どうやら時代を間違えたみたいです。

ともちゃむ

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8.助けるから

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わたしは今お団子を食べています。

なんでこんなことになったかというと…




はい。アキラ様がお出かけしてこいと言ったからです。

それ以外の理由はありません。
隣にいるのはカケルさんです。

カケルさんもいい迷惑をかけられてます。
なんてったって、見ず知らずの女と一緒にお団子食べてんだから…。

「うまいか?」

カケルさんが優しく聞いてくれる。
ええ、ええ、美味しいですとも。

わたし、美味しいものには目がないのよね~。
今、とても幸せな気分だわ。


「ええ、とっても。」

満面の笑みで答えてあげた。


すると、カケルさんも優しい笑顔を顔に浮かべて、うん、と頷いてくれた。


彼はとても優しい人なんだと、1日しか会ってから経っていなくてもわかった。
そうよね、だって倒れてるわたしに生きる場所を見つけてくれた人なんだから。

2人の間には静かな時間が流れていた。

聞こえる音は風が吹く音と、周りの人の話し声だけ。

それでもカケルさんといるのが苦痛にならないのは、きっと彼の雰囲気がとても柔らかいからなのだろう。

もしこれがアキラ様だったら、と思うと………

ああ、いけない、寒気がしたわ。


少しの沈黙を破るようにカケルさんが話し始めた。

「お前も散々な目にあってるみたいだな。そう言えば、お前はどこから来たんだったかな。帰り方とかわかるのか?」


「………。"東京"というところから来たわ。でもその場所はこの時代にはないの…。いえ、正確にいうと、未来にあるのよ…。」


一度息を吐いた。
何度自分で言っても信じられない出来事だ。

自分で話しながら嫌な動機がしている。


「…こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないけど………。わたし、、実は、、未来から来たの。多分。」

彼の目をしっかり見ながら話してみた。多分本気で信じてはもらえないと思った。それでも、誰かに知っておいてほしいとも思った。


そんなわたしの様子を感じ取ったのか、彼は

「信じるよ。だってお前、あった時から違和感ありまくりだ。まず着ているものから違いすぎるからな。」


と微笑みながら言ってくれた。


信じる、と言ってもらえることがこんなに嬉しいなんて思ってもいなかった。

「……ありがとう。」


その時なにか温かいものが頬をつーっと伝った。

それが自分の涙だと気づくのには少しの時間がかかった。


「あ、あれ………??どうして涙なんか……。」


自分でも驚いてあわてて涙を拭いていると、

ポンッ

頭を軽く叩く感触がした。


彼がやったんだと気づいたのはもう少し時間がたってからだ。

「我慢するな。……泣いたっていいんだよ。

涙なんて当たり前だ。辛かったな。
俺もお前が早く帰れるように手伝うからな。
お前も今のうちに泣いてしまえ。」

彼がそんな優しいことを言うから、、


「………うぅ……う~~~」

思わず涙が溢れでて来た。
拭いても拭いても、どんどん涙は溢れてくる。

また彼はよしよし、と小さい子をあやすようにわたしの頭を撫でてくれた。

わたしは、ふと、お父さんの手みたいだと思ってしまった。


わたしは道行く人の視線なんか気にせず、自分の気がすむまでずっと彼の隣で泣いていた。


慰めてくれる人がいることのありがたさを感じた。



                  ・   ・   ・   ・   ・


わたしが泣き止んだのは、20分後ぐらいだ。

「す、すいませんでした。こんなずっと泣いたりしてしまって……。」


わたしが謝ると、カケルさんは、


「いや、それでお前の気持ちが軽くなったならよかったよ。それにお礼ならアキラ様に言え。お前の話を聞いてやってほしいって言っていたのはアキラ様だからな。」

と言った。


え………。

あの人が……??


もしかして、彼なりに気にしてくれていたのかしら……。

そう思うと少しだけ、彼が周りの人から慕われている理由がわかった気がした。

それでも苦手なことに変わりはないのだけれど……。


「それじゃ、そろそろ帰るか。」

カケルさんが立ち上がって歩き出そうとした。

わたしは後を追うような形でいそいで歩き出した。


帰り道、お互いに何も話さなかった。

でも、辛くはなかった。

なんだか、カケルさんに守られているような気分になった。

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