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第4章:学園編

時間制限………

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ドンッ!
ドンッ!

ギンッ!
ギンッ!

ボッン!
ボッン!


訓練場で大勢の学生達が、己の得意とする武器や魔法で訓練していた。その中で一際、レベルの高いシオン達の模擬戦を見ようと、大勢の別の学年の生徒も遠巻きに見ていた。

「見られていると緊張するな~」
「安心しろ。シオンの間抜け面は全国に広まるのも時間の問題だ」

シオンはレグルスを蹴り飛ばすと、カレンに組み手をお願いした。

「久々に少し本気で殺るとしようかのう!」
「望む所よ!」

シオンが剣を構えて、カレンは拳を構えた。
お互いが静かに闘気を高める。

「はっ!!!」
「ふっ!!!」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ドンッ!ドンッ!ドンッ!

シオンとカレンが目に止まらないスピードで剣と拳が交わると衝撃波が◎発生し、周囲を驚かせた。

「なかなか腕を上げたのぅ?シオン!」
「上から目線………いい加減にしてよね!」

ドーンッ!ドーンッ!
ドーンッ!ドーンッ!

「くっ!?さらにスピードを上げるか!?」
「まだまだよっ!」

シオンの苛烈な攻めにカレンは大きく距離を取る。そこに─

「私の新しい技を受けて見なさい!秘技 《大蛇切り》!!!」

シオンの周囲から八つの剣筋が現れ、カレンに襲い掛かった!

「ふっ!御主だけ成長しておると思わぬ事じゃ!秘技 《紅蓮連撃》!!!」

カレンの拳から【炎の華】が現れ、シオンを迎撃した!

「炎の華が………!?」

ドッカーーーーーーン!!!

たった1つの炎の華がシオンの八つの刃を2~3個吹き飛ばした!

「何て威力よ!」

ドッカーーーーーーン!!!

次々にシオンの攻撃は無効化され、逆に炎の華がシオンを襲った!

ドーーーン!
ドーーーン!

「ほれほれ!逃げるだけかのぅ!?」

カッチーーン!!!

「余り、舐めないで!!!」

ザッシュ!!!

シオンは襲い来る炎の華を切り裂いた!

「ほうっ!やるのぅ!!!!」
「当たり前でっしょ!」

シオンは隙を突いてカレンに一気に飛び掛かった!

「これで決めるわっ!」
「来るが良いのじゃ!」

ガッキーーーーーン!!!

闘気を纏ったカレンの拳とシオンの剣がぶつかり合い、大きな音が響き渡った。

「まだまだーーーーー!!!!うりゃっーーーーー!!!!」
「なんのーーー!こなくそーなのじゃーーー!!!」

間抜けな雄叫びとは裏腹に、ダダダッ!と応酬が続いた。

「だりゃーーー!!!!」

!?

カレンはまた大きく距離を取った。

「逃げるなんて、カレンにしては弱気ね!」

カレンは不敵な笑みを浮かべて言った。

「いや?妾の勝ちじゃ!シオン!」

シオンは自分の身体を確認するが、大きなダメージはない。と、いうことはブラフか?

「まだ決まってないわよ!」

シオンが更に闘気を上げてカレンに向かった所で…………バタンッ!

シオンが倒れた。

「ぐぎぎぎっ………がーーーーーーーー!!!!」

シオンの身体から黒い鎖が現れ、シオンを束縛した後、消えた。

そう、シオンは5分間しか力を振るえないのだ。決して作者が最近思い出した訳ではないのよ!?

「はぁはぁはぁ…………くっそーーー!」
「シオンの悪い癖じゃな。熱中し過ぎると時間を忘れてしまうのじゃ!もっと自分の活動限界に気を配るべきじゃ」

二人の戦いは全校生徒に知れ渡る事となる。そう、シオンは達人級の力を持つが何かしらの要因で5分間しか戦えない事を白昼の元にさらしたのであった。

「シオンさんは5分しか戦えないのですか?」
「ああ、強力な呪いを受けていてな………全力を出せるのは5分間が限界なんだ」

シオンに同情するカウスとスピカであったが、この事実を大勢の人に知られたのは間抜けとしか言えなかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「こうしてシオンは…………まぁ、なんとかするでしょう!」




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