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第1章:幼少期編

赤ちゃんは羞恥プレイです!

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あれからしばらくの間、この空間で色々な事を学んだ。

『向こうに行く前に、私の加護を与えてパス(繋がり)を作る。そうすればスフィア外からでも、ある程度は支援が出来るようになるだろう』

「わかりました。それと虚無の神アビスメイデンは死んだのでしょうか?」

『いいえ、結構な深手は負わせたと思いますが死んではいません。しかし、しばらくはスフィアにちょっかいを掛ける事は出来ないでしょう!』

『ちょうど良かったな。赤子では流石に対処が出来ないからな』

「赤子?ああ!生まれ変わるんでしたね。つい、このままの姿で行けると勘違いしました」

『まぁ、【異世界転移】はそのまま瞬間移動したように移動するだけで、【異世界転生】は詩音のように1度死んでしまい、生まれ変わって人生をやり直す事だ。言葉が似てるから間違いやすいよな。私も【昔】運営さんに間違っていると指摘を受けて…………コホンッ!なんでもない』

深くは聞かないでおこう。【深淵を覗けば深淵もまたこちらを覗いている】って言うしね。

力の修行中に何回か試した事があった。

『やっぱり現在の状況では5分が限界ですね』
「うん………無理して5分以上、力を出すと酷い筋肉痛のような痛みが身体を蝕んで、このざまだよ……」

詩音は身体が動かず、地面に寝そべっていた。

『まぁ、無理をせずゆっくりやりなさい。時間はたくさんあるのだから』

「はい!」









それからまたしばらく時間が経ち─


『セレスティーナ、忘れ物はないか?無限収納に穴を空けてこちらの無限収納と繋げた。裏技ではあるが【神界】(現実世界)からの物資をいつでも送れる。手紙なども送れるだろう』

『本当にありがとうございます!定期的に報告を入れます!』
『ああ、こちらでも呪縛の鎖の魔力構成を解読、解析して外部から解除が出来るように動いておく。大丈夫だと思うが虚無の神が動き出したら連絡するように。それと向こうの神の状況も分かれば連絡してくれ』

『かしこまりました!』

『では、詩音!しばしの別れだ。君の新たな生に幸あらん事を!』

「今までありがとうございました!頑張ってきます!」

『そう力まなくても、記憶もそのままなんだ。異世界を楽しんできなさい』

「はいっ!ありがとうございます!」



こうして私の異世界の人生が本当に幕を開けた!






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「オギャアー!オギャアー!オギャアー!」

とある屋敷に元気な赤ちゃんの泣き声が響き渡った。

「旦那様!おめでとうございます!元気な女の子でございます!」

子供を産んだ母親のお付きの侍女は、別室で待機していたこの屋敷の当主グラン・アクエリアス公爵に報告する。

「おお、でかした!それでレイラはどうだ?」

「母子共にご無事でございます!」

魔法のある世界でも、まだまだ出産には危険が付き物である。侍女の報告でグラン公爵はやっと安心して落ち着きを取り戻した。

『詩音、しばらくは大人しくしててね。眠っている間は、精神世界でこの異世界の勉強と魔力の勉強をしていきます。時間を有効に使いましょう!』

『了解です!…………セレス、私……ヤバいかも!?』

『どうしました?』

ぽっ……

『オシッコがしたい………』
『オシメをしているのですから大丈夫ですよ?』
『ううぅ………大丈夫じゃない!みないでーーーー!!!!』

あああぁぁぁぁ…………


私のSAN値(正気度)がどんどん減っていくよ!?
(ゼロになったら恥じらい心が無くなりそう……)


シオンは早くも異世界転生をしたことを後悔したのでした。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「シオンが変な趣味に目覚めないか心配です」
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