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至福のひととき
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あれ?カイル…………?」
シオンが驚き、声を上げた。
「久しぶり!元気にしてた?」
駆け寄るシオンに、いつも冷静なクール気取りのカイルの頬が緩んだ。
「ああ、俺は元気だ。それよりシオン嬢の方が大変だったようだな?」
カイルはシオンの頭を無意識で撫でた。
「あう………子供扱いしないでよ~!」
シオンとカイルは幼い頃からの知り合いである。母親の親戚に当たるカイルとは、時々、屋敷に来ていたし、パーティーでもお茶会でも隣国ではあったが、それなりに顔を合わせていた。
ガシッ!
シオンを撫でる手を何者かが掴んだ。
「困りますね~?嫁入り前の大切な我が家の天使に触れるなんて?」
ギリギリッ!?
シオンの兄クオンがカイルの腕を強く握った。
「………それはすまなかったな?しかし可憐な天使が目の前に居れば、触れたいと思うのは必定だろう?ああ貴様は触れる事も出来ないチキンだったか?」
実はクオンとカイルは同い年であり、色々と張り合ってきた経緯があった。母親経由で、向こうの息子が馬に乗れると聞けば、自分も乗れるよう訓練し、勉学で優秀な成績を出したと聞けば自分もと、良い意味で張り合ってきた二人である。
「ちょっと!二人ともいい加減にして!天使なんて恥ずかしいから人前で言わないでよ!」
顔を赤くして恥じらうシオンを見た二人はときめいてしまった。魅了されたのだ!
…………重傷である。
「兎に角!カイルはお客様なんだから客室……いえ、食堂にお通しして!私は料理を持っていくから!」
シオンはそう言って厨房の方へ駆けていった。
「可愛いなぁ~」
「ああ、そうだなぁ~」
はっ!?
我に返ったカイルはクオンに詰め寄った。
「それよりどういう事だ!アクエリアス家はシオンをメイドの様に扱っているのか!?」
貴族の令嬢は料理などしない。故に、シオンを不当に扱っているのではと思ったのだ。
「バカな事を言うな!料理はシオンの趣味だ!シオンの料理は王国一なんだぞ!レシピなど金貨で取引されるくらいにな!」
「なっ!?そうなのか?」
「これは驚きましたね。まさか王妃教育を受けていた人物の趣味が料理とは……」
カイルの側近も驚き呟いた。
そして二人が熱くなる前にセバスがフォローを入れた。
「荷物はこちらのメイドが御部屋へお持ち致します。カイル様一行は食堂へどうぞ。それにしても運が良いですなぁ?」
セバスの言葉に首を傾げた。
「セバス殿、何が運が良かったのだ?シオンに会えたことか?」
「ほっほっほっ、そのシオンお嬢様の【手料理】を食べられる事ですよ!」
!?
「はっ!?シオン嬢の手料理…………」
「おい!セバス!こんなヤツにシオンの手料理など100年早いだろう!?」
突然の御褒美にうっとりするカイルと激情するクオンをなだめながら食堂へと向かった。
食堂には、龍王様を始めデルタ公爵とレイラ婦人、守護精霊スフィアなど主要なメンバーが揃っていた。
「旦那様、お食事前に失礼致します。ちょうど帝国の皇太子カイル様が御到着されまして、シオンお嬢様がぜひお食事にと言われたのでお連れ致しました」
ここでもシオンが言ったといえば公爵も反論しないだろうとセバスは気を使ったのだった。
「うむ、カイル殿下お久しぶりですな。長旅お疲れ様です。さぁ、お着席下さい」
「遅れてしまい申し訳ありません。失礼致します」
そう言うとカイルと側近の二人は長いテーブルに着席した。護衛の騎士達は入口で待機している。
「龍王殿、こちらは我が妻レイラの親類に当たる隣国グランロード帝国の皇太子カイル・グランロード殿です」
龍王様はじっとカイルを見据えた。
「龍王………こちらの御仁が?」
人化している龍王様に見られながらカイルは気を引き締めた。
「ふむ、レイラ婦人の縁者ともあってなかなか骨のある者みたいじゃのぅ?」
「恐れいります。まだ若輩者の故に、未熟ではありますが、よろしくお願い致します」
敬意を払い深く御辞儀をするカイルだった。
「もうすぐシオンが至高にして究極の手料理を運んでくる前に、自己紹介といこうか」
こうしてシオンが料理を持ってくるまでに各人物は自己紹介をしたのだった。
「は、ははは………まさか守護精霊様に龍王様、エルフに獣人族まで多種多様ですね」
渇いた笑い声を出しながら側近の青年は脂汗を流していた。帝国の皇太子以上の人物が揃っているのだから。
バンッ!
「お待たせしました!昼御飯をお持ちしました~」
シオンがカートを引きながら料理を持ってきた。量が多いので後ろにメイドも続く。
「おおっ!待っておったぞ!うむ、芳しい香りじゃな?」
「ちょっと匂いが強いけど味は保証するよ!今日は特製野菜カレーだよ♪」
「カレー?」
「うん!まだまだ香辛料って高くて量が少ないけど、エルフが森で香辛料を育ててたの。それをダンジョンで量産したのよ♪」
そう、香辛料の乏しい異世界ではカレーのような料理は少ないのだ。
ちなみに、お米は意外とメジャーだったりする。一部、帝国の地方では米文化があるのだ。
「ちょっと辛いけど、皆で食べましょう!」
「「「この世の全ての食材に感謝して、いただきます!」」」
パクリッ!
クワッ!!!!
ガツガツッ!ガツガツッ!!!!
「美味しいです!」
「うまい!うまいとしかでてこん!」
「う~ん、舌に乗せて味わってみると辛さが後からきて………ごっくん」
皆、一心不乱に食べている。
「水のお代わり、テーブルにあるからね。果汁水もあるよ~」
ゴクゴクッ!
「うん!ただの水がより美味しく感じるな!」
「ああ、こんな料理があったとは………」
感動している。
「匂いが残るからお茶会やパーティーには不向きだけれど、身内の食事会ならちょうど良いかな?」
「シオン嬢よ!お代わりをお願いしたい!」
皆、お代わりをしてきました。側に控えていたメイドさんがご飯とカレーをよそいます。
「シオン嬢よ、ダンジョンで量産と言ったが、今後は我々にも販売して貰えるのだろうか?」
「もちろん良いよ♪」
「こらこら、食事中に仕事の話は無しにしなさい。後からゆっくりすれば良いわ」
お母様の一言に、カイルは………いや、食堂にいた一同はシオンのカレーを味わうのでした。
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シオンが驚き、声を上げた。
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「ああ、俺は元気だ。それよりシオン嬢の方が大変だったようだな?」
カイルはシオンの頭を無意識で撫でた。
「あう………子供扱いしないでよ~!」
シオンとカイルは幼い頃からの知り合いである。母親の親戚に当たるカイルとは、時々、屋敷に来ていたし、パーティーでもお茶会でも隣国ではあったが、それなりに顔を合わせていた。
ガシッ!
シオンを撫でる手を何者かが掴んだ。
「困りますね~?嫁入り前の大切な我が家の天使に触れるなんて?」
ギリギリッ!?
シオンの兄クオンがカイルの腕を強く握った。
「………それはすまなかったな?しかし可憐な天使が目の前に居れば、触れたいと思うのは必定だろう?ああ貴様は触れる事も出来ないチキンだったか?」
実はクオンとカイルは同い年であり、色々と張り合ってきた経緯があった。母親経由で、向こうの息子が馬に乗れると聞けば、自分も乗れるよう訓練し、勉学で優秀な成績を出したと聞けば自分もと、良い意味で張り合ってきた二人である。
「ちょっと!二人ともいい加減にして!天使なんて恥ずかしいから人前で言わないでよ!」
顔を赤くして恥じらうシオンを見た二人はときめいてしまった。魅了されたのだ!
…………重傷である。
「兎に角!カイルはお客様なんだから客室……いえ、食堂にお通しして!私は料理を持っていくから!」
シオンはそう言って厨房の方へ駆けていった。
「可愛いなぁ~」
「ああ、そうだなぁ~」
はっ!?
我に返ったカイルはクオンに詰め寄った。
「それよりどういう事だ!アクエリアス家はシオンをメイドの様に扱っているのか!?」
貴族の令嬢は料理などしない。故に、シオンを不当に扱っているのではと思ったのだ。
「バカな事を言うな!料理はシオンの趣味だ!シオンの料理は王国一なんだぞ!レシピなど金貨で取引されるくらいにな!」
「なっ!?そうなのか?」
「これは驚きましたね。まさか王妃教育を受けていた人物の趣味が料理とは……」
カイルの側近も驚き呟いた。
そして二人が熱くなる前にセバスがフォローを入れた。
「荷物はこちらのメイドが御部屋へお持ち致します。カイル様一行は食堂へどうぞ。それにしても運が良いですなぁ?」
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「セバス殿、何が運が良かったのだ?シオンに会えたことか?」
「ほっほっほっ、そのシオンお嬢様の【手料理】を食べられる事ですよ!」
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「おい!セバス!こんなヤツにシオンの手料理など100年早いだろう!?」
突然の御褒美にうっとりするカイルと激情するクオンをなだめながら食堂へと向かった。
食堂には、龍王様を始めデルタ公爵とレイラ婦人、守護精霊スフィアなど主要なメンバーが揃っていた。
「旦那様、お食事前に失礼致します。ちょうど帝国の皇太子カイル様が御到着されまして、シオンお嬢様がぜひお食事にと言われたのでお連れ致しました」
ここでもシオンが言ったといえば公爵も反論しないだろうとセバスは気を使ったのだった。
「うむ、カイル殿下お久しぶりですな。長旅お疲れ様です。さぁ、お着席下さい」
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そう言うとカイルと側近の二人は長いテーブルに着席した。護衛の騎士達は入口で待機している。
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龍王様はじっとカイルを見据えた。
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「もうすぐシオンが至高にして究極の手料理を運んでくる前に、自己紹介といこうか」
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「は、ははは………まさか守護精霊様に龍王様、エルフに獣人族まで多種多様ですね」
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シオンがカートを引きながら料理を持ってきた。量が多いので後ろにメイドも続く。
「おおっ!待っておったぞ!うむ、芳しい香りじゃな?」
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「カレー?」
「うん!まだまだ香辛料って高くて量が少ないけど、エルフが森で香辛料を育ててたの。それをダンジョンで量産したのよ♪」
そう、香辛料の乏しい異世界ではカレーのような料理は少ないのだ。
ちなみに、お米は意外とメジャーだったりする。一部、帝国の地方では米文化があるのだ。
「ちょっと辛いけど、皆で食べましょう!」
「「「この世の全ての食材に感謝して、いただきます!」」」
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ガツガツッ!ガツガツッ!!!!
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「うまい!うまいとしかでてこん!」
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皆、一心不乱に食べている。
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ゴクゴクッ!
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「ああ、こんな料理があったとは………」
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皆、お代わりをしてきました。側に控えていたメイドさんがご飯とカレーをよそいます。
「シオン嬢よ、ダンジョンで量産と言ったが、今後は我々にも販売して貰えるのだろうか?」
「もちろん良いよ♪」
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お母様の一言に、カイルは………いや、食堂にいた一同はシオンのカレーを味わうのでした。
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