どうやら時代を間違えたみたいです。

ともちゃむ

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6.夜の闇 sideカケル

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スズナを部屋に送った後、オレは自分の部屋でずっと今日起きた出来事を考えていた。


まさか、こんな日に道端で倒れている女をみつけるなんて、ある意味運命なのかもな……。
ふとそんなことを思って見たりする。


視線を反対側の廊下に送ってみると、彼女の部屋の襖からは薄い光が漏れている。

彼女の今日の様子を見る限り、この辺りに住む者ではないらしい。
かといって、どこから来たのかはよくわからなかったが……。
トーキョー、とかいっていたな。
すぐに帰れるといいのだが…。


こんな日に1人、というのもあれだろう、少し話をしに行こうか、とオレは彼女の部屋へ足を進めた。




彼女の部屋の前についたとき、中から音がするのが聞こえた。

よく耳を傾けて聞いてみると、

「……っふっ……………、う、うぅ………」

彼女の泣いている声だった。


オレは部屋の戸にもたれかかってしばらくその場を動けないでいた。

そう…だよな。
いきなり知らない土地に来て、不安でいっぱいだよな。

彼女はずっと強気でここまで来ていたから気づいてやれなかったが、本当はまだ小さなかわいい女の子なんだということに気付かされた。
きっとオレたちよりは年下だろう。

「お……かあ…さん、お……と、さん……」


あぁ、きっと彼女には帰りを待っている家族がいるのに。
どうやって帰ればいいのかもわからないのだ。


オレは本当はか弱い彼女の姿を感じて、無性に助けてやりたい、と。
彼女を無事に返してやりたい、と。
心からそう思った。



部屋から声がしなくなった。

きっと疲れて寝てしまったんだろう。


オレは音を立てないように彼女の部屋を覗いた。



そこには、小さな寝息をたてて縮こまって眠る、スズナがいた。


………なんて、小さいんだろう。


オレは静かに彼女の隣に座り、そっと髪を撫でた。
とてもやわらかな、優しさのある髪だった。


「必ず……帰してやるからな。」


そっと立ち上がりもう一度彼女の顔を見てから部屋をでる。



さて、明日からまた忙しくなりそうだ。
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