64 / 130
ナニワへ
しおりを挟む
神炎騎士団は怪我人を砦の防衛に残し進軍を開始した。
それに慌てたのがナニワの主要達であった。ナニワの主要人物達は神炎騎士団が攻めてくるとは夢にも思っていなかったのだ。
時間を掛けて大陸に散っていた傭兵団を集めて一気に西側へ攻め入る算段だったからだ。
しかし、ここにナニワの思惑が外れる事があった。大陸に散っている傭兵団が思うように集まらなかったのだ。
傭兵団にしては当然なのだが、商人の護衛とかはともかく、戦地で戦っている大規模な傭兵団は、いくらお得意様のナニワがピンチといっても、戦場を早々に離れる訳ではないのだ。
ナニワの傭兵を見下す風習が、どんな時でもナニワを最優先にやってくると、現場を知らない素人が思ってしまったのだ。
「どうなっている!神炎騎士団がナニワを制圧しに向かっていると情報が入ったのだぞ!傭兵達はどうした!?」
今になって自分達が窮地に立たされていると気付き焦る商人達。
必要最低限の荷物を持って、東か、南に逃げれば助かっただろうが、殆どの主要メンバーの商人達は、ナニワに本店を置いており、商品を持って逃げる事は不可能であった。
「議長、カーネル殿!どうするおつもりかっ!?」
商人議会の長にして、このナニワの市長であるカーネルに視線が集中した。
「落ち着くのだ。まず、このナニワに集まった傭兵団は1万5千ほど。敗走して戻ってきたリーガル傭兵団とブレイク傭兵団は約2万の数がいる。今一度、金を渡して戦わせる。そして時間を稼いでいる間に、大陸に散らばった傭兵団に早く戻ってくるよう催促の伝令を出すのだ」
カーネルは齢60の還暦の老人ではあったが、その鋭い眼光は商人達を纏めるには十分な貫禄があった。
表向きは良心的な商人と知られているが、裏では、前聖王と同種な男であった。
「お、おお!確かにそれならば何とかなりますな!」
「しかし、後1手何か欲しいですわね。神炎騎士団に交渉を持ち掛けては如何でしょうか?」
女の商人が提案した。
「交渉とは何を交渉するんだ?」
「もし、ナニワを攻撃すれば、大陸中が敵になると正論で説き伏せるのです。更には、ナニワから経済制裁を行い、民衆の支持を失うともいえば、向こうも躊躇するでしょう」
なるほど!
この案は採用され、使者が向かう事になった。
しかし、商人達はジャンヌ・ダルクと言う人物を甘く見ていた。
ジャンヌがどんな信念と覚悟の元で兵を出しているのか考えてもいなかった。
結局、使者は時間稼ぎも出来ず、とんぼ帰りをするハメになる。
ジャンヌが、現議会メンバーの商人達を皆殺しにすると言う言葉を伝えるように戻るのだった。
それに慌てたのがナニワの主要達であった。ナニワの主要人物達は神炎騎士団が攻めてくるとは夢にも思っていなかったのだ。
時間を掛けて大陸に散っていた傭兵団を集めて一気に西側へ攻め入る算段だったからだ。
しかし、ここにナニワの思惑が外れる事があった。大陸に散っている傭兵団が思うように集まらなかったのだ。
傭兵団にしては当然なのだが、商人の護衛とかはともかく、戦地で戦っている大規模な傭兵団は、いくらお得意様のナニワがピンチといっても、戦場を早々に離れる訳ではないのだ。
ナニワの傭兵を見下す風習が、どんな時でもナニワを最優先にやってくると、現場を知らない素人が思ってしまったのだ。
「どうなっている!神炎騎士団がナニワを制圧しに向かっていると情報が入ったのだぞ!傭兵達はどうした!?」
今になって自分達が窮地に立たされていると気付き焦る商人達。
必要最低限の荷物を持って、東か、南に逃げれば助かっただろうが、殆どの主要メンバーの商人達は、ナニワに本店を置いており、商品を持って逃げる事は不可能であった。
「議長、カーネル殿!どうするおつもりかっ!?」
商人議会の長にして、このナニワの市長であるカーネルに視線が集中した。
「落ち着くのだ。まず、このナニワに集まった傭兵団は1万5千ほど。敗走して戻ってきたリーガル傭兵団とブレイク傭兵団は約2万の数がいる。今一度、金を渡して戦わせる。そして時間を稼いでいる間に、大陸に散らばった傭兵団に早く戻ってくるよう催促の伝令を出すのだ」
カーネルは齢60の還暦の老人ではあったが、その鋭い眼光は商人達を纏めるには十分な貫禄があった。
表向きは良心的な商人と知られているが、裏では、前聖王と同種な男であった。
「お、おお!確かにそれならば何とかなりますな!」
「しかし、後1手何か欲しいですわね。神炎騎士団に交渉を持ち掛けては如何でしょうか?」
女の商人が提案した。
「交渉とは何を交渉するんだ?」
「もし、ナニワを攻撃すれば、大陸中が敵になると正論で説き伏せるのです。更には、ナニワから経済制裁を行い、民衆の支持を失うともいえば、向こうも躊躇するでしょう」
なるほど!
この案は採用され、使者が向かう事になった。
しかし、商人達はジャンヌ・ダルクと言う人物を甘く見ていた。
ジャンヌがどんな信念と覚悟の元で兵を出しているのか考えてもいなかった。
結局、使者は時間稼ぎも出来ず、とんぼ帰りをするハメになる。
ジャンヌが、現議会メンバーの商人達を皆殺しにすると言う言葉を伝えるように戻るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる