えた。
『なに?アレは…………』
直感的に嫌な感じがした。そう、あのカサカサッと動く黒い悪魔に出会ったような感じだ。
黒い石は胃の壁に、ガン細胞のようにくっついており、周辺も黒ずんでいた。
近付くと、急に黒い石が黒く輝きだした!
「ヤバい!?」
アクア・ゴーレムがシオンの前に出て庇った!
黒い石からイカズチが放たれたのだ!?
バチバチバチッ
バチバチバチッ
身体が液体で出来ていたアクア・ゴーレムは無事であったが、黒いイカズチのせいで動けなくなっていた。
「なんなのよ…………」
シオンは『黒い石』を敵と認定し、攻撃を開始した。
「距離を取りつつ、遠距離攻撃よ!喰らいなさい!緑聖魔術『緑の魔弾』!!!」
シオンが放ったのは、薔薇のトゲの様なものを回転させながら飛ばすものだった!黒い石もすぐにはイカズチを放てないようで、回転しながら飛んでいったトゲは黒い石を貫いた!
バッリーーーーン!!!!
黒い石が砕け散ると、辺りが激しく振動し始めた!?
「ヤバい!海龍が起きたのかしら!?」
シオンはアクア・ゴーレムに破片を拾わせると、急いで戻っていった。
海龍の口の近くまで行くと突然、前から水が押し寄せてきた。
「海龍が海に潜った!?」
激しい水圧に胃の中へ押し戻されようとしたとき、ウンディーネの声が聞こえてきた。
『主殿!早く転移を使うのじゃ!?」
!?
シオンは条件反射で念じると、ウンディーネ達のいる船の甲板に転移した。転移が成功するとシオンは深く息をついた。
「はぁ~~~助かった~!」
一安心である。
「シオン!?無事だった?ウンディーネとクリス君だけでてきた時は驚いたわよ!」
ノームがプンプンッと怒っていた。
「眠っているとは言え、海龍の口へ入って行くこと事態、普通は恐ろしくてしないしね!?」
「ごめんなさい!それよりクリスは!?」
ちょうど目が覚めたばかりのクリスが横になっていた。
「………自分は大丈夫だよ。ありがとう。シオン」
久々に会うクリスをみて赤くなるシオン。
「本当にびっくりしたんだからね!もうこんな無茶したらダメなんだから!」
「シオンさんの言う通りですよ!貴方は私の1人息子なのですから」
ソフィア王妃様はクリスを優しく抱き締めていった。
「よく頑張りましたね。貴方の勇敢な行動で、大勢の人々が救われました。でも、1人の母として、もうこんな無茶はしないで下さい。本当に心配したのですから!」
目に涙を浮かべながらクリスに言い聞かせる王妃様だった。クリスもはいっと約束して、しばらくそのままであった。
ザプッーーーーーン!!!!
突然、海に潜った海龍が海底から頭だけ飛び出してきたのだ!
グルルルルルッ!!!!!
「ぎゃーーー!!!!またでたーーーー!!!!」
シオン達は臨戦態勢を取ったが、海龍はじっとこちらを見つめて攻めてこなかった。
不思議に思っていると、ウンディーネが叫んだ!
「主殿!海龍が何か言いたそうじゃ。海龍は人語を話せないので念話を繋げるのじゃ」
ウンディーネは海龍と念話が出来るようにパスを繋ぐのだった。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さくら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる