☆レグルス戦記☆

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予想外な動き

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次の日の明朝──

進軍する時間になったが、ジャンヌは傭兵団の団長も交えてテントで会議をして動かなかった。

「どうしたんだ?」

レグルスは雑用を頼まれていたため、呼ばれていなかった。

「あっ!レグルスさん、ちょっと来て下さい!」

治癒師のミリアがやってきた。

「ミリア、おはよう」
「はい♪おはようございます。って、和やかに挨拶している場合じゃないんです!団長がお呼びです!」

なんだろう?

「問題でも起こったのかな?」
「はい!敵が討って出ているんです!」

!?

レグルスは急いで幕僚のテントに向かった。

「失礼します!」
「来たな。レグルス、お前の意見も聞きたいと思って呼んだんだ」

テントには初めて会う傭兵団の団長や指揮官が居た。

「敵が討って出たと伺いましたが?」
「そうだな。状況整理の為にもう一度話そう。蛮族達は砦の有利性を捨てて、砦前に布陣して平地での決戦を狙っている。砦の城門も開いているそうだ」

「敵もバカじゃないって事ですか」

レグルスの言葉に傭兵団の団長がドンッとテーブルを叩いた。

「ああ、そうだな!今までの蛮族では考えられない行動だ。そもそもヤツらは個の武力は強いが、集団戦闘は素人同然だった。集団行動でも小隊、中隊、大隊に別れて勝手に戦うと言うスタイルだったはずだった」

忌々しいと顔を歪めて毒付いた。

「そもそも、蛮族達を抑え込む国境砦が落とされた時点で今までの蛮族とは違うと認識を改めるべきだったな。恐らくは優れた指導者でも現れたのだろう」

冷静にジャンヌは言った。そして、レグルスにも意見を尋ねた。

「お前はどうすべきだと思う?」
「正直、数で劣っているので、真っ向勝負では分が悪いです。このまま戦って勝てても被害が大きいでしょう」

腕を組みながらレグルスは言葉を続けた。

「正攻法で行くなら、メビウスさんの魔法で前線を崩して、突撃するしかないですね。それか、策を要するなら──こちらはこの森で布陣して敵が攻めてくるのを待つか………」

レグルスの言葉に傭兵団の団長が聞き返した。

「おい、その策と言うのを詳しく説明しろ。俺達もお前の言った正攻法を考えていたが、この森で布陣するのはどうしてだ?」

「失礼ですが、あなたは?」
「なんだジャンヌ団長から聞いてないのか?オレは傭兵団を纏めている『ヴォルフ』って言う者だ」

「ご紹介ありがとうございます。僕はレグルスと言います。この森で布陣するのは高台となっており、街道も整備されているので多くの兵士を布陣できます。高台になっているだけで下から攻めてくる者は不利となるでしょう。さらにここに【陣】を作ることで、向こうが『攻める側』になる事が大きいです。陣の作成を急いで防衛力を高めれば、数で劣っていても持ち堪えます。丸太を転がして落とす事も可能でしょう」

!?

「そ、そんな事が!?」
「確かに悪くない!私達は蛮族を倒す為に遠征に来たが本来、攻めるより防衛側の方が有利なのだ。その守る側になるという作戦は良いと思う。問題は蛮族が攻めてくるかどうかだな」

ここで副団長のクレアが助言した。

「それは心配ないでしょう。ここから蛮族側も我々を目視しているはずです。今日、1日動かなければ、明日は攻めてくると思います」

「どうして今日は攻めてこないと思う?」
「向こうもこちらが恐ろしいはずです。陣を作っているのを見ても、すぐには何をしているのか分からないはずです。自分達も、敵が何かしているのを見ても少し様子を見ますから」

なるほど。

「ならば布陣した前衛部隊はそのままにして、後方部隊に【陣】を作らせよう。万が一蛮族が攻めて来ても持ち堪えている間に軍の再編ができるしな」

一同は頷くとレグルスの作戦に向けて動きだした。





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