11 / 12
8.助けるから
しおりを挟む
わたしは今お団子を食べています。
なんでこんなことになったかというと…
はい。アキラ様がお出かけしてこいと言ったからです。
それ以外の理由はありません。
隣にいるのはカケルさんです。
カケルさんもいい迷惑をかけられてます。
なんてったって、見ず知らずの女と一緒にお団子食べてんだから…。
「うまいか?」
カケルさんが優しく聞いてくれる。
ええ、ええ、美味しいですとも。
わたし、美味しいものには目がないのよね~。
今、とても幸せな気分だわ。
「ええ、とっても。」
満面の笑みで答えてあげた。
すると、カケルさんも優しい笑顔を顔に浮かべて、うん、と頷いてくれた。
彼はとても優しい人なんだと、1日しか会ってから経っていなくてもわかった。
そうよね、だって倒れてるわたしに生きる場所を見つけてくれた人なんだから。
2人の間には静かな時間が流れていた。
聞こえる音は風が吹く音と、周りの人の話し声だけ。
それでもカケルさんといるのが苦痛にならないのは、きっと彼の雰囲気がとても柔らかいからなのだろう。
もしこれがアキラ様だったら、と思うと………
ああ、いけない、寒気がしたわ。
少しの沈黙を破るようにカケルさんが話し始めた。
「お前も散々な目にあってるみたいだな。そう言えば、お前はどこから来たんだったかな。帰り方とかわかるのか?」
「………。"東京"というところから来たわ。でもその場所はこの時代にはないの…。いえ、正確にいうと、未来にあるのよ…。」
一度息を吐いた。
何度自分で言っても信じられない出来事だ。
自分で話しながら嫌な動機がしている。
「…こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないけど………。わたし、、実は、、未来から来たの。多分。」
彼の目をしっかり見ながら話してみた。多分本気で信じてはもらえないと思った。それでも、誰かに知っておいてほしいとも思った。
そんなわたしの様子を感じ取ったのか、彼は
「信じるよ。だってお前、あった時から違和感ありまくりだ。まず着ているものから違いすぎるからな。」
と微笑みながら言ってくれた。
信じる、と言ってもらえることがこんなに嬉しいなんて思ってもいなかった。
「……ありがとう。」
その時なにか温かいものが頬をつーっと伝った。
それが自分の涙だと気づくのには少しの時間がかかった。
「あ、あれ………??どうして涙なんか……。」
自分でも驚いてあわてて涙を拭いていると、
ポンッ
頭を軽く叩く感触がした。
彼がやったんだと気づいたのはもう少し時間がたってからだ。
「我慢するな。……泣いたっていいんだよ。
涙なんて当たり前だ。辛かったな。
俺もお前が早く帰れるように手伝うからな。
お前も今のうちに泣いてしまえ。」
彼がそんな優しいことを言うから、、
「………うぅ……う~~~」
思わず涙が溢れでて来た。
拭いても拭いても、どんどん涙は溢れてくる。
また彼はよしよし、と小さい子をあやすようにわたしの頭を撫でてくれた。
わたしは、ふと、お父さんの手みたいだと思ってしまった。
わたしは道行く人の視線なんか気にせず、自分の気がすむまでずっと彼の隣で泣いていた。
慰めてくれる人がいることのありがたさを感じた。
・ ・ ・ ・ ・
わたしが泣き止んだのは、20分後ぐらいだ。
「す、すいませんでした。こんなずっと泣いたりしてしまって……。」
わたしが謝ると、カケルさんは、
「いや、それでお前の気持ちが軽くなったならよかったよ。それにお礼ならアキラ様に言え。お前の話を聞いてやってほしいって言っていたのはアキラ様だからな。」
と言った。
え………。
あの人が……??
もしかして、彼なりに気にしてくれていたのかしら……。
そう思うと少しだけ、彼が周りの人から慕われている理由がわかった気がした。
それでも苦手なことに変わりはないのだけれど……。
「それじゃ、そろそろ帰るか。」
カケルさんが立ち上がって歩き出そうとした。
わたしは後を追うような形でいそいで歩き出した。
帰り道、お互いに何も話さなかった。
でも、辛くはなかった。
なんだか、カケルさんに守られているような気分になった。
なんでこんなことになったかというと…
はい。アキラ様がお出かけしてこいと言ったからです。
それ以外の理由はありません。
隣にいるのはカケルさんです。
カケルさんもいい迷惑をかけられてます。
なんてったって、見ず知らずの女と一緒にお団子食べてんだから…。
「うまいか?」
カケルさんが優しく聞いてくれる。
ええ、ええ、美味しいですとも。
わたし、美味しいものには目がないのよね~。
今、とても幸せな気分だわ。
「ええ、とっても。」
満面の笑みで答えてあげた。
すると、カケルさんも優しい笑顔を顔に浮かべて、うん、と頷いてくれた。
彼はとても優しい人なんだと、1日しか会ってから経っていなくてもわかった。
そうよね、だって倒れてるわたしに生きる場所を見つけてくれた人なんだから。
2人の間には静かな時間が流れていた。
聞こえる音は風が吹く音と、周りの人の話し声だけ。
それでもカケルさんといるのが苦痛にならないのは、きっと彼の雰囲気がとても柔らかいからなのだろう。
もしこれがアキラ様だったら、と思うと………
ああ、いけない、寒気がしたわ。
少しの沈黙を破るようにカケルさんが話し始めた。
「お前も散々な目にあってるみたいだな。そう言えば、お前はどこから来たんだったかな。帰り方とかわかるのか?」
「………。"東京"というところから来たわ。でもその場所はこの時代にはないの…。いえ、正確にいうと、未来にあるのよ…。」
一度息を吐いた。
何度自分で言っても信じられない出来事だ。
自分で話しながら嫌な動機がしている。
「…こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないけど………。わたし、、実は、、未来から来たの。多分。」
彼の目をしっかり見ながら話してみた。多分本気で信じてはもらえないと思った。それでも、誰かに知っておいてほしいとも思った。
そんなわたしの様子を感じ取ったのか、彼は
「信じるよ。だってお前、あった時から違和感ありまくりだ。まず着ているものから違いすぎるからな。」
と微笑みながら言ってくれた。
信じる、と言ってもらえることがこんなに嬉しいなんて思ってもいなかった。
「……ありがとう。」
その時なにか温かいものが頬をつーっと伝った。
それが自分の涙だと気づくのには少しの時間がかかった。
「あ、あれ………??どうして涙なんか……。」
自分でも驚いてあわてて涙を拭いていると、
ポンッ
頭を軽く叩く感触がした。
彼がやったんだと気づいたのはもう少し時間がたってからだ。
「我慢するな。……泣いたっていいんだよ。
涙なんて当たり前だ。辛かったな。
俺もお前が早く帰れるように手伝うからな。
お前も今のうちに泣いてしまえ。」
彼がそんな優しいことを言うから、、
「………うぅ……う~~~」
思わず涙が溢れでて来た。
拭いても拭いても、どんどん涙は溢れてくる。
また彼はよしよし、と小さい子をあやすようにわたしの頭を撫でてくれた。
わたしは、ふと、お父さんの手みたいだと思ってしまった。
わたしは道行く人の視線なんか気にせず、自分の気がすむまでずっと彼の隣で泣いていた。
慰めてくれる人がいることのありがたさを感じた。
・ ・ ・ ・ ・
わたしが泣き止んだのは、20分後ぐらいだ。
「す、すいませんでした。こんなずっと泣いたりしてしまって……。」
わたしが謝ると、カケルさんは、
「いや、それでお前の気持ちが軽くなったならよかったよ。それにお礼ならアキラ様に言え。お前の話を聞いてやってほしいって言っていたのはアキラ様だからな。」
と言った。
え………。
あの人が……??
もしかして、彼なりに気にしてくれていたのかしら……。
そう思うと少しだけ、彼が周りの人から慕われている理由がわかった気がした。
それでも苦手なことに変わりはないのだけれど……。
「それじゃ、そろそろ帰るか。」
カケルさんが立ち上がって歩き出そうとした。
わたしは後を追うような形でいそいで歩き出した。
帰り道、お互いに何も話さなかった。
でも、辛くはなかった。
なんだか、カケルさんに守られているような気分になった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『出来損ない』と言われた私は姉や両親から見下されますが、あやかしに求婚されました
宵原リク
恋愛
カクヨムでも読めます。
完結まで毎日投稿します!20時50分更新
ーーーーーー
椿は、八代家で生まれた。八代家は、代々あやかしを従えるで有名な一族だった。
その一族の次女として生まれた椿は、あやかしをうまく従えることができなかった。
私の才能の無さに、両親や家族からは『出来損ない』と言われてしまう始末。
ある日、八代家は有名な家柄が招待されている舞踏会に誘われた。
それに椿も同行したが、両親からきつく「目立つな」と言いつけられた。
椿は目立たないように、会場の端の椅子にポツリと座り込んでいると辺りが騒然としていた。
そこには、あやかしがいた。しかも、かなり強力なあやかしが。
それを見て、みんな動きが止まっていた。そのあやかしは、あたりをキョロキョロと見ながら私の方に近づいてきて……
「私、政宗と申します」と私の前で一礼をしながら名を名乗ったのだった。
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる