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秘技!これが【猫かぶり10枚】だ!

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獣人族の集落は騒然とした。

まだ魔物の襲撃から建物などの修復が終わっていなく、田畑もぐちゃぐちゃな状態である。
獣人の戦闘に特化した自警団が、怪しい馬車?を確認した。

「な、何だ!アレは!?」

よく分からないものが、馬車を引いていたからだ。身体を魔物の血で真っ赤に染めて・・・
しかも引いている馬車は鉄格子状の罪人が乗る物だった。

馬車?は獣人族の集落手前で止まった。

ガチャッと、扉が開くと玉藻が出てきた事でようやくホッとした獣人達。しかし、最後にシオンが出てきた事で緊張が走った!

「あれは豊穣の女神様!?」

獣人達にはシオンは食糧を瞬時に作る事の出来る女神として定着していた。

そして怒らせてはいけない人物であることも…………

「凄いのぅ!わずか半分の時間で到着するとわのぅ!?」
「やっと着きましたね~」
「ここが獣人達の集落なのね♪」

そこでうわっ!?とスピカが声を上げた!

「どうした…………の?」

シオン達も魔物の血で真っ赤に染まったウッド君を見て言葉を失った。

「何これ!何コレ!?何なんですか!?」

スフィアもパニックっていた。

「ウッド君………きみってヤツは……!?」

シオンだけ感動していた。

「え~とシオン?どうしたのかな?」

「ウッド君は、走行中に私達に気付かずに魔物を倒してくれていたんだよ!なんて良い子なの~♪」

シオンが頭をナデナデすると、ウッド君は嬉しそうに消えていった。

「そうだったんですね~ウッド君ありがとうございました!」

スフィアも消えたウッド君に御礼を言うのでした。

「それにしても、まだまだ復興にはほど遠いね?」

集落を見渡してシオンが言った。

「申し訳ないのじゃ。住居より田畑を優先しておったのでな」

玉藻は悔しそうに目を伏せていた。

「大丈夫!私に任せなさい!」

シオンは玉藻に集落にいる獣人達に集まるようにお願いした。しばらくして、玉藻の呼び掛けに大勢の獣人達が広場に集まった。

「皆様、初めまして。私(わたくし)は修道院で暮らしているシオン・アクエリアスと申します。突然の訪問、大変申し訳ありません!ただ、玉藻様から皆様が困っているとお聞きしましたのでやって参りました」

シオンはシスター服のスカートをチョコンと摘まんでカテーシーをした。



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『『『誰だ!お前は!?』』』

普段の行いから貴族と言う事を、すっかり忘れているスフィアとスピカであった。

「シオン殿、我々は魔物退治にきたのじゃが………?」
「玉藻様、この集落を見て皆様が大変苦労している事がわかりましたわ。これを見て見ぬふりなど出来ません!」

エルフの集落へ行かなかった獣人達はシオンに見惚れている者までいる始末。

そしてシオンは、集落の外にある田畑を緑聖魔術で生き返らせた。

「おおっ!!!!」
「田畑が生き返った!?」
「豊穣の女神様は本当だったんだ!?」

獣人達から歓声が上がった。

「まだですわ!また魔物が襲って来たときの為に強くて頑丈な柵を作ります!」

シオンは次に、人魚の入江に作った砦用の大木の先を尖がらせて、集落を囲むように生やした!高さも5メートルはあるだろう。

「嘘だろう………!?」
「前より強固な柵が、一瞬で!?」
「凄すぎる!」

北と南に城門を作り、櫓(やぐら)までサービスで作った。

「さて、皆様!ここからが本番です!」

獣人達は首を傾げた。

「シオン、何が本番なの?」

「壊された家屋を【直して】いきます!」

獣人達がざわめいた。

「い、家まで直して頂けるのですか?」

シオンは獣人の問い掛けに答えた。

「無論です!小さな子供や女性を外で寝泊まりさせる訳にはいきません!」

そしてシオンは各家を建て直すのに、獣人達のリクエストを聞きながら、前よりも広く頑丈で便利な家を次々に建てていった。

「ぐすっ……シオン【様】ありがとうございます!」
「シオン様ばんざーい!」
「豊穣の女神にして慈悲深き女神、シオン様に忠誠を!!!」

こうして、シオンの【猫かぶり10枚】の演技力のおかげで獣人達の信頼を勝ち取ることに成功したのだった。

『よしゃっ!これで罪悪感にさいなまれる事が無くなるぞ!』

シオンの内心を知る者はいないのであった。

獣人達の集落を改築していると日が落ちてきたので、一泊してから周辺の魔物達を狩る事にした。

夜はささやかながらも宴を開いてくれて、どんちゃん騒ぎになった。
しかもシオンが持ってきた大量の魚に獣人達は大喜びであった。まぁ、同じ物ばかりだと飽きるもんね!

「ええっ!?なにこの料理!美味しい!!!」

小麦粉とネギや野菜で作る、前世の記憶を頼りに作った料理が大好評であった!

「料理もお上手なんてマジ女神様!」
「シオンお姉ちゃん遊んでー!」

シオンは大人気であった。それを唖然と見ているスフィアとスピカであった。本日、何回目であろうか?

「ねぇ?スピカさん、アレは誰でしょうか~?」
「そうですよねスフィアさん、アレは何なんでしょうね?」

いつもとのギャップに付いて行けない二人でした。

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