異世界転生戦記!少女は能力を封印されて、異世界で勝ち上がっていく(仮)

naturalsoft

文字の大きさ
5 / 101
プロローグ

呪いの鎖を受けて

しおりを挟む
『セレ……スお姉様………』

はっ!と、顔を上げるとセレネの身体が塵となり、透明な霊体となったセレネが悲しい表情でセレスティーナを見つめていた。

『セレネ………ごめんなさい!』

止めどなく涙を溢れさせて謝るセレス。

『セレスお姉様……私の方こそごめんなさい。私はただ、認めて貰いたかった。お姉様の妹ではなく、1人の女神セレネティーアとして見て貰いたかっただけなのに……』

『うん……うん!セレネ!』

『……私、とんでもない事をしてしまいました。死なせてしまった数千の魂を輪廻の輪に連れていきます。今の私にはそれくらいしか出来ません。お姉様、最低最悪の妹ですが最後に女神としての心を取り戻せたのは詩音さんのおかげです。だから─』

セレネは小声で姉であるセレスに最後の別れを告げると詩音の側に立ち、祈りを捧げた。

淡い光が詩音に降り注ぎ、それと同時にセレネの霊体は消えていった。

ガラララララーーーーーーガチャッーン!

鎖の千切れる音が聞こえた。

『詩音!聞こえますか!!!?詩音!!!』

「う………ん……?」

セレスの呼び掛けにようやく目を覚ました。

『良かった……』
「セレス?」

詩音は身体を起こした。さっきまでの痛みが嘘のように感じない。

『詩音!どうしてこんな無茶をしたのですか!死んでしまったらどうするつもりだったのです!!!』

いや、もう死んでるし……

「だって、セレスが危なかったし……それにセレスがいったんじゃない」

『何を……』

戸惑うセレスに詩音は続けた。

女神セレスティーナの加護を与えてるって!じゃないと、私はあんなに速く動けないよ?」

『あっ………!?』

そうなのだ。第1話ですでに女神の加護を与えているとの事だったので、体力、防御力、素早など通常より頑丈になっていると賭けに出たのだった。

『私は貴女に頭を下げて、私に出来る事ならなんでも望みを叶えなければならない立場なのに、これ以上借りを作ってどうすれば良いのですか?』

セレスの問いかけに私は言った。

「貴女は見返りを求めて、誰かを助けるのですか?」

!?

セレスは詩音の言葉に、何も言い返せなくなり言葉を詰まらせた。そこにまた誰かの言葉が響いた。

『本当に気高く素晴らしい魂の持ち主だ。無自覚ではあるが……』

「今度はだれ?」

『創造神様!?』

セレスが驚いた声を上げる。

『セレスティーナよ。セレネティーアの事は残念であった。すぐにここに駆け付けたかったのだが、用意周到な虚無の神の結界のせいで来るのが遅れてしまった。すまぬ!』

『勿体ないお言葉です!』

私は事の成り行きを見守っていたが、急に話題を降られた。

『神代 詩音よ、この度は我が眷属の不始末に巻き込んでしまい大変申し訳なかった。謝って済む事ではないが謝らせて欲しい!』

「いえ……私は別に……」

『しかし、大変な事になった。セレネティーアが犯した大罪は、我が眷属の多くを動員し最善を尽くしている。君の家族の魂も手厚く保護する事も創造神の名の元に約束しよう。問題なのは君だ。これからの事は聞いているかい?』

「私ですか?これから異世界のスフィアに転生して力を付けて、またこっちに転生するんだったかな?」

『なぜ疑問系なのかは置いといて、君は虚無の神アビスメイデンにより、強固な【呪縛の鎖】の封印を受けてしまった。我々の加護を与えても、基礎ステータスは向上するがスキルや魔法が覚える事が出来ないのだ』

「封印を解く事は出来ないのですか?」

『私の力でも外部からの解除には、そうとうな時間が掛かるだろう。しかも7つある鎖を………うん?一つ外れているぞ?どういう事だ!?』

創造神さんがマジマジと調べているとセレスが口を挟んだ。

『セレネが最後の力を振り絞り、封印を解除してくれたのです』
『セレネティーアが?しかし………そうか!?同じ虚無の神の力が残っていれば、呪いを掛けた者として解除も可能か!』

創造神が辻褄があったと納得した。

『第1の束縛は永遠の痛みで身動きを取れなくする鎖だったようだ。これなら5分ほどだが、本来の力が扱えるようになるぞ!』

5分かー!ウルト○マンよりは戦えるかな?

『詩音!良かったわ!短い時間でも能力が使えれば、力を伸ばす事も出来るし残りの封印も解除する事が出来るかも知れないわ!』

おおっ!何とか希望が見えてきたよ!?

『しかしこの呪縛の鎖はタチが悪いな。運命まで束縛するか……』

「はい?」

言っている意味が分からなかった。

『どの鎖かは分からんが、運命にも楔を打ち込んである。どんなに上手く立ち回っても、最後は非業の死を受けたり、最初から悪役としての運命を授けられたりとタチが悪いぞ』

何それ!?嫌だよそんなの!!!

『何とか呪縛の鎖を解除するしかないな。本人のレベルと魔力を上げて、高位の解呪の魔法を覚えて少しずつ解いて行くしかあるまい』

『創造神様!それには私に考えがあります!私が詩音の体内に【憑依】し、内側と外側、そして本人が力を付け解呪をしていけば短期間での解放は夢ではありません!それに女神の宿主の加護により、最悪の運命は自動的に回避出来ます!』

『そうなると、お主も身動きが出来なくなるが……良いのか?』

『詩音には返しきれないほどのお詫びと恩が、そして借りがあります。私の全ての力を使い詩音をバックアップして返して行きたいと思います!』

セレスは真面目な顔で創造神に言い放った。創造神は少し考える仕草をして了承の言葉を紡いだ。

『良かろう!慈愛の女神セレスティーナよ!神代 詩音の転生を内側から手伝い、呪縛の鎖を解きつつ詩音の魂を強くし、またこちらの世界へ転生出来るようバックアップせよ!無論、スフィアでは直接な干渉は出来なくなるが、こちらも最大限の手助けをする事を約束しよう!』

「セレス、えっと……これからよろしくね?」
『ええ!こちらこそ、よろしくお願い致します!詩音!』

私とセレスは固く握手を交わした。
そしてすぐに【後悔】することになるとは、この時は思ってもみなかった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「はい、これにてこの小説は終了となりま………せん!なんか序盤でお腹いっぱいになりましたが、次は異世界編へと突入です!」


明日からはストックがあるうちは毎日更新致します!


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...