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感動の再会!

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さて、馬車で出発の準備が整った。

「意外に時間が掛かるのよね?」
「これから3日間の旅じゃのぅ」

シオンがウッド君を召喚するの待っていた玉藻達に、呼び掛ける者が現れた。

「間に合ったかの?」

バッサッ!
バッサッ!

と、龍王様が空から降りてきた。

「龍王様!?」
「少し遠そうなのでな。ワシが送って行こう!」

なんと!巨大な白龍となった龍王様が馬車を掴み、空へと舞い上がった。

「私は空を飛びながら先導致します」

リーヴィルが背中に翼を出して飛んでいた。

「おおっ!飛んでるよ!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!落ちたら死ぬ!?」
「これは絶景かな!」

三者三様とも、違う反応を示した。

『リリーもこんなに大空を高く飛んだの初めてなのー!』

おや?リリーも付いてきたようだ。

「ね、ねぇ?シオン。流石に龍王様がシオンの家族に………と、いうか?このまま巨大な龍が人間の街に現れたらパニックになるんじゃ………」

スピカの問い掛けに玉藻も同意する。

「確かに、そうじゃ。どうするのじゃ?」

しかし、窓から顔を出したリーヴィルが答えた。

「他の人間は知りませんが、シオンの関係者は大丈夫みたいですよ?すでに情報収集をして、修道院での生活や付き合いなど、知っているそうですからね」

ダラダラ………
ダラダラ………

「スフィア?どうしたの?」

顔色の悪いスフィアにシオンが心配そうに声を掛ける。

「大丈夫!大丈夫です!あはははっ」

冷や汗の止まらないスフィアをよそに、スピカがリーヴィルに尋ねた。

「へぇ~シオンの家族も凄そうな感じね~」

「そうだなぁ~、修道院の周りを調べている奴らも、なかなかの手練れだったしな!本家の奴らと戦えるのも楽しみだ!」

えっ!いつの間にリーヴィルは密偵さんとバトッていたの!?

「なんか、ツッコミどころ満載だけれど!?」

と、まぁ~なんやかんやでシオン達は3日の日程を1日で元子爵家のある村へとたどり着いたのだった。

それほど広くはない庭に、巨大な龍が馬車を掴みながら降りてきたのは昼頃だった。

村では案の定、大騒ぎになりパニックが起こっていたが、アクエリアス公爵家ではメイドさん達が一同、列を作り出迎えていた。

「「「ようこそ!お待ちしておりました!」」」

馬車から降りると、一斉に頭を下げるメイドさん達に、シオン以外のスフィア、スピカ、玉藻は戸惑うばかりだった。

「ちょっと!何コレ!?何コレ!?」
「これは…………すごいのぅ」

そこへ、シオンを呼ぶ声が聞こえた。

「シオン!!!!」

タッタッタッと駆け足で詰め寄ると、シオンに抱き付いた。

「うわっぷ………」
「逢いたかったわ!もう離さないから!」

それはシオンの母親であった。大きな胸にシオンの顔を埋めてぎゅっと、抱き締めた。

「我が天使!シオンよ!私も逢いたかったよ!」

シオンと良く似た美形の男子がやって来た。

「うわっ!シオンの男バージョン!?」
「カッコいい!?」

「私を置いていくな。シオンよ!元気そうで良なによりだ!」

そう言う家族に、シオンは今にも窒息しそうで死にそうになっていた!?偉大なる母なる胸で死ねるのなら本望であろう!

『ふざけるな!これで死んだらギャグ以外のなにものではないわ!』

「ぷはっー!死ぬかと思った!」

なんとか母親の胸から脱出すると、シオンは家族を前にただ一言いうのだった。


「ただいま!」

ああ、この一声でこの数ヶ月の寂しさが救われるようであった。

「ううぅ………」

ぶわっーーーーー!!!!!

目から大量の涙を流すマジ泣きするシオンの家族であった。そしてシオンを囲み、再会に涙する姿を見守るメイドさんと執事達も暖かい涙を流すのでした。

「…………感動の再会ですね」
(ホロリッ)
スフィアもじんわりと感動しているが、スピカだけは、いつもやらかしているシオンに素直に喜べないのであった。

ともあれ、水を指す事もなく暖かい目で見守るのだった。





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