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第21歩目 何を一番にするべきか
くずおれそうな姿
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結局、夜が明けてもシュルクは部屋に戻ってこなかった。
緊張状態のまま寝ずに一晩を過ごすのが、こんなにしんどいなんて……
初めての経験に内心で泣き言を呟きながら、身支度を整えて食堂へと向かう。
シュルクは食堂の隅の席に座り、宿屋が用意している新聞に目を通していた。
そして、その隣には当然のようにラミアが。
さすがに塩対応をするのも疲れたのか、シュルクはラミアの存在を無視して新聞を読み進めているだけ。
とはいえ、無視という態度も無愛想な堅物護衛というキャラから外れたものではないため、周囲の人々は違和感を抱いていないようだった。
だけど……自分の目には、シュルクの表情が明らかに生気を欠いているように見えた。
『お前が正論で責めてくるから、最後の強がりだって木っ端微塵じゃねぇか。』
自分の前で初めて涙を見せた彼は、あくまでも彼自身を責めるような口調でそう言った。
もしもその言葉どおり、今のシュルクには強がる余裕すらないのだとしたら……
真っ青な顔でぼうっと新聞を眺めるシュルクが今にも崩れ落ちてしまいそうに見えるのは、きっと気のせいなんかじゃなくて―――
本当は心配だった。
すぐに駆け寄って、無理にでもベッドに押し込んで休ませたかった。
でも、昨日の今日では上手く話すこともできなくて……
「………」
揺れる馬車の中、フィオリアは無言で向かいの席を見つめていた。
そこでは、広い席に横になったシュルクが死んだように深い眠りについている。
彼も彼で、限界間近なのだろう。
馬車に乗るや否や、倒れるようにして意識を手放してしまったのだ。
「私……間違ってたのかな…?」
昨日までは、自分が正しいと信じて疑わなかった。
シュルクの切ない胸の内を聞いて、彼の涙を見るまでは―――
俺だって、何も考えなかったわけじゃないと。
シュルクはそう言った。
それは当然。
あのシュルクが、何も考えずに安直な理由で静観を選ぶわけがない。
彼の行動には、いつもそれなりの理由と根拠があったもの。
そう聞いた時には、彼が何を思ってこんな選択をしたのかを知ることができれば、自分の意見も交えてもっと違った選択に変えられるはずだと思っていた。
だけど……
恵み子としての能力を持ちながらも、それを上手くコントロールできない自分への苛立ちともどかしさ。
皆を助けることは自分には無理だと断言した彼が、ダントリアンで見聞きしただろうこと。
呪いの進行に対抗できるだけの自信も余裕も擦りきれているんだって。
罪悪感と無力感でおかしくなりそうな今は、慰められることが一番つらいんだって。
本当に苦しそうな声で紡がれた本音。
それらに、自分は何一つとして言葉をかけてあげられなかった。
『俺は……神様なんかじゃないのに…っ』
特に、今にも泣き出してしまいそうな表情で放たれたこの言葉に、何を返せたというのだろう。
あんなにも強くて有能な彼なら、少しでも多くの人を助ける術を打ち出せるはず。
ミシェリアを死の縁から救ってみせたあの能力に、期待するなと言う方が無理。
彼の言葉を聞く十数分前、まさにそんなことを考えていた自分に、あの場で言えることなんて……
「はーい♪ ご機嫌いかが?」
その時、突如として飛び込んできた声。
それは、悶々と悩む自分とは正反対に明るかった。
緊張状態のまま寝ずに一晩を過ごすのが、こんなにしんどいなんて……
初めての経験に内心で泣き言を呟きながら、身支度を整えて食堂へと向かう。
シュルクは食堂の隅の席に座り、宿屋が用意している新聞に目を通していた。
そして、その隣には当然のようにラミアが。
さすがに塩対応をするのも疲れたのか、シュルクはラミアの存在を無視して新聞を読み進めているだけ。
とはいえ、無視という態度も無愛想な堅物護衛というキャラから外れたものではないため、周囲の人々は違和感を抱いていないようだった。
だけど……自分の目には、シュルクの表情が明らかに生気を欠いているように見えた。
『お前が正論で責めてくるから、最後の強がりだって木っ端微塵じゃねぇか。』
自分の前で初めて涙を見せた彼は、あくまでも彼自身を責めるような口調でそう言った。
もしもその言葉どおり、今のシュルクには強がる余裕すらないのだとしたら……
真っ青な顔でぼうっと新聞を眺めるシュルクが今にも崩れ落ちてしまいそうに見えるのは、きっと気のせいなんかじゃなくて―――
本当は心配だった。
すぐに駆け寄って、無理にでもベッドに押し込んで休ませたかった。
でも、昨日の今日では上手く話すこともできなくて……
「………」
揺れる馬車の中、フィオリアは無言で向かいの席を見つめていた。
そこでは、広い席に横になったシュルクが死んだように深い眠りについている。
彼も彼で、限界間近なのだろう。
馬車に乗るや否や、倒れるようにして意識を手放してしまったのだ。
「私……間違ってたのかな…?」
昨日までは、自分が正しいと信じて疑わなかった。
シュルクの切ない胸の内を聞いて、彼の涙を見るまでは―――
俺だって、何も考えなかったわけじゃないと。
シュルクはそう言った。
それは当然。
あのシュルクが、何も考えずに安直な理由で静観を選ぶわけがない。
彼の行動には、いつもそれなりの理由と根拠があったもの。
そう聞いた時には、彼が何を思ってこんな選択をしたのかを知ることができれば、自分の意見も交えてもっと違った選択に変えられるはずだと思っていた。
だけど……
恵み子としての能力を持ちながらも、それを上手くコントロールできない自分への苛立ちともどかしさ。
皆を助けることは自分には無理だと断言した彼が、ダントリアンで見聞きしただろうこと。
呪いの進行に対抗できるだけの自信も余裕も擦りきれているんだって。
罪悪感と無力感でおかしくなりそうな今は、慰められることが一番つらいんだって。
本当に苦しそうな声で紡がれた本音。
それらに、自分は何一つとして言葉をかけてあげられなかった。
『俺は……神様なんかじゃないのに…っ』
特に、今にも泣き出してしまいそうな表情で放たれたこの言葉に、何を返せたというのだろう。
あんなにも強くて有能な彼なら、少しでも多くの人を助ける術を打ち出せるはず。
ミシェリアを死の縁から救ってみせたあの能力に、期待するなと言う方が無理。
彼の言葉を聞く十数分前、まさにそんなことを考えていた自分に、あの場で言えることなんて……
「はーい♪ ご機嫌いかが?」
その時、突如として飛び込んできた声。
それは、悶々と悩む自分とは正反対に明るかった。
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