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予定外は予想外

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シオン達は子供達を椅子に座るよう促すと、各自が座った。

「まさか、こんな事になるとは思わず本当に申し訳ございません!」

皇王が頭を下げた。

「それは良いからどういう意図があったのか教えてくれないかしら?」

皇王は萎縮しながら答えた。

「我々は母上が守護精霊様によって生まれ変わった事を知った時に、母上を今度こそ守ると私達は決めたのです」

「私は静かに今世を過ごしたいとアルに言ったのだけど?」

アルトは頷いて答えた。

「それは重々承知しております。ただ、イージス子爵が他の貴族に喰い物にされているのを見て、我々が守らなければと思ったのです」

アルトの言葉にイージス子爵は拳を握り締めるしか出来なかった。

「じゃから、ワシとワイズが見守っておるから大丈夫じゃと言っておるじゃろうが!」

皇王ルークは静かに言った。

「確かにしばらくの間は大丈夫でしょう。しかし、父上が亡くなった時はどうするのですか?」

「そ、それは…………」

先王は言い淀んだ。それは1番考えたくなかった事だからだ。

「故に、我々は先にイージス子爵を王家で囲い込む事で守るつもりでした。ただ…………まさか守護精霊様が顕現されて母上を『愛し子』としてお認めになるなんて予想外でした」

「こらっ!ルー君!不敬ですよっ!」

今の皇王の言葉は守護精霊アリエル様の非難しているように聞こえます。

「いえ、兄上の言う通りです。私達は精霊の指輪を与えられた事で、貴族達が安易に手が出せないようにしたかっただけなのです。愛し子と言うのも言葉のアヤでした。まさか、アリエル様が本当に愛し子と認定するとは予定外にも程があります」

なるほど。
完全に情報を隠蔽するのは難しいので、先にある程度、情報を公開してそれ以上探れなくしたかったと。

本来は精霊の指輪を重ねた時に悪戯好きのアルトが魔法で光る演出をする予定だった。


しかし、守護精霊アリエル様が現れて愛し子として認めてしまった事で、私の付加価値がとんでもなく跳ね上がってしまい、子供達もどうして良いのかわからなくなったと。

シオンが脳内で色々と思案していると、ペルセウスが答えた。

「でも、守護精霊アリエル様が現れてくれて良かったですね。すでにイージス領に他の貴族達の使いや、情報収集の商人が来ていましたから」

!?

「お兄様、それは本当ですの?」

「うん。先王陛下の隠居先の場所で、元教皇様も一緒に移住したイージス領に何か秘密があるんじゃないかと探りに来ている間者は結構いるよ?」

はい?
どうしてペルお兄様は知っているんですか?

「おいペルセウス?どうして知っているんだ?」

お父様が聞きました。

「僕はよくゼファー先生と一緒に植物採取に出掛けるんだけど、ゼファー先生が教えてくれたんだ。人の輪の外から人々を観察すると、その【物事の本質】が見えてくると言っていました。物を買いにきた商人なのに、最近誰かきたとか聞いている人が居たりと、目の前で話していると、気にならない事でも違和感を覚えました」

お父様は驚いた顔をしてお兄様を見ました。
ってか、私(わたくし)もお兄様を驚愕した顔で見ていました。

洞察力に優れていますわね。
ゼファーさんもなにを教えているのですか!?

「ふむ、探りを入れに来ていた者達を見分ける事が出来るのは凄い才能じゃな。将来が楽しみじゃわい」

先王だけは愉快そうに見ていました。





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