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第4章:動乱の予感!
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
???
「シオンが亜人国に向かってすでに3日は経ったかな?もう数日で戻って来るわね。でも亜人を連れて来ると戦争が起きる………」
謎の人物は想いに耽った。
「あの時はたった1人の亜人を連れてきただけでエルネシア王国全土を巻き込む戦争になったけど………ダンジョンが出来たおかげでどうなるかわからなくなった。さて、どう転んでも対処出来るよう動いておきましょうか」
そう呟き、ダン街へ向かうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれから急な話ではあったので、更にもう2日かけて技術者でシルフィード領に来ても良い方々を募り、その間は亜人国の街中を見て廻った。
「この亜人国の首都トネリコではお城の様に大きな樹があっちこっちにあって、その樹に住居を構えているのよ♪」
上機嫌でレインの手を引いて街を案内するシルクちゃん!
「変われば変わるもんだねぇ~」
その姿に少し呆れ気味に呟いた。
『マスター、無理無いかも知れません。レイン様はイケメンで紳士的な対応をする方ですから』
「本人にその気はないんだけどねー?」
まぁ、お兄様が後から女の子に刺されても知らないけどね!
・
・
・
・
・
・
こうして日にちは過ぎて行き、帰る日になりました。
お城の大きな中庭では多くいるドワーフやエルフ、獣人達のお見送りと転移魔法を一目見ようと街中の亜人達が押し掛けてきた。
ちなみに、ドワーフだけではなくエルフと獣人の方々も一緒に来て貰う事になった。
これについては少し亜人国側から提案があり、技術者としてドワーフが多く来て貰うのは当然として、弓の名手であり、魔法の使い手のエルフの方々は、装飾品に関してはドワーフを越える物が作れるというのと、魔境の森での狩りにエルフ独自の弓の使い方など教えて貰う為だ。
クックックッ!クロウの奴を鍛えて貰おう!
さて、そうなると獣人族の方々は浮いてしまう事になる。同じ亜人国の民ではあるが、三頭政治を引いている上で、重要案件では各種族を関わらせる事で各種族のバランスを取っていたのである。
シルフィード側としてはありがたい事で良いことづくめなんだよね。いかんせん人手不足が深刻化しているので、纏まった人数の移住……と、言うか出稼ぎは大変嬉しいのである。
「それでは、お世話になりました。時間は掛かりますが定期的に連絡も送りますね」
「はい、ありがとうございます。ただ、今回は私の使い魔も向こうへ送りますので私もシルフィード領の事が分かります」
「使い魔ですか?」
首を傾げて尋ねた。
「ええ、本来はなかなかこの場から動けない私に代わって、領地の見廻りと戦争時の偵察などに利用しています」
するとエルメスさんの方に【白いカラス】が止まった。
「この子が視たもの聞いた物は、私に共有されます。なので私もシルフィード領を楽しみにしております」
にこやかに微笑むエルメスさんに、長年統治していた為政者の姿を見た気がした。
「さぁ!皆さん!お別れは済みましたか?行きは一瞬ですが、戻って来るには時間が掛かりますよー?忘れ物はないですかー?」
周りを見渡して、確認をする。
「エルメスさん、1か月以内にはお約束の契約料金をシルフィーに運ばせますね!」
「ええ、お願い致します。お恥ずかしいですが、亜人国には余りの余裕がないものですから」
エルメスさんとしっかりと握手をしてお別れをしました。
「あの~、本当に来るのかな?」
「もちろんよ♪」
レインにしがみついているシルクちゃんに聞いた。実は決闘のお願い事に、あろうことかレインはシルクちゃんにシルフィード領への同行を希望したのだ。お兄様としては恐らく友好の証しとして位の高い人の同行者をお願いしたつもりなのだろう。
そうなるとシルクちゃんはピッタシ何だよね。エルメス議長の娘であり、歌人でもあるシルクちゃんの価値は高い!………人質としてもね。
それがどう伝わったのか、お兄様に告白されて婚約者としてシルフィード領に来るような話になっているのはどうしてだろうか?
意外に外堀から埋めて本当にお兄様と結婚するのかしら?エルメスさんにはしっかりと伝えておいたけど、当のエルメスさんもシルクちゃんには、しっかりとお兄様を落としてこいと乗り気な感じである。
確かに友好国として、1番手っ取り早いのは結婚させる事だしね。現時点ではシルフィード領はまだまだ発展していく有効株だからより強い絆を求めているのかも知れない。
「では行きますよ~!」
私のかけ声と一緒に中庭に、大型の魔法陣が展開され周りがざわめいた。
「では、失礼します。また会いに来ますね!」
「シルクの事をよろしくお願い致します!」
「お母様、お元気で!」
眩しい光と共に、光が収まるとあれだけいた人々や荷物が消えていて、何もない中庭だけになっていた。
「疑っていた訳では無いけれど、この目で見ても信じられないわね……」
まったく嵐のような子供達だった。
「まったくですな。降って沸いて出た、良い縁でしたわ!」
わっはっはっはっと笑うビャクヤ族長だったが、急に真剣な顔付きに変わった。
「あの子供達は信用出来るだろうが、その周りの者達がどうかは別物だ。エルメス議長、わかっていると思うが使い魔で仲間達の待遇を見極めろよ?」
「ええ、わかっています。もし彼等が我々を奴隷扱いするのであれば、すぐに船を出して助けに行きますよ!」
亜人達は人族に虐げられてきた歴史がある。種族同士の絆は強い。事前に待遇が悪い場合は海沿いに逃げる手筈になっているのだ。
「心配するのは悪くないが、信用することも大事じゃぞ?」
ドワーフのガルム族長が二人の会話に割って入った。
「わかっています。娘のシルクもなついた子達ですからね」
「まぁ、子を持つ親と言うのは心配してなんぼじゃからのぅ」
こうして三人はしばらく、消えた仲間の事を思いながらその場にただずむのだった。
・
・
・
・
・
・
・
フワッン!
淡い光と共に景色が変わった。
「ふぅ、着いたね!」
ざわざわ!ざわざわ!ざわざわ!
「ほ、本当に場所が変わった!?」
「何処なんだ?」
「凄い体験をしたよ!?」
うん、皆さんも浮き足だっているね!まぁ、初めてだし当然かな?
「はーい!皆さん!移動しますよー!」
シオンはしばらくはツアーの添乗員さん見たいに小さな旗を持ち誘導を始めた。
「ここは各地から大きな荷物を運ぶ為に作られたダンジョンの部屋です。あちらから外に出ますよー!」
シオン達は外に出た所で、またまた亜人さん達が驚いた。本当に知らない土地に一瞬でやってきたのだと認識したのだ。しかも、ダンジョンの入口は【神殿】の様な作りになっていて意匠のデザインになっている事も技術者達を驚かせた。
そして発展途上のダンマチ(ダンジョン街)を見ても驚いた。まだ作り掛けの街?村?ではあったが、すでに石畳が出来ており、ダン街を作るに当たって最初から【計画都市】として街の構造を考えて作っている異世界では珍しいパターンなのだ。それは急な発展でシルフィード街が拡張を余儀なくされて、森の反対側の城壁を壊し拡張工事をしているため、ダンマチは最初から計画性を持って街を作る事になったのだ。
「これは………作り掛けとはいえ、既に石畳が出来ており、交通の街道も出来ているのか!?」
「なるほど、先に道を整える事で物資の運搬をやり易くしているのか」
「しかし街道の方は石畳が続いているようだ。何処まで続いているんだ?」
一目みて技術者達が議論を始めた。うん!流石です!
「これからシルフィード領の首都?で良いのかな?ここから30分ほど歩くと大きな街に着くのでそこまでお願いします!大丈夫ですか?」
「30分ほどなら大丈夫だ!しかも道も整備してあるからな!」
100人程の団体は移動を開始した。歩きながらシオンはこれからのことについて話した。
「今後はこの作り掛けのダン街に住んで貰うか、これから向かう街で住んで貰うか決めてもらいます!」
「選べるの!?」
驚いたシルクちゃんに答えた。
「うん!ちょっと住居の問題でしばらくはプレハブかちょっとした寮にバラバラで住んで貰うけど、ちゃんとした住居が出来たら職場に近いダン街か、生活しやすい本街か選んで貰います!」
おお!!!
皆さん歓喜の声を上げました。
「ワシはダン街かのう?仕事場にある所の方が落ち着くわい」
「私は首都を見てから決めようかな~?」
亜人の皆さんも期待しています!
しばらく歩いていくと住み慣れた街へ(元は村)着きました!
すると入口でお出迎えがありました。
「お待ちしていました。お疲れだと思いますが街の広場へ来て下さい」
「あれミリア?どうしたの?」
「シオンが亜人さん達を連れてくるからって準備してたのよ?それと領主様が慌ててたわよ?」
「パパが?なんで?」
首を傾げて答えるシオンにミリアは頭を抱えた。
「亜人国に技術者の斡旋交渉に行って上手くいくかもわからないのに100人もの人達を連れて来たからよ!ただでさえ住居不足だというのに!」
!?
そうだった!どうしよう!?
あわわわ!!!??
戸惑うシオンにミリアはウインクをした。
「だから他の作業を中断してここ1週間は住居の建設をマッハでやっていたのよ♪」
「えっ!じゃぁ!」
「少し足りないけど100人分の住居は何とか出来たわよ!」
「良かった~!」
ミリアはビシッとレインを指差して言った。
「レイン君もしっかり連絡はしなさいね!本当に大変だったんだから!」
「すまなかった。でも報告はしていたろう?」
はて?亜人国にいる私達にどうやって報告をしたのだろうか?
「お兄様?どうやって連絡を取ったのですか?」
「おいおい、シオン?連絡する手段はあるだろう?亜人国から手紙を書いて転移させたんだよ。毎日報告する事が条件だったからね」
ああっ!?
ポンッと手を打って納得したシオンだった。
広場に着くと、普段は大勢の人々で行き交う場所が交通規制が掛かっており、空いていた。そして広場を囲む様に人だかりが出来てましたよ!?
「ここで何が始まるんだ?」
亜人国の皆さんは見世物になっているようで居心地が悪い様だった。そこへ広場の噴水の前に作られた台に乗ってパパンが挨拶をしたの!
「亜人国の皆様!遠い所から遠路はるばるお越し頂きありがとうございます!この新しい小さな国の領主でカイン・シルフィードと申します!これから皆様の技術やスキルなど思う存分にふるって貰いますのでよろしくお願い致します!」
亜人国の皆さんもお互いに顔を見合せ、少し戸惑っているようでした。
「そしてシルフィード領に住む国民に告げる!この度、正式に亜人連合国と国交を結ぶ事になった!ここに来られた亜人の皆さんは、我々には持っていない技術を持っておられる方々ばかりだ!もし我が国民で亜人国の方々に無礼を働いた者は厳罰が待っていると知れ!国交問題に発展した場合は極刑もあり得る!」
パパンの演説に辺りが静まりかえった。
「昔から住んでいる村人は大丈夫だろうが、最近移住してきた人々は忘れないで欲しい。ここにおられる亜人国の皆様は、遠い遠方の地からわざわざ【お願い】してシルフィード領に来て貰っている!逆にこちらが教えを乞う立場なのだ。変に媚びろとはいわん!ただ教えを乞う立場から敬う事を忘れるな!我がシルフィード領では【差別】は許さん!全ての種族は同列にある!」
パパンの演説が終わると民衆は静まりかえったままだったが、亜人国の皆さんが号泣していた。
「こんな国があったとは!?」
「ここの領主様になら命を預けても良い!」
「すぐにエルメス議長に教えたい!」
「来て良かった。全身全霊で物作りを教えます!」
感動してむせび泣く亜人達に人々も拍手で迎えた。こうして全てでは無いけど亜人国の皆さんは本当の意味でシルフィード領へ迎えられたのでした。
…………そして、亜人国と国交を結んだ事は密偵さん達から帝国、神国、エルネシア王都に伝えられて周辺諸国の緊張が高まったのは言うまでもない………
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「はい、恒例になりましたが、これにて聖歌大戦は終了となります……」
シオン
「ゴット・ブロー!!!!」
ガッキーーーーン!
シオン
「なっ!?」
愚者の声
「ふはははっ!!!貴様が殴り掛かってくる事などわかっておったわ!」
シオン
「小癪な!小説は終わらせないわ!」
愚者の声
「ふっ!貴様にこの盾は破れん!」
シオン
「光に覆われし漆黒よ。夜を纏いし爆炎よ。紅魔の名のもとに原初の崩壊を顕現す。終焉の王国の地に、力の根源を隠匿せし者。我が前に統べよ!エクスプロージョン!」
ドッカーーーーン!
パッリーーーン!!!!
愚者の声
「バカな!?」
ぎゃぁぁぁぁあああ!!!!!
シオン
「ふっ!悪は滅びましたわ!」
ま、まだまだ続きま…す………ガクッ
???
「シオンが亜人国に向かってすでに3日は経ったかな?もう数日で戻って来るわね。でも亜人を連れて来ると戦争が起きる………」
謎の人物は想いに耽った。
「あの時はたった1人の亜人を連れてきただけでエルネシア王国全土を巻き込む戦争になったけど………ダンジョンが出来たおかげでどうなるかわからなくなった。さて、どう転んでも対処出来るよう動いておきましょうか」
そう呟き、ダン街へ向かうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれから急な話ではあったので、更にもう2日かけて技術者でシルフィード領に来ても良い方々を募り、その間は亜人国の街中を見て廻った。
「この亜人国の首都トネリコではお城の様に大きな樹があっちこっちにあって、その樹に住居を構えているのよ♪」
上機嫌でレインの手を引いて街を案内するシルクちゃん!
「変われば変わるもんだねぇ~」
その姿に少し呆れ気味に呟いた。
『マスター、無理無いかも知れません。レイン様はイケメンで紳士的な対応をする方ですから』
「本人にその気はないんだけどねー?」
まぁ、お兄様が後から女の子に刺されても知らないけどね!
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こうして日にちは過ぎて行き、帰る日になりました。
お城の大きな中庭では多くいるドワーフやエルフ、獣人達のお見送りと転移魔法を一目見ようと街中の亜人達が押し掛けてきた。
ちなみに、ドワーフだけではなくエルフと獣人の方々も一緒に来て貰う事になった。
これについては少し亜人国側から提案があり、技術者としてドワーフが多く来て貰うのは当然として、弓の名手であり、魔法の使い手のエルフの方々は、装飾品に関してはドワーフを越える物が作れるというのと、魔境の森での狩りにエルフ独自の弓の使い方など教えて貰う為だ。
クックックッ!クロウの奴を鍛えて貰おう!
さて、そうなると獣人族の方々は浮いてしまう事になる。同じ亜人国の民ではあるが、三頭政治を引いている上で、重要案件では各種族を関わらせる事で各種族のバランスを取っていたのである。
シルフィード側としてはありがたい事で良いことづくめなんだよね。いかんせん人手不足が深刻化しているので、纏まった人数の移住……と、言うか出稼ぎは大変嬉しいのである。
「それでは、お世話になりました。時間は掛かりますが定期的に連絡も送りますね」
「はい、ありがとうございます。ただ、今回は私の使い魔も向こうへ送りますので私もシルフィード領の事が分かります」
「使い魔ですか?」
首を傾げて尋ねた。
「ええ、本来はなかなかこの場から動けない私に代わって、領地の見廻りと戦争時の偵察などに利用しています」
するとエルメスさんの方に【白いカラス】が止まった。
「この子が視たもの聞いた物は、私に共有されます。なので私もシルフィード領を楽しみにしております」
にこやかに微笑むエルメスさんに、長年統治していた為政者の姿を見た気がした。
「さぁ!皆さん!お別れは済みましたか?行きは一瞬ですが、戻って来るには時間が掛かりますよー?忘れ物はないですかー?」
周りを見渡して、確認をする。
「エルメスさん、1か月以内にはお約束の契約料金をシルフィーに運ばせますね!」
「ええ、お願い致します。お恥ずかしいですが、亜人国には余りの余裕がないものですから」
エルメスさんとしっかりと握手をしてお別れをしました。
「あの~、本当に来るのかな?」
「もちろんよ♪」
レインにしがみついているシルクちゃんに聞いた。実は決闘のお願い事に、あろうことかレインはシルクちゃんにシルフィード領への同行を希望したのだ。お兄様としては恐らく友好の証しとして位の高い人の同行者をお願いしたつもりなのだろう。
そうなるとシルクちゃんはピッタシ何だよね。エルメス議長の娘であり、歌人でもあるシルクちゃんの価値は高い!………人質としてもね。
それがどう伝わったのか、お兄様に告白されて婚約者としてシルフィード領に来るような話になっているのはどうしてだろうか?
意外に外堀から埋めて本当にお兄様と結婚するのかしら?エルメスさんにはしっかりと伝えておいたけど、当のエルメスさんもシルクちゃんには、しっかりとお兄様を落としてこいと乗り気な感じである。
確かに友好国として、1番手っ取り早いのは結婚させる事だしね。現時点ではシルフィード領はまだまだ発展していく有効株だからより強い絆を求めているのかも知れない。
「では行きますよ~!」
私のかけ声と一緒に中庭に、大型の魔法陣が展開され周りがざわめいた。
「では、失礼します。また会いに来ますね!」
「シルクの事をよろしくお願い致します!」
「お母様、お元気で!」
眩しい光と共に、光が収まるとあれだけいた人々や荷物が消えていて、何もない中庭だけになっていた。
「疑っていた訳では無いけれど、この目で見ても信じられないわね……」
まったく嵐のような子供達だった。
「まったくですな。降って沸いて出た、良い縁でしたわ!」
わっはっはっはっと笑うビャクヤ族長だったが、急に真剣な顔付きに変わった。
「あの子供達は信用出来るだろうが、その周りの者達がどうかは別物だ。エルメス議長、わかっていると思うが使い魔で仲間達の待遇を見極めろよ?」
「ええ、わかっています。もし彼等が我々を奴隷扱いするのであれば、すぐに船を出して助けに行きますよ!」
亜人達は人族に虐げられてきた歴史がある。種族同士の絆は強い。事前に待遇が悪い場合は海沿いに逃げる手筈になっているのだ。
「心配するのは悪くないが、信用することも大事じゃぞ?」
ドワーフのガルム族長が二人の会話に割って入った。
「わかっています。娘のシルクもなついた子達ですからね」
「まぁ、子を持つ親と言うのは心配してなんぼじゃからのぅ」
こうして三人はしばらく、消えた仲間の事を思いながらその場にただずむのだった。
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フワッン!
淡い光と共に景色が変わった。
「ふぅ、着いたね!」
ざわざわ!ざわざわ!ざわざわ!
「ほ、本当に場所が変わった!?」
「何処なんだ?」
「凄い体験をしたよ!?」
うん、皆さんも浮き足だっているね!まぁ、初めてだし当然かな?
「はーい!皆さん!移動しますよー!」
シオンはしばらくはツアーの添乗員さん見たいに小さな旗を持ち誘導を始めた。
「ここは各地から大きな荷物を運ぶ為に作られたダンジョンの部屋です。あちらから外に出ますよー!」
シオン達は外に出た所で、またまた亜人さん達が驚いた。本当に知らない土地に一瞬でやってきたのだと認識したのだ。しかも、ダンジョンの入口は【神殿】の様な作りになっていて意匠のデザインになっている事も技術者達を驚かせた。
そして発展途上のダンマチ(ダンジョン街)を見ても驚いた。まだ作り掛けの街?村?ではあったが、すでに石畳が出来ており、ダン街を作るに当たって最初から【計画都市】として街の構造を考えて作っている異世界では珍しいパターンなのだ。それは急な発展でシルフィード街が拡張を余儀なくされて、森の反対側の城壁を壊し拡張工事をしているため、ダンマチは最初から計画性を持って街を作る事になったのだ。
「これは………作り掛けとはいえ、既に石畳が出来ており、交通の街道も出来ているのか!?」
「なるほど、先に道を整える事で物資の運搬をやり易くしているのか」
「しかし街道の方は石畳が続いているようだ。何処まで続いているんだ?」
一目みて技術者達が議論を始めた。うん!流石です!
「これからシルフィード領の首都?で良いのかな?ここから30分ほど歩くと大きな街に着くのでそこまでお願いします!大丈夫ですか?」
「30分ほどなら大丈夫だ!しかも道も整備してあるからな!」
100人程の団体は移動を開始した。歩きながらシオンはこれからのことについて話した。
「今後はこの作り掛けのダン街に住んで貰うか、これから向かう街で住んで貰うか決めてもらいます!」
「選べるの!?」
驚いたシルクちゃんに答えた。
「うん!ちょっと住居の問題でしばらくはプレハブかちょっとした寮にバラバラで住んで貰うけど、ちゃんとした住居が出来たら職場に近いダン街か、生活しやすい本街か選んで貰います!」
おお!!!
皆さん歓喜の声を上げました。
「ワシはダン街かのう?仕事場にある所の方が落ち着くわい」
「私は首都を見てから決めようかな~?」
亜人の皆さんも期待しています!
しばらく歩いていくと住み慣れた街へ(元は村)着きました!
すると入口でお出迎えがありました。
「お待ちしていました。お疲れだと思いますが街の広場へ来て下さい」
「あれミリア?どうしたの?」
「シオンが亜人さん達を連れてくるからって準備してたのよ?それと領主様が慌ててたわよ?」
「パパが?なんで?」
首を傾げて答えるシオンにミリアは頭を抱えた。
「亜人国に技術者の斡旋交渉に行って上手くいくかもわからないのに100人もの人達を連れて来たからよ!ただでさえ住居不足だというのに!」
!?
そうだった!どうしよう!?
あわわわ!!!??
戸惑うシオンにミリアはウインクをした。
「だから他の作業を中断してここ1週間は住居の建設をマッハでやっていたのよ♪」
「えっ!じゃぁ!」
「少し足りないけど100人分の住居は何とか出来たわよ!」
「良かった~!」
ミリアはビシッとレインを指差して言った。
「レイン君もしっかり連絡はしなさいね!本当に大変だったんだから!」
「すまなかった。でも報告はしていたろう?」
はて?亜人国にいる私達にどうやって報告をしたのだろうか?
「お兄様?どうやって連絡を取ったのですか?」
「おいおい、シオン?連絡する手段はあるだろう?亜人国から手紙を書いて転移させたんだよ。毎日報告する事が条件だったからね」
ああっ!?
ポンッと手を打って納得したシオンだった。
広場に着くと、普段は大勢の人々で行き交う場所が交通規制が掛かっており、空いていた。そして広場を囲む様に人だかりが出来てましたよ!?
「ここで何が始まるんだ?」
亜人国の皆さんは見世物になっているようで居心地が悪い様だった。そこへ広場の噴水の前に作られた台に乗ってパパンが挨拶をしたの!
「亜人国の皆様!遠い所から遠路はるばるお越し頂きありがとうございます!この新しい小さな国の領主でカイン・シルフィードと申します!これから皆様の技術やスキルなど思う存分にふるって貰いますのでよろしくお願い致します!」
亜人国の皆さんもお互いに顔を見合せ、少し戸惑っているようでした。
「そしてシルフィード領に住む国民に告げる!この度、正式に亜人連合国と国交を結ぶ事になった!ここに来られた亜人の皆さんは、我々には持っていない技術を持っておられる方々ばかりだ!もし我が国民で亜人国の方々に無礼を働いた者は厳罰が待っていると知れ!国交問題に発展した場合は極刑もあり得る!」
パパンの演説に辺りが静まりかえった。
「昔から住んでいる村人は大丈夫だろうが、最近移住してきた人々は忘れないで欲しい。ここにおられる亜人国の皆様は、遠い遠方の地からわざわざ【お願い】してシルフィード領に来て貰っている!逆にこちらが教えを乞う立場なのだ。変に媚びろとはいわん!ただ教えを乞う立場から敬う事を忘れるな!我がシルフィード領では【差別】は許さん!全ての種族は同列にある!」
パパンの演説が終わると民衆は静まりかえったままだったが、亜人国の皆さんが号泣していた。
「こんな国があったとは!?」
「ここの領主様になら命を預けても良い!」
「すぐにエルメス議長に教えたい!」
「来て良かった。全身全霊で物作りを教えます!」
感動してむせび泣く亜人達に人々も拍手で迎えた。こうして全てでは無いけど亜人国の皆さんは本当の意味でシルフィード領へ迎えられたのでした。
…………そして、亜人国と国交を結んだ事は密偵さん達から帝国、神国、エルネシア王都に伝えられて周辺諸国の緊張が高まったのは言うまでもない………
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「はい、恒例になりましたが、これにて聖歌大戦は終了となります……」
シオン
「ゴット・ブロー!!!!」
ガッキーーーーン!
シオン
「なっ!?」
愚者の声
「ふはははっ!!!貴様が殴り掛かってくる事などわかっておったわ!」
シオン
「小癪な!小説は終わらせないわ!」
愚者の声
「ふっ!貴様にこの盾は破れん!」
シオン
「光に覆われし漆黒よ。夜を纏いし爆炎よ。紅魔の名のもとに原初の崩壊を顕現す。終焉の王国の地に、力の根源を隠匿せし者。我が前に統べよ!エクスプロージョン!」
ドッカーーーーン!
パッリーーーン!!!!
愚者の声
「バカな!?」
ぎゃぁぁぁぁあああ!!!!!
シオン
「ふっ!悪は滅びましたわ!」
ま、まだまだ続きま…す………ガクッ
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
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