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第1章:幼少期編
女神リューシン
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「こ、ここは!?」
判別の儀式の部屋にいた司祭様も含めて全員が何もない白い世界にいた。地面は白で統一され、どこまでも果てが見えない場所だった。そして目の前の視線の先には─
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!?」
突然のスピカ王女の悲鳴に全員がその視線の先にある【者】を直視した。
「ば、バカな…………!?」
「そんな!!!?」
「嘘…………?」
みんなが一様に、呟いた。そこには、鎖で呪縛された、全身が血だらけの白い翼を真っ赤に染めた女性が張り付けにされていたからだ。
「あれは………女神リューシン様!?」
シオンが呟くと、シオンの中から慈愛の女神セレスティーナが半透明な状態で現れた。
「シオン………!?」
突然、シオンの身体から女神リューシンと似たような女性が現れた事により父親を初め、全てのこの場にいた者達が再度、驚愕した。
『皆様、驚かせてしまい申し訳ありません。私は女神セレスティーナ。盟友である女神リューシンをシオンと共に救いに来た者です!』
「慈愛の女神セレスティーナ様!?」
この世界では、ほぼ全ての国が女神リューシンを崇めている。女神リューシンは勝利の女神として戦を司る神であり、正義をも担う神だからだ。それと同じく、豊穣と健康を司る神として慈愛の女神セレスティーナも同じく信仰されているのだ。
『リューシン………今、治療します!』
セレスティーナはリューシンの側に行くとすぐに回復魔法を唱え治療に当たった。
「シオン!一体どういう事だ!?」
多少の説明はしてあった父親のグランでさえ、混乱していた。他の者は理解が追い付いてないようであったので、セレスの治療中にシオンがこの世界に来た概要をみんなに説明した。
「そんな……」
「リューシン様が邪神に負けたなんて!?」
「信じられん事だ………」
しかし、戦いに敗れて鎖で束縛された女神リューシンを目の前に否定出来なかった。いや、勝利と正義の女神が負けたなどと信じたく無かったのだ。
『うっ………セレ……ス?』
『良かった!リューシン!』
意識を取り戻したリューシンはまだ鎖に繋がれたままだったが、傷が癒えて喋れるようになったようだ。
『……ありがとう。セレス……そしてごめんなさい。不覚を取ったわ』
『いいえ、無事で良かったわ!』
『余り無事とは言えないわね。この呪いの鎖のせいで自然治癒を封じられて死なないギリギリの苦しみを味わっていたのよ。いくら神族が死に難いと言っても、虚無の神アビスメイデンめ………許さない!』
怒りに燃える女神リューシン。流石に戦の神様の気迫があった。女神リューシンが死ねばこの世界に多大なる被害が出る。天変地異が起こったりと、自分で世界を破壊したい虚無の神はリューシン様を殺さなかったようだ。
『さて、このような状態で申し訳ない。無様にも邪神と呼ばれる神に負けてこのざまよ。盟友のセレスの気配を感じて何とかこの場へ連れて来たのだけれど………力を封じられて半死状態だったから部屋にいた全ての者を召還しました。重ねて申し訳ない』
お父様を初め、国王様も恐縮した様子で頭を下げた。
「このような事になっているとは露知らず、お助け出来ず申し訳ありませんでした!」
国王様が土下座しながらお詫びしていた。
『いや、よい。負けた私が1番悪いのだ。勝利を司る神が負けたとあっては民に示しが付かんしな。それに盟友セレスティーナが助けに来てくれると信じておった』
『リューシン………』
盟友リューシンの言葉に感動しているセレス。
『セレス、この呪縛の鎖はやっぱり壊せないかしら?』
『全部は無理ね。でも2つまでなら壊せるわ!少し待ってね』
セレスは呪文を唱えながら、鎖に光輝く文字のような物を描いていく。そして描き終わったと思ったら鎖が【2本】砕け散った!
『あぁ………身体がずいぶんと楽になったわ。ありがとう!セレス!』
先ほどより顔色も良くなり、声も弾むリューシン様が尋ねた。
『でも、この強力な呪いの鎖をどうやって2本も解呪をしたの?』
『実は─』
セレスはこれまでの事を話した。
ガシャン!ガシャン!
鎖を千切ろうと暴れるリューシン。
『クソッ!?私がヘタを打ったせいでセレスの妹まで犠牲になったとは!?』
心底悔しそうにワナワナと震えるリューシンにシオンが言った。
「リューシン様、虚無の神アビスメイデンの居場所はご存知でしょうか?」
『気高き魂の持ち主シオンよ。すまぬ!居場所まではわからぬ。あやつは用意周到な奴でな。痕跡を残さぬのじゃ。口惜しい!しかし、この世界に顕現すれば気配でわかる。今は気配がせぬ故に、自分の亜空間に閉じ籠っているのだろう』
「こちらから探す事は出来ないのでしょうか?」
『かなり近くまで行けばわかるかも知れんが……現実的には難しいであろうな。入口も隠されているだろうし、ダンジョンの最奥に入口があるかも知れんからな………』
マジかー!どうやら探すのは無理っぽいな。
『待って、もう少し呪縛の鎖の解析が出来れば探せるかも知れないわ。この鎖の魔力と虚無の神の魔力の波長を辿っていければね!』
『流石はセレスだな。私には細かい作業は無理だぞ?』
まだ鎖に繋がれたままのリューシン様であったが笑顔で笑っていた。
案外脳筋な性格なのかもと思ったシオンだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「いつも通り、なかなか話が進まないなぁ~」
判別の儀式の部屋にいた司祭様も含めて全員が何もない白い世界にいた。地面は白で統一され、どこまでも果てが見えない場所だった。そして目の前の視線の先には─
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!?」
突然のスピカ王女の悲鳴に全員がその視線の先にある【者】を直視した。
「ば、バカな…………!?」
「そんな!!!?」
「嘘…………?」
みんなが一様に、呟いた。そこには、鎖で呪縛された、全身が血だらけの白い翼を真っ赤に染めた女性が張り付けにされていたからだ。
「あれは………女神リューシン様!?」
シオンが呟くと、シオンの中から慈愛の女神セレスティーナが半透明な状態で現れた。
「シオン………!?」
突然、シオンの身体から女神リューシンと似たような女性が現れた事により父親を初め、全てのこの場にいた者達が再度、驚愕した。
『皆様、驚かせてしまい申し訳ありません。私は女神セレスティーナ。盟友である女神リューシンをシオンと共に救いに来た者です!』
「慈愛の女神セレスティーナ様!?」
この世界では、ほぼ全ての国が女神リューシンを崇めている。女神リューシンは勝利の女神として戦を司る神であり、正義をも担う神だからだ。それと同じく、豊穣と健康を司る神として慈愛の女神セレスティーナも同じく信仰されているのだ。
『リューシン………今、治療します!』
セレスティーナはリューシンの側に行くとすぐに回復魔法を唱え治療に当たった。
「シオン!一体どういう事だ!?」
多少の説明はしてあった父親のグランでさえ、混乱していた。他の者は理解が追い付いてないようであったので、セレスの治療中にシオンがこの世界に来た概要をみんなに説明した。
「そんな……」
「リューシン様が邪神に負けたなんて!?」
「信じられん事だ………」
しかし、戦いに敗れて鎖で束縛された女神リューシンを目の前に否定出来なかった。いや、勝利と正義の女神が負けたなどと信じたく無かったのだ。
『うっ………セレ……ス?』
『良かった!リューシン!』
意識を取り戻したリューシンはまだ鎖に繋がれたままだったが、傷が癒えて喋れるようになったようだ。
『……ありがとう。セレス……そしてごめんなさい。不覚を取ったわ』
『いいえ、無事で良かったわ!』
『余り無事とは言えないわね。この呪いの鎖のせいで自然治癒を封じられて死なないギリギリの苦しみを味わっていたのよ。いくら神族が死に難いと言っても、虚無の神アビスメイデンめ………許さない!』
怒りに燃える女神リューシン。流石に戦の神様の気迫があった。女神リューシンが死ねばこの世界に多大なる被害が出る。天変地異が起こったりと、自分で世界を破壊したい虚無の神はリューシン様を殺さなかったようだ。
『さて、このような状態で申し訳ない。無様にも邪神と呼ばれる神に負けてこのざまよ。盟友のセレスの気配を感じて何とかこの場へ連れて来たのだけれど………力を封じられて半死状態だったから部屋にいた全ての者を召還しました。重ねて申し訳ない』
お父様を初め、国王様も恐縮した様子で頭を下げた。
「このような事になっているとは露知らず、お助け出来ず申し訳ありませんでした!」
国王様が土下座しながらお詫びしていた。
『いや、よい。負けた私が1番悪いのだ。勝利を司る神が負けたとあっては民に示しが付かんしな。それに盟友セレスティーナが助けに来てくれると信じておった』
『リューシン………』
盟友リューシンの言葉に感動しているセレス。
『セレス、この呪縛の鎖はやっぱり壊せないかしら?』
『全部は無理ね。でも2つまでなら壊せるわ!少し待ってね』
セレスは呪文を唱えながら、鎖に光輝く文字のような物を描いていく。そして描き終わったと思ったら鎖が【2本】砕け散った!
『あぁ………身体がずいぶんと楽になったわ。ありがとう!セレス!』
先ほどより顔色も良くなり、声も弾むリューシン様が尋ねた。
『でも、この強力な呪いの鎖をどうやって2本も解呪をしたの?』
『実は─』
セレスはこれまでの事を話した。
ガシャン!ガシャン!
鎖を千切ろうと暴れるリューシン。
『クソッ!?私がヘタを打ったせいでセレスの妹まで犠牲になったとは!?』
心底悔しそうにワナワナと震えるリューシンにシオンが言った。
「リューシン様、虚無の神アビスメイデンの居場所はご存知でしょうか?」
『気高き魂の持ち主シオンよ。すまぬ!居場所まではわからぬ。あやつは用意周到な奴でな。痕跡を残さぬのじゃ。口惜しい!しかし、この世界に顕現すれば気配でわかる。今は気配がせぬ故に、自分の亜空間に閉じ籠っているのだろう』
「こちらから探す事は出来ないのでしょうか?」
『かなり近くまで行けばわかるかも知れんが……現実的には難しいであろうな。入口も隠されているだろうし、ダンジョンの最奥に入口があるかも知れんからな………』
マジかー!どうやら探すのは無理っぽいな。
『待って、もう少し呪縛の鎖の解析が出来れば探せるかも知れないわ。この鎖の魔力と虚無の神の魔力の波長を辿っていければね!』
『流石はセレスだな。私には細かい作業は無理だぞ?』
まだ鎖に繋がれたままのリューシン様であったが笑顔で笑っていた。
案外脳筋な性格なのかもと思ったシオンだった。
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【後書き】
愚者の声
「いつも通り、なかなか話が進まないなぁ~」
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