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第1章:幼少期編
親子の絆
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『とはいえ、これではまだ身動きができん。セレス、この空間に結界を張ってくれるか?』
『了解よ!でも虚無の神が本気できたら破られるわよ?』
心配そうに言うセレスにリューシンは不敵に笑った。
『ちょうど良いではないか?お前の結界を破るのに奴が力を使えば居場所がわかるだろう?』
『ああ、なるほど………』
セレスは呆れながら頷いた。
『そうだ。ここにいる子供達に私の加護を与えよう。その代わり、この事はまだ秘密にして欲しい。いずれ虚無の神が動き出したら嫌でも公開しないといけないがな……』
「かしこまりました!」
そして、泣いていたレグルス王子とスピカ王女に加護が与えられ、そしてシオンの番になった。
『これは!?すでに複数の加護を与えられているのか?セレスはわかるが……まさか創造神様の加護も頂いているとは………んっ?』
何かに気付いた様に首を傾げた。
「どうしました?リューシン様?」
『セレスの加護の後ろに別の加護があるな?』
『リューシン!それは本当なの?』
シオンをジーと見つめて答えた。
『ああ、文字が被っていて見辛いが………セレネティーア?』
!?
『セレネが!?まさかシオンの呪縛の鎖を解く時に!?』
いつの間に?
『それにしてもひねくれておるな。自分の加護を隠そうとするとは』
『あの子は昔からイタズラが好きな子でしたから………もしかしたらシオンに負い目があって、力を貸したいけど自分の名前が見える事で不快に思われたく無かったのかも知れないわ』
セレネは私や私の地球の家族を殺した赦せない人物だ。でも、自分の負の感情を増幅され虚無の神に操られていることに気付かない哀れな人でもあった。
シオンは複雑な感情を胸に秘めたまま、リューシンに尋ねた。
「リューシン様の加護を頂くとどうなるのですか?」
『うむ、もっともな質問だな。基本的に神から加護を授けられると各ステータスが伸びやすくなるが、神によって内容が変わる。セレスなら回復魔法の威力が向上するとかな。私の場合だと筋力のステータスがより成長しやすくなるな」
その言葉に反応したのはレグルス王子だった。
「それは本当ですか!?」
『うむ、お主なら力の成長が小から中ぐらいはなるだろう。しかし……攻撃魔法は覚えられないな……』
「そうですか………ありがとうございました」
若干落ち込んだが、希望が出てきた事により、もう泣いてはいない。
「女神リューシン様の加護を頂いただけでも素晴らしい成果だ。これ以上は貰いすぎだぞ?後は自分の力で成長していくのだ!」
国王様は双子の頭を撫でながらいった。
「だが、これでレグルスの価値が上がったな。なんとか私の話も勧められそうだ」
「国王陛下、そう言えば何かお話しがあると仰っていましたな?」
「ああ、攻撃スキルの持たないレグルスは残念ながら王族として置いておくことが出来ない。故に養子に出さなければならないのだが……」
国王はグラン公爵の方を見て言った。
「なるほど、事情の知る当家が引き取ればよろしいのですな?」
「そうだ。スキルだけでみても攻撃スキル以外は素晴らしい内容だ。腐らせるには惜しいだろう?」
大人の話にシオンが口を挟んだ。
「国王陛下に恐れながら申し上げます。本当の気持ちをお子様にお伝えすべきかと存じ上げます」
国王はシオンをじっと見て深いため息を付いた。
「そうだな………レグルス、スピカ、今まで厳しく接してすまなかった!双子の子供達は昔から戦闘スキルが授けられ難いと言われていた。事実、双子は不吉だという風潮もある。しかし、私とお前達の母親である王妃は二人を愛しているのだ。戦闘スキルが無かったとしても幸せになって欲しいと思っている」
「うっく………お父さん」
「うぅぅ………お父様!」
「すまん!国の為にどうしてもレグルスには悲しい思いをさせてしまう!」
二人は泣きながら抱きついた!その光景を見たリューシンは微笑みを浮かべた。
『人間は不器用なものよな。言葉にせねば伝わらぬ事もある。家族の絆を大切せよ』
「………心に刻みます」
そう言うと国王は女神リューシンに深く頭を下げた。
私も前世の家族を思い出して胸が熱くなったのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「もう少しでバトル物が書ける」
『了解よ!でも虚無の神が本気できたら破られるわよ?』
心配そうに言うセレスにリューシンは不敵に笑った。
『ちょうど良いではないか?お前の結界を破るのに奴が力を使えば居場所がわかるだろう?』
『ああ、なるほど………』
セレスは呆れながら頷いた。
『そうだ。ここにいる子供達に私の加護を与えよう。その代わり、この事はまだ秘密にして欲しい。いずれ虚無の神が動き出したら嫌でも公開しないといけないがな……』
「かしこまりました!」
そして、泣いていたレグルス王子とスピカ王女に加護が与えられ、そしてシオンの番になった。
『これは!?すでに複数の加護を与えられているのか?セレスはわかるが……まさか創造神様の加護も頂いているとは………んっ?』
何かに気付いた様に首を傾げた。
「どうしました?リューシン様?」
『セレスの加護の後ろに別の加護があるな?』
『リューシン!それは本当なの?』
シオンをジーと見つめて答えた。
『ああ、文字が被っていて見辛いが………セレネティーア?』
!?
『セレネが!?まさかシオンの呪縛の鎖を解く時に!?』
いつの間に?
『それにしてもひねくれておるな。自分の加護を隠そうとするとは』
『あの子は昔からイタズラが好きな子でしたから………もしかしたらシオンに負い目があって、力を貸したいけど自分の名前が見える事で不快に思われたく無かったのかも知れないわ』
セレネは私や私の地球の家族を殺した赦せない人物だ。でも、自分の負の感情を増幅され虚無の神に操られていることに気付かない哀れな人でもあった。
シオンは複雑な感情を胸に秘めたまま、リューシンに尋ねた。
「リューシン様の加護を頂くとどうなるのですか?」
『うむ、もっともな質問だな。基本的に神から加護を授けられると各ステータスが伸びやすくなるが、神によって内容が変わる。セレスなら回復魔法の威力が向上するとかな。私の場合だと筋力のステータスがより成長しやすくなるな」
その言葉に反応したのはレグルス王子だった。
「それは本当ですか!?」
『うむ、お主なら力の成長が小から中ぐらいはなるだろう。しかし……攻撃魔法は覚えられないな……』
「そうですか………ありがとうございました」
若干落ち込んだが、希望が出てきた事により、もう泣いてはいない。
「女神リューシン様の加護を頂いただけでも素晴らしい成果だ。これ以上は貰いすぎだぞ?後は自分の力で成長していくのだ!」
国王様は双子の頭を撫でながらいった。
「だが、これでレグルスの価値が上がったな。なんとか私の話も勧められそうだ」
「国王陛下、そう言えば何かお話しがあると仰っていましたな?」
「ああ、攻撃スキルの持たないレグルスは残念ながら王族として置いておくことが出来ない。故に養子に出さなければならないのだが……」
国王はグラン公爵の方を見て言った。
「なるほど、事情の知る当家が引き取ればよろしいのですな?」
「そうだ。スキルだけでみても攻撃スキル以外は素晴らしい内容だ。腐らせるには惜しいだろう?」
大人の話にシオンが口を挟んだ。
「国王陛下に恐れながら申し上げます。本当の気持ちをお子様にお伝えすべきかと存じ上げます」
国王はシオンをじっと見て深いため息を付いた。
「そうだな………レグルス、スピカ、今まで厳しく接してすまなかった!双子の子供達は昔から戦闘スキルが授けられ難いと言われていた。事実、双子は不吉だという風潮もある。しかし、私とお前達の母親である王妃は二人を愛しているのだ。戦闘スキルが無かったとしても幸せになって欲しいと思っている」
「うっく………お父さん」
「うぅぅ………お父様!」
「すまん!国の為にどうしてもレグルスには悲しい思いをさせてしまう!」
二人は泣きながら抱きついた!その光景を見たリューシンは微笑みを浮かべた。
『人間は不器用なものよな。言葉にせねば伝わらぬ事もある。家族の絆を大切せよ』
「………心に刻みます」
そう言うと国王は女神リューシンに深く頭を下げた。
私も前世の家族を思い出して胸が熱くなったのだった。
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【後書き】
愚者の声
「もう少しでバトル物が書ける」
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